第1章 | パート7:首都の浄化
夜明けがようやく顔を出し始めた頃、街の塔にある小さな鐘が静かに鳴り響いた。まるでまだ夜の闇の残りを追い払うのをためらっているかのようだった。冷たいはずの朝の空気には、鉄の匂いが混じっていた。首都の通りからまだ完全に洗い流されていない血の匂いだ。
私は重い目で目覚めた。まるで、見えない何かに強制されたかのようだった。前夜の不安で体はまだボロボロで、まるで悪夢が頭の中でずっと繰り返されているかのようだった。
「『憤怒の司教』が…消えた」私のベッドのそばから、か細い声が聞こえた。ジョイの声だ。
私が顔を向けると、彼女の目はうつろで、まるで自分が今言った言葉を信じられないようだった。
「消えた?」私は信じられない半分の気持ちで尋ねた。「本当か?あんなに強いやつが、ただ消えたのか?」
ジョイは静かにうなずき、うつむいた。「そのニュースはあっという間に広まった。みんな、星のローブを着た男、アステルが彼を打ち倒したって言っている。私…どう感じたらいいか、まだ分からない」
私は顔をこすり、眠気を払おうとした。「もしそれが本当なら…首都はもう安全ってことだろ?それなのに、どうして僕はこんなに嫌な気分で目覚めたんだ?」
ジョイは黙り込み、それから深いため息をついた。「だって…消えたのは憤怒だけだから。戦いの腐敗した匂いはまだ残っている。この街は、すぐにきれいになるわけじゃない」
私は重くため息をついた。「うーん、ますますうんざりするな」
首都へ
数時間後、私は首都に向かう一団に加わった。皆、勝利を祝い、破壊の残骸を片付けるための国民の参加だと言う。
しかし、私は口から漏れる不満を抑えることができなかった。
「マジかよ、ジョイ?どうして僕らがこんなゴミ拾いを手伝わなきゃいけないんだ?これじゃ、アステルをさらに崇拝させるだけだろ?みんなが彼の名前を叫び、彼を崇め、そして僕らはただの…掃除屋か?」
ジョイは私の方を向いて、冷たい顔をした。「人前でそんなことを言わないで。みんなこれは神への感謝の形だと思っているんだ。ただのボランティアじゃない」
「何が違うんだ?僕は彼らの神とも、ましてやアステルとも、感情的なつながりなんてない」と私はぶつぶつ言った。
突然、後ろの列にいた見知らぬ誰かが、熱狂的ともいえる声で口を挟んだ。
「若者よ、これは得か損かの話じゃない!これは信仰の問題だ。アステルは星の光の使者だ。首都を掃除することで、私たちは彼を通して祝福を下さった神に感謝を示しているんだ!」
私はただ鼻を鳴らすだけで、反論する気はなかった。「はいはい…勝手にやってくれ」
街の三叉路での光景
首都の中心部へ向かう大きな三叉路にたどり着いた途端、私は息をのんだ。
いつも賑わっていた通りは、虐殺の現場に変わっていた。血が隅々まで飛び散り、石畳の間で乾いていた。人間の—あるいはモンスターの—内臓が散乱し、すでにハエやウジ虫が群がって白くなっていた。手足や、さらには頭までもが、市場のゴミのように隅に転がっていた。
腐敗した匂いと生臭い匂いが混ざり合い、私の鼻を突き刺した。
「うっ…信じられない…」私は突然むかむかした腹を押さえた。
そして、案の定、私は朝食をそのまま道端で吐いてしまった。胃酸と唾液が口に広がり、さらに吐き気を催させた。
ジョイは私の背中をそっと叩き、私をその場から引き離した。「耐えられないなら、マスクを着けて。私たちは仕事を続けなきゃいけないんだから」
マスク班
私たちは道の脇にある小さな拠点へ向かった。そこでは、ボランティアが腐敗した匂いを抑えるためのハーブの香りのマスクを配っていた。
「あああ…」私はそれを着けて深く息を吸い込んだ。「このマスクを着けたら、まるで山の新鮮な空気を吸っているみたいだ」
ジョイは小さく微笑んだ。「少なくとも、これで耐えられるでしょう」
私の隣では、シンティア—あのエネルギーが尽きることのないブロンドの女の子—が、熱意に満ちて拳を握りしめていた。
「よしっ!頑張って働こう!私たちが元気を出せば、他の人もきっと元気になるはず!」彼女はまるで戦争の指揮官のように叫んだ。
私はただ目を回した。「もう、君のエネルギーは尽きないのか?」
「私たちがやらなきゃ、誰がやるの?」彼女は満面の笑みで答えた。
