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3話

「最近、どうも魔物の活動が活発化してないか?」

「作物の出来も悪いとか聞くぜ」

「なぁ、やっぱり聖女様を追い出したのって、相当ヤバいんじゃなかったのか⋯⋯?」

「おいバカ!そんな事考えるな!不敬罪で死にたいのか!」

「うお、おっかねぇおっかねぇ」


 ソフィアが婚約破棄されてから1ヶ月が経過した。あれから、王国では異変が絶え間なく続いていた。魔物の増加、活発化。作物不作に疫病蔓延。これらは、ソフィアの聖女の力で抑えてきた、王国に降りかかる厄災たちだ。

 これらの厄災は、聖女の力無しでは防ぐことが出来ない。同時期に聖女が何人もいる時もあるが、現在は王国にいる聖女はソフィアだけとなっていた。


 この緊急事態に、王家は頭を抱えていた。どれだけソフィアが実家に帰りたくとも、聖女である以上、祈りを捧げ王国を守ってもらう必要があったため、ソフィアの願いを却下し続けてきた。心は痛んだが、それでも王国民のために必要なことだったから続けてこられた。

 しかし、先日ローグのせいでソフィアは聖女を辞めてしまった。無理やり連れてくることも考え、ソフィア捜索の部隊を編成したが、王国中どこを探しても彼女を見つけることが出来なかった。


「ローグ⋯⋯!お前は本当に、私の汚点そのものだ!!なぜ聖女を自ら捨てた!なぜソフィアとの婚約を破棄したのだ!!」

「っ⋯⋯!」


 ローグは、あれから毎日のように国王である父に叱られていた。もはやローグが怒られようと殴られようと、どうにもならない状態ではあるのだが、国王は怒りを抑えられなかった。


(なんであの女のことばかり⋯⋯!父上、私はより素晴らしく、価値のあるカリナと結ばれたというのに⋯⋯!)


 尊敬する父である国王からの実績に、ローグはソフィアに向けて憎しみを募らせていた。自分は悪くなく、ソフィアが悪いのだと。


 ローグとソフィアは、お互い10歳の頃に出会った。ソフィアが10歳で聖女として覚醒したためだ。王家は聖女と婚姻を結び、その強固なる力を王国のために行使させる。そういう習わしだったためだ。第一王子は既に公爵家の娘との婚姻が決まっていて、歳も10は離れていたため選ばれることは無かった。自然と、第二王子で同い歳のローグが選ばれることになる。


 最初こそ、ローグは聖女という肩書きに興味津々でソフィアに近付いた。ソフィアは、見る人が見れば整った顔立ちに気付けるが、化粧っ気の無さなどで一見地味な印象を与える。それもあり、ローグはソフィアの見た目が好みではなかった。

 ソフィアは平民の出身で、失礼のないように気を付けていた。しかしそれは、ローグからすれば円滑なコミュニケーションを取れない相手、という評価を下してしまうものになった。また、ソフィアはローグに比べて、何を取っても優秀であった。聖女という力に加え、優秀な才能を持つソフィアを、国王も第一王子も持て囃した。それが、ローグはとにかく気に入らなかったのだ。

 一方カリナはどうだろう。ローグ好みの派手目な美人で、程よくローグより頭が悪い。優秀とは言えないが、顔も相まって可愛げの塊のような女性だ。また、平民出身のソフィアと異なり、カリナの家は侯爵家だ。泊もある。

 ローグにとって、ソフィアとの婚約を破棄し、カリナとの婚姻を結ぶというのは、絶対的に正しいことであった。


「ち、父上!」

「陛下と呼べ!」

「っ!陛下!失礼ながら申し上げます!」

「⋯⋯申してみよ」

「ソフィアは、アイツはダメです!我々王家への忠誠心も無く、ただ義務的に聖女としての働きをしています!必ずいつか王国に仇なす日が来ます!その前に、私が王家から追放したのです!」

「⋯⋯お前、本当にそう思っているのか?」

「当たり前です!!」

「⋯⋯はぁ。お前がここまで阿呆だとは⋯⋯。もう良い、こいつを連れて行け」


 近衛騎士に命じ、ローグは反省室へ連れて行かれた。その間ローグは激しく抵抗したが、王を近くで守る近衛騎士には勝てない。王宮に、ローグの怒声が響き渡った。

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