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第42話 Fの怪(4)

 上手く笑えていたか分からない。きっと引き攣って歪な笑みになっていただろう。

 絶対に笑っていい場面ではなかった。これできっと落合は私のことを得体のしれない存在として見るようになって、昔みたいに私の側から誰も居なくなる……そう思っていたのに。


 落合は黙って私のことを抱きしめた。


 温かい。もうずっと長い間、感じることのなかった人の温かさに私は驚いた。

 微かに腕が震えている。怖がらせただろうか。それとも……喜んでる?あるいはこんなことをするなんてと絶望した?顔が見えないから落合の感情はよく分からない。


「ごめん。でも……ありがとう」


 その一言に落合の心の全てが詰まっていた。

 私の胸元にしがみついて鼻をすする落合の背をぎこちなく撫でた。




「心霊現象について詳しい子がいるのってこのクラス?」


 夏休みに入る直前。テストも終わり、ひと段落したクラスに血相を変えた女子生徒が駆け込んできた。B組の生徒達が何事かと一斉に出入口に視線を移す。上履きの縁の色が青色なので同学年の生徒であることが分かった。


「藤堂さんと王子、呼ばれてるよ~!」


 私は教科書とノートを机の中にいれながら特大のため息を吐く。縁結びの木の怪異を解決した後。私達は学校でちょっとした話題の人になっていた。以前にも増して心霊現象の相談を受けるようになり、騒がしい日々を過ごしている。

静かに過ごしたいと思っていたのに。なんだか今はこういう学校生活も悪くないと思っている自分がいる。


「心霊現象解明部が話を聞きますよ」


 落合がキラキラエフェクトをかけた爽やかな笑顔を浮かべながら相談にやってきた生徒に声を掛ける。


「わあ……カッコイイ……」


 口元を手に当て、相談しにきた生徒が落合に分かりやすく見惚れている。だから無暗に王子ぶるのはやめろと言っているのに……。私は落合の後ろから顔を出して言った。


「良かったら話、聞きますよ。素人の心霊現象考察でよければ……」


 私が正面の空いた椅子を指し示すと、相談にやってきた生徒は緊張した面持ちで椅子に座る。

 どうやら暫く心霊現象解決部の活動は続きそうだ。


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