1話
1話1話はかなり短いです。
「私は、ソフィアとの婚約を破棄する!」
突然、王宮の夜会に怒声が響いた。それは、この国の第二王子⋯⋯ローグ・フォン・ライブラの声であった。
夜会に参加していた貴族たちは、ローグの言葉に酷く驚いている。しかし、婚約破棄を言い渡された当人、ソフィア・ルミナスは表情を崩すことなく、ローグの言葉を受け止めていた。
ローグは、傍らに控えさせていた女性⋯⋯カリナ・リ・マイスター侯爵令嬢の肩に腕をかけ、その強い視線をソフィアに向ける。
「貴様は、聖女であることにかまけ、婚約者である私の存在を蔑ろにした。これは十分、不敬罪にあたる行為だ」
「はぁ」
「しかし!恩情なる私は、少なからず関わりのあった貴様を慮り、あらゆる刑罰から救ってやろうと思う!」
「なるほど」
「代わりに、貴様と私の間に結ばれた婚約関係を破棄する。これで手を打ってやるのだ、ありがたく思え!」
「そうですか⋯⋯」
ソフィアは、ローグのあんまりな言い分の全てに、ただ頷いていた。心底どうでも良さそうな顔をしている。
「では、慎んでお受けいたします。ついでに聖女も辞めます。よろしいですね」
「フッ、逆に良いのか?王宮ではもう働けなくなるぞ?」
「ええ、構いませんよ。それでは、私は1時間後にはここを経ちます。これまでお世話になりました」
「ああ!私が世話してやったこと、忘れるなよ!」
ソフィアはそう言うと、足早に夜会を後にした。その重大さを、まだローグは知らなかった。