一日中清掃
私たちは作業を始めた。血を掃き、体の一部が入った袋を集め、腐敗した肉の山を燃やし、浄化の薬草を混ぜた水で道を洗い流した。
体の一部が入った袋を担ぐたびに、私の腹はまたむかむかした。
「どうして…これはただのボランティア作業よりも、ずっと重く感じるんだろう?」私はバケツを引きずりながら不満を漏らした。
ジョイは私に顔を向け、無表情に言った。「これはただの汚れじゃないからよ。これは憎悪の残り。あなたは体を掃除しているだけでなく、残された憤怒の怒りを片付けているの」
シンティアは、血まみれの床を掃きながら付け加えた。「だからこそ、心を込めて働くことが大事なのよ。もし私たちが嫌がったり、怠けたりしたら、その闇は消えずに残ってしまう」
私は鼻を鳴らした。「これは汚いから嫌なんだ。闇とかそういうのとは関係ない」
それでも、無意識のうちに私は仕事を続けた。
一日中、会話が交わされた。不満を言う者、働きながら祈る者、互いを励まし合う者。時折、誰からともなく、張り詰めた沈黙を打ち破るように小さな歌が聞こえてきた。
太陽は動き続け、マスクの下では汗が流れ落ちた。背中は痛み、手はだるかったが、ゆっくりと道はきれいになっていった。
司教たちの祈り
夕方になり、聖なる紋章で飾られた馬車から、数人の司教の幹部が降りてきた。彼らは金の装飾が施された白いローブをまとい、その顔は真剣だが威厳に満ちていた。
彼らの一人が手を上げると、その力強い声が響き渡った。
「首都の民よ!今日、我々は破壊を目の当たりにしたが、同時に復活も見た。憤怒の闇を払った星の光の力で、この地を再び清めよう!」
集まっていた信者たちはすぐにひざまずいた。泣き出す者、歓声を上げる者、ただ静かにうつむく者もいた。
司教たちは聖水を振りまき、香を焚き、長い祈りの言葉を唱えた。彼らの声は響き渡り、平和と不穏さが混ざり合った奇妙な雰囲気を作り出した。
私は少し離れた場所に立ち、それを眺めていた。「まるで…大きな儀式みたいだ。彼らは本当に、祈りでこの街がきれいになると信じているんだな」
ジョイは私をしばらく見てから、ささやいた。「信じるかどうかは別として、あなたも感じているでしょ?空気が少し軽くなったのを」
私は答えなかった。しかし、確かに、どういうわけか、鼻を刺すような生臭い匂いはゆっくりと消え始めていた。
二人の謎の人物の出現
雰囲気が落ち着き始めたとき、けたたましいクラクションの音が皆の集中を破った。
一台の黒いバンが道の端に止まり、ドアが開くと、二人の人物が飛び出してきた。彼らの格好は本当に奇妙だった。まるでサーカスのピエロのように派手な色の服を着て、表情豊かで、大げさな身振り手振りをしていた。
そのうちの一人が、大きな声で叫んだ。
「首都の皆さん!今夜のサーカスショーをお見逃しなく!ちょうど八時です!来て、今まで見たことのない奇跡を目撃してください!」
二人は劇的なスタイルでお辞儀をし、そのままバンに戻って去っていった。群衆は混乱していた。
私は眉をひそめた。「一体何なんだ?本気で、こんな出来事の後に…サーカスの宣伝かよ?」
シンティアは逆に大声で笑った。「あの人たちのスタイル、好きだわ!今夜、見に行こうよ!きっと面白いよ!」
ジョイはただため息をついた。「あまりいい考えとは思えないけど…屋敷のみんなが興味を持っているなら、選択肢はないわね」
私は額を叩いた。「信じられない…人間の内臓を片付けた後、そのままサーカスを楽しみにするなんて。この世界は本当に奇妙だ」
夜へ
首都から帰宅した後、私たちの体はボロボロだった。しかし、屋敷の雰囲気は一転して賑やかだった。ほとんどの人がそのサーカスの話で持ちきりだった。
「聞くところによると、彼らは魔法なしで火を呼べるらしいわ!」ジョイが言った。
「話せる猛獣のアトラクションもあるんだって!」メイが言った。
「もしかして…外国から来たサーカスなのか!」リアムが言った。
私はただ椅子に座り、顔を枕で覆っていた。「どうして僕までこんなことに巻き込まれなきゃいけないんだ…」
しかし、心の奥底では、私も好奇心を感じていた。
あのサーカスは、ただの娯楽なのだろうか?
それとも…その舞台裏には、もっと暗い何かが待ち受けているのだろうか?