第1章 | 第4部:星の神聖な光
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[return by death]
チェックポイント一に戻ってきた。
「兄さん、この辺の人じゃないですよね」
カイトの簡単な質問に、私は答えられなかった。
体は硬い地面に叩きつけられた。呼吸は荒く、心臓は胸郭から飛び出そうとしていた。全身がこわばり、目は瞬くこともできず、耳鳴りが徐々に私の意識を飲み込んでいく。世界は回転し、そして闇に包まれた。
カイトに一言も話すことができなかった。
そして、静寂。
再び目を開けると、視界は黄金の光に包まれていた。体は暖かく、まるで太陽の光に抱かれているようだが、その熱さはない。背中に突き刺さるような痛みは消え、代わりに何千ものガチョウの羽に触れられているような柔らかな感覚が広がった。
白いローブをまとい、金の装飾を施した人物が私の目の前に立っていた。胸にはかすかに光る星のシンボルが輝いていたが、そのオーラは部屋全体を圧倒していた。彼は普通の人間ではない—これまで見てきたどんな奇妙な生物と比べても、そのオーラははるかに彼らを凌駕していた。
「兄さん、どうして急に気絶したんですか?」カイトの声はパニック状態だった。顔は汗でいっぱいだ。
私は振り返り、まだ息が切れていた。「分からない…急に体が麻痺して…」
「それなら、僕の屋敷で休みますか?」カイトは心配そうに尋ね、笑顔を作ろうとした。
答えようとしたが、再び黄金のローブの人物に視線が向かった。彼は星のように輝く黄金の瞳で私を見つめていた。そのまなざしは…感情を一切持っていなかった。
「大事なことを見落としていたことに気づいた」と、私はつぶやいた。
突然、記憶の断片が頭の中を駆け巡った。屋敷へ向かう道で起こった暴動、首都で狂った呪文を唱える邪教、そして巨大な針を持つ裁縫女。どの可能性も死で終わった。そしてどの死も、私を振り出しに戻した。
しかし、もっと奇妙なことがあった。心の中で**「Return by Death」**という言葉を口にしようとすると、まるで見えない手が私の口を塞ぐように、舌が動かなくなった。時間の流れがほんの一瞬止まったかのように感じられた。まるで…その秘密を明かすのを阻む、超自然的なルールがあるようだった。
私は白いローブの人物を見つめた。「あんた、一体誰なんだ?」
彼は少しだけ頭を下げた。その声は平坦で、抑揚がほとんどなかった。「アステルという。多くの者には『調律者』と呼ばれている」
「アステル…?」私は静かに繰り返した。その名前は聞き覚えがないが、そのオーラは…空間全体を飲み込んでいるようだった。
カイトは驚いて、目を見開いた。「調律者!?兄さん、知らないんですか?!」
私は首を横に振った。「初めて聞いた」
カイトは、半分怒り、半分畏敬の念を抱いた表情で私を見つめた。「彼はこの大陸の生きる伝説ですよ!最強の一人です。多くの話がありますが、僕はただの物語だと思っていました!」
アステルは、その称賛には無関心なように、ただ静かに立っていた。
私は深く息を吸った。「あなたが伝説かどうかはどうでもいい。大事なのは、あの屋敷に着かなきゃいけないことだ。さもないと、僕は同じ場所で死に続ける」
アステルはしばらく私を見つめた。「何度も同じことを繰り返してきた者のように話すな」
私は歯を食いしばった。「話したところで信じないだろう」
「その通り」アステルは軽くうなずいた。「しかし、お前が望むなら、同行しよう。他人に干渉するのは好まないが、時として均衡には小さな手助けが必要になる」
私は無理に笑みを作った。「それなら、もう一度試してみよう」
危険への旅
私たち三人は、屋敷へと続く小道を歩き始めた。あたりは静かで、足音だけが響いていた。
私はアステルに少し説明しようと試みた。「一人の女がいる。狂った女だ。長さ十メートル、鉄柱のように太い針を持っている。その武器は容赦なく体を貫く。彼女は人の内臓を切り刻むのが好きらしい。売るためか、ただの狂気を満たすためかは分からない」
カイトは唾を飲み込み、顔を青ざめさせた。「兄さん、それは…恐ろしいです」
私はうなずいた。「経験済みだ。あの針が背中に刺さった。その痛みは…忘れられない」
アステルは一瞬私を見てから、視線を前方に向けた。「まるで経験したかのように詳しく話すな。それは記憶か、それとも予知か?」
私は少し沈黙した。「どちらも、と思ってくれ」
