第44話 『心霊動画調査隊!』の動画
『皆さんこんばんは~!心霊動画調査隊です!」
自撮りしているであろう角度で男性が映し出される。
眼鏡をかけマスクをしている。どこにでもいる普通の一般男性のようだ。
「心霊現象が映った動画を元にその動画が撮られた場所を特定し調査するのがこの番組のテーマとなっています。今回は……心霊現象の絶えない廃神社に来ています!』
深夜。懐中電灯の灯りを当てて朽ち果てた神社の映像を映しながら軽い口調で語った。心霊動画でありながらも配信者の軽い語り口調が売りになっている。
『一体何故、廃神社になってしまったのか。心霊現象を引き起こす原因なんかを探って行けたらいいなと思います』
ジャリジャリという砂利道を歩く音が聞こえてくる。
『いや~。如何にもって感じで怖いですね。では、早速中に入ってみましょう!お邪魔します……』
男性は手持ちカメラと共に頭を下げる動作をした。カメラを手に授与所に足を踏み入れていく。
『うわー……。中すっごいですね。ほとんど物が残ってるんじゃないかな?』
ぐちゃぐちゃに荒らされた部屋。薄汚れたお守りと破魔矢が並んでいる。
『お守りとか破魔矢とか……そのまんまだ。って何だこれ?』
お守り売り場の近くに置かれていたふたつに折りたたまれたメモ帳を拾い上げる。
『ごめんなさいって……。何だろう。子どもの字っぽいですね……。何かあったのかな』
突然奥の部屋からガタッという音が鳴る。
『えっ……?今の何?』
男性が部屋の奥を懐中電灯で照らす。
『向こうにもまだ部屋があるな……』
男性の息遣いと共にテーブルと5つの椅子、リビングとキッチンが現れる。
『うわっ……ふつーに人の家じゃん。ここ誰かが住んでたんだ……』
家の中を懐中電灯で一通り照らす。床に散らばった物を避けながら歩いていると、破れた画用紙のようなものを見つける。
クレヨンで3人の家族が描かれ、背景には歪んだ鳥居が描かれている。
『ん?これって……。子どもの絵だな。子どもが居たんだ……あ。裏に名前も書いていある』
名前の部分はモザイク処理されて見えない。
『それにしても子どもの絵を破くなんてね。どうかしてますよ……』
引き続き室内を見てまわる動画配信者の男性。
『ちょっと……これまずいんじゃないんですか?』
男性がカメラを向けたのは仏壇だった。
『普通このままにしておきますかね?えーっと……●●さんと●●さん、●●さんって書いてありますね……。苗字が一緒なんでご家族でしょう』
位牌にモザイクがかけられ俗名と戒名は見えない。3つあることは確認できる。
『ほぼ同時期に亡くなってる。……事故ですかね?』
「ど……して……じゃ……ないんだ」
男性ではない音声が入る。
『え?今、誰か喋った……』
男性が立ち止まり、室内にカメラを回すが何も映らない。
『なんか怖くなってきましたね……。2階もあるみたいなので見に行ってみましょう』
階段を登り、男性が立ち止まる。
『え……』
ドアに御札が貼られた部屋が現れる。
『さすがにこれはヤバくないか……』
暫く御札が貼られた部屋の前でカメラを停止させる。深呼吸をした後で決心したようにドアノブに手をかけた。
ドアをゆっくりと開ける。カメラに映ったのは……
『子供部屋……?』
赤いランドセルにぬいぐるみ。女の子がいたと思われる子供部屋だった。
部屋の中にも御札が貼られている。
『どうして子供部屋にこんな御札が……』
「……ろ……」
再び男性ではない音声が入る。
『また声だ』
男性がカメラを手に周辺を映すが何も映らない。
真っ暗な画面のまま、音声が入る。
「きれろ」




