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7話

 ソフィアは、故郷の村へ祈りに来ていた。両親含め、盗賊団の被害にあったのは見知った人ばかり。彼らが天国で安らかに楽しく過ごしていることを祈らずにはいられなかった。

 ボロボロの教会で祈りを捧げていると、ふと耳に声が聞こえる。


『やぁ、私の可愛いソフィア』

「ルミナエリス様。ご神託でしょうか?」

『ふふ、何、君があまりにも可愛いから、私から声をかけに来ただけだよ。こんな時でも無いと、お話できないからね。それより聞かせてよ、君の恋バナ!』


 ルミナエリス。この王国で最も信仰されている女神であり、ソフィアはルミナエリスに選ばれた聖女である。彼女が持つ加護の力や癒しの力は、ルミナエリスの力を借りているに過ぎない。

 ルミナエリスも普段であれば一人にここまで肩入れせず、そこそこの力を分け与える聖女を複数人作るのだが、ソフィアがお気に入りすぎて他の聖女を作っていないのだ。そのせいでソフィアは忙殺されていたので、なんともいえない女神である。

 ルミナエリスは教会で祈りを捧げていると、たまに神託を与えてくれる。今日もそのクチかと思っていたが、どうやら違うようだった。


「こ、恋バナですか⋯⋯?」

『そうそう!ディルクと君の話を聞かせてよ!ぶっちゃけ、ソフィアはディルクのこと好きなんでしょ?』

「な、ななっ⋯⋯!」


 なんとなく気が付かないフリをしていたソフィアは、自分の想いをルミナエリスに指摘され、顔を真っ赤に染めた。それが可愛くて堪らないルミナエリスは、悶えた声をあげる。


『かんわいいねぇ!』

「揶揄わないでください!」

『そういう所も可愛いよ〜!女神様に聞かせてみなさい!』


 女神の声に一人照れるソフィア。他の人が見たら卒倒するような光景だ。

 ルミナエリスの言葉に、ソフィアは少しずつ語り始める。


「ディルク様は、お優しい方です。あんなに心の清らかな人は見た事ありません」

『うんうん』

「けど、あの人からしたら私は子供のようなもので⋯⋯相手にしてくれないです」

『そう?ちゃんと真摯に向き合ってると思うけど』

「相手にしてくれないって言うのは⋯⋯その⋯⋯異性として見てくれてはいない、という意味です」


 改めて自分の気持ちを素直に口にしたソフィアは、自分でもこんな言葉が出るのだと驚いた。


「そう⋯⋯ですね。私は、ディルク様に惹かれているみたいです」

『へ〜〜〜!良いじゃない良いじゃない!女神様、応援しちゃうよ!』

「ありがとう、ございます」


 ルミナエリスの有難い言葉を聞いたソフィアだったが、心はどこか上の空だ。先ほど自分で言った「相手にしてくれない」「異性として見てくれない」という言葉が、自分の胸に刺さっていた。


(私は、どうしたらディルク様に、一人の女性として振り向いて貰えるんだろう)


 一人考えるソフィアに、天界からルミナエリスの優しい声が聞こえる。


『大丈夫。ソフィアは可愛いし、じゅうぶん大人の女性だよ。その魅力は、ディルクにも伝わっているはずだ』

「本当⋯⋯でしょうか?」

『私は女神だよ!全てを見通す慈愛の女神ルミナエリス!私の言葉を、聖女であるソフィアが信じなくてどうする!』

「そうですね」


 ソフィアは、ルミナエリスの言葉に笑みをこぼした。思えば、ローグの時はローグに怒り心頭だったルミナエリスが、ディルクのことは認めてくれているようで、ソフィアはそれが嬉しかった。

 それから、ソフィアはディルクとの思い出話をルミナエリスに話した。ルミナエリスは姉のように、その話にうんうんと頷くだけだ。しかしそれはソフィアにとって、何よりも心の助けになる行為であった。

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