道中、私はずっと戦略を考えていた。屋敷への道は、あの女だけでなく、首都にいる邪教の可能性によっても危険だった。もし彼らが呪文を唱え始めれば、大量死は避けられない。
だが、今回はアステルがいる。調律者と名乗る存在だ。
それでも、私の心は不安だった。たとえアステルが私たちを守ってくれたとしても、また死ぬことがないという保証はどこにもない。
裁縫女との遭遇
石畳の交差点に差し掛かったとき、あの女の姿が現れた。髪は乱れ、目は赤く輝き、口元には狂った笑みが浮かんでいた。手には、月の光で光る巨大な針があった。
彼女の隣には、小人のように小さな男が立っていて、鼻を刺すような生臭い匂いを放つ真っ黒な容器を持っていた。血か?それとも人間の臓器か?知りたくもなかった。
「へへへ…どうやらデート中みたいだね」アステルは平静を保ったままつぶやいた。
女はけたたましく笑った。「金の星か、いいね!お前の内臓を味わいたい!ああ…待ちきれない!」彼女の口からよだれが垂れ、石畳の地面に滴り落ちた。
一瞬にして、巨大な針が信じられないほどの速さで飛んできた。ほんの一秒で、その先端が私の頬をかすめた。血が滴る。女はヒステリックに針の先端を舐めた。
「これだ!私が探していた味!星の新鮮な肉の味!アハハハハ!」
私は反射的に後ずさりし、体が震えた。
アステルはただローブを払った。強風が吹き荒れ、女は埃っぽい地面に吹き飛ばされた。
隣にいた小人男がうなり声を上げ、獰猛な顔でアステルに飛びかかった。「私は神の存在を信じる!この力で、地上に降りた悪に立ち向かう奇跡を授け給え!」
アステルは手を上げた。まばゆい黄金の光が現れ、視界全体を眩ませた。
「星の光の力よ…輝き給え。地上に落ちた地獄の住人を消滅させよ」
一瞬で、小人男の体が消滅した。灰も、何も残らなかった。彼が立っていた場所には、ただ虚無が広がっていた。
女は目を見開いて、顔を青ざめさせた。「いや…そんなはずはない…」彼女は後ずさりし、背中が壁についた。
アステルはゆっくりと近づいていった。「お前が哀れに見えるよ、お嬢さん」彼の笑みは薄かったが、その口調は嘲笑のようだった。
「やめて!殺さないで!」女はもがき、手は震えながら針を握っていた。
アステルは首を横に振った。「光で消滅させはしない。私には別の方法がある」
彼はローブのポケットに手を入れ、星の模様が描かれたカードを一枚取り出した。何も描かれていないカードだ。
彼は軽い動作で、そのカードを人差し指と中指で挟み、女の胸に当てた。
「我が偉大なる神よ、御身の被造物に教訓を与える力を我に与え給え、そして教えを学ばせ給え」
一瞬で、女の体はカードの中に吸い込まれた。彼女のシルエットがそこに描かれ、声なき悲鳴を上げていた。
私は呆然とした。「今…何を見たんだ?」
アステルはしばらくカードを見つめ、それを高く上げた。女が持っていた巨大な針が、カードの絵から現れ、空中に浮いた。その武器にまとわりついていた邪悪なオーラが、今やアステルの体を包み込んでいた。
一振りで、針は地面に突き刺さり、大きな亀裂を入れた。風は荒々しく渦巻き、まるで女の本来の力が今アステルに所有されているかのようだった。
「こういう感じか」彼の声は依然として平坦だった。「興味深い、だが遅すぎる」
彼は指を鳴らした。その瞬間、彼の体は元に戻り、黒いオーラは消え、針も消えた。彼はそのカードを私の方へ投げた。
「取れ。お前にとって役に立つ」
私は反射的にそれを受け取り、困惑した顔でカードを見つめた。
アステルは振り返り、歩き去っていった。「十分に手伝った。残りは、自分で進むんだ」
カイトは無邪気に手を振った。「星のお兄さん、本当にありがとうございました!」
私は大きくため息をついた。「彼は…忙しいみたいだ」
「兄さん、本当に彼を知らないんですか?」カイトは真剣な目で私を見つめた。「アステルは伝説ですよ。この大陸で一番強い人。もう人間ですらないという話もあります」
私は手の中のカードを見つめ、心臓が高鳴った。「それなら…サインを頼むべきだったかな」
カイトは小さく笑ったが、その声はまだ震えていた。
屋敷へ
旅は続いた。あの女が消えたことで、肩の荷は軽くなったが、私の心はまだ不安でいっぱいだった。
遠くに、ついに壮麗な屋敷が優雅に建っているのが見えた。月明かりがその前の広大な庭を照らしていた。
しかし、その庭に、長い髪を解いた一人の女が静かに立っていて、私たちの方を見ていた。彼女のシルエットは神秘的で、夜風が彼女の髪を激しく揺らしていた。
私は唾を飲み込んだ。「どうやら…ショーは始まったばかりのようだ」
良い1日を