ケンカするほど仲がいい?
うぅ、まぶしい……。
カーテンから薄日が入ってきてて目がさめた。
もう朝になってた。
私はベッドの中で体をのばしてビックリした。
体が全然しんどくない!
きっとロウハさんがくれたお薬のおかげだ。
これならカイといっしょにフカルクに行ける!
私はとなりにいるはずのカイを探してゴロリと体の向きを変えた。
「!」
反対向いたらすぐそこにカイの顔があった!
そうだ、オオカミさんにはならないって言ってたっけ。
いつもカイが先に起きるのに、よっぽどつかれてたのかな。
よし、今日は私がカイを起こしてあげよう!
「カイ起きて! 朝だよ!」
そして上掛けをバサッ!とめくった。
次の瞬間頭がまっ白になった。
「きゃ――――!!!!」
私はカイをベッドからつき落とし、ロウハさんの所へ走ってにげた。
ダッシュで向かったリビングからいい匂いがする。
部屋にはいったらエプロンを付けたロウハさんがいた。
「あぁティルダちゃん、おはよう。 元気になったみたいだね」
「ロウハさん助けて!!」
「え? 何?」
「カイがハダカで寝てたの! だから怒って!!」
私はロウハさんの足にギュウギュウにしがみついてお願いした。
人の姿で寝るって言ってたのはおぼえてる。
でもハダカになるって知ってたら絶対めくらなかった!
ヤダヤダ、はずかしいから記憶から消したい!!
「おいティルダ!!」
「やだ! こっち来ないで!!」
ズボンだけはいたカイが追いかけてきたから私はいそいでロウハさんの後ろに隠れた。
「突き落としといて謝りも無しか!」
「カイがハダカなのが悪い!」
「何がだよ! オレはちゃんと『オオカミにはならない』って言っただろ!」
「でもハダカになるなんて聞いてない!」
「獣人はみんなそうやって寝るんだよ!」
「そんなの知らない!」
「知らないヤツが悪い! そもそもお前がいっしょに寝ようって言うからだろ!」
「だって一人はこわいもん!」
「そんなの知るか! もう一生いっしょに寝てやらねぇ! 一人で寝ろ!」
あぅっ、カイが牙むいてそっぽ向いちゃった。
……すごく胸がギュゥッてなってきた。
気まずくてなんだかうまく言葉がでてこない。
「……そんなにキツく言わなくてもいいじゃない」
「……」
ひどい、私の話ムシした!
今のでもっと胸の奥が苦しくなってきた。
……するとロウハさんが引っ付いてる私の頭を撫でてくれた。
「カイ、言い方が良くないよ。 優しく言わなきゃティルダちゃん泣いちゃうよ?」
「だってコイツが悪いだろ!」
「理由はよくわからないけどティルダちゃんも突き落としたならそれは良くない。 でもカイも言葉でティルダちゃん傷つけてる。 だからこのケンカはお互いに『ごめんなさい』だ。 あとカイはちゃんと服を着ておいで」
「ごめんなさい……」
「……」
私は先に謝ったのにカイはまたムシする。
たしかに私だってわるい事した。
でもカイだってイヤな事言った!
なのになのに何でこっち見てくれないの?!
「カイ、突き飛ばしちゃってごめんなさい!」
もう一回あやまったのにやっぱり何も言ってくれない。
もう私のことキライになっちゃった……?
じわじわ涙が出てくる。
鼻をすすってたらちょんちょん、とロウハさんが私の頭を指でつついた。
何だろ、と思ってロウハさんを見たら、ロウハさんがニコニコしてカイの方を指さした。
……あれ、よく見たら耳とシッポがちょっとだけピクピクしてる。
もしかして。
「カイ、仲直りしよ……?」
あ! また動いた。
なんだ、ちゃんと聞いてくれてるんだ。
そう思ったら胸の奥があったまってきた。
私はロウハさんに向かって頭をさげた。
「ロウハさん、うるさくしてごめんなさい!」
「いやいや僕は何もしてないよ! 僕の方こそ上手く取り次げなくてごめんね? ……大丈夫かい?」
「大丈夫だよ。 後でもう一回あやまるから」
ケンカしてもカイの事、好きだもん。
そう言ったらロウハさんがまた『尊い……』って泣きだしちゃった。
ロウハさんはホント泣き虫さんだ。
こんなやさしい人にこれ以上心配かけたくない。
だから絶対に仲直りしてフカルクに行くんだ。
そしてカイのお兄さまを助けるんだ!
大丈夫、カイならきっと話を聞いてくれるから。




