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死んで生き直す無限ループ  作者: Putra Maulana
第1章 人類の7つの大罪

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17/24

第1章 | パート17: 首都圏リーダー候補 ルミネ

ルミネ王国の空は、ラックス王女の悲劇的な死以来、まだ完全に晴れてはいなかった。しかしその日、王国の中心広場はあらゆる場所から来た人々で埋め尽くされた。六大陸の旗が掲げられ、風に吹かれてはためき、儀式の太鼓が鳴り響き、ルミネ王女候補の選考開始を告げていた。


「国民よ、見よ!今日、我々は大陸の光の新たな顔を選ぶ!」と演説者が叫び、その声は魔法の拡声器を通して響き渡った。


10人の女性候補者がメインステージに歩いて上がり、それぞれが美しいドレスを身に着けていた。彼女たちの笑顔は魅力的で、まるでミツバチの注意を引こうと競い合う花のようだった。宮殿のバルコニーの上からは、他の5人の貴族の王女(ヴェロリア、オーロラ、エリンドラ、アクマリア、ミアウ)が審査員として座り、彼女たちの信頼できる騎士が付き添っていた。


10人の候補者の中で、シンティアはシンプルな白いドレスを着て立っていた。ドレスの氷の結晶は、太陽の光を浴びてかすかに輝き、彼女を優雅な氷の彫刻のように見せていた。しかし、彼女の心の中では、心臓が激しく鼓動していた。


「私…本当にできるのだろうか?」とシンティアは思った。

彼女は、自分が裕福な貴族の出身でも、青い血を引く者でもないことを自覚していた。しかし、ミアウ王女と友人たちの励ましが、彼女をそこに立たせる勇気を与えたのだ。


シンティアからそう遠くない場所に、深紅色の宝石で飾られたドレスを着た少女が、狡猾な笑みを浮かべて立っていた。彼女はシェリー、賄賂を贈るのが好きなことで有名な裕福な貴族の娘だった。ブロンドの髪は高く結い上げられ、唇は鮮やかな赤色で、その目は傲慢さに満ちていた。


舞台裏でシンティアとすれ違うとき、シェリーは軽蔑的な口調で囁いた。

「まず鏡を見てきたらどう、氷の少女。あなたのドレスはシンプルすぎるわ。あなたは宮殿の厨房のメイドにはふさわしいかもしれないけど…大陸の指導者候補にはふさわしくないわ。」


シンティアはドレスの裾を強く握りしめ、苦い気持ちを抑えた。しかし、彼女は小さく微笑むだけで、挑発に乗ることを拒否した。


候補者たちは一連の試験を受けた。


1.エチケット試験 – 歩き方、お辞儀の仕方、話し方。


シェリーは傲慢にも優雅な笑顔を見せた。拍手が鳴り響いたが、誰もが彼女の態度が単なる仮面に過ぎないことを知っていた。


シンティアは、ぎこちないながらも、自然な礼儀正しさを示した。彼女の優しい笑顔は、むしろ見ている一部の人々を魅了した。


2.知識試験 – 審査員は大陸の政治と歴史に関する質問をした。


オーロラは6つの首都間のバランスについて尋ねた。他の候補者は硬直した答えをしたが、シンティアは率直に答えた。

「違いは力です。一つの首都が崩壊すれば、この大陸はもはや完全ではありません。したがって、指導者の仕事は、気候、文化、人種が異なっていても、すべてがお互いを握りしめていることを確認することです。」


その答えに、ミアウは満足そうに微笑み、エリンドラは静かに拍手した。アクマリアだけが、単純な少女がそのようなことを言うことができるとは信じられないかのように、冷たく鼻を鳴らした。


3.民衆の前でのカリスマ性試験 – 各候補者は短いスピーチをしなければならなかった。


シェリーは優雅に立ち、その声は大きく響き渡ったが、その内容は空虚な約束で満たされていた。「私はルミネをより繁栄させ、より豪華に、より美しくします!」


シンティアは、少し震える声で言った。

「私は完璧ではないかもしれませんが、ルミネの光は一人の人間から来るのではなく…共に戦うすべての人々から来ると信じています。もし機会を与えられたら、私はその光を守りたい。」


人々は歓声を上げ、涙を流す人も多かった。




当選者の発表


すべての試験が終わると、審査員団は話し合った。候補者の名前が挙げられ、一人ずつ除外されていった。緊張の瞬間が続き、最終的に2つの名前がメインボードに残った。


シンティア、クリスタルの王女


シェリー、贅沢の王女


広場は人々の歓声で満たされた。ほとんどがシンティアの名前を呼んだが、決定を下すのは審査員の声だった。


オーロラは、冷たくも断固とした声で、最終決定を読み上げた。

「五つの首都の評議会の過半数の票により、勝者であり、新しいルミネ王女候補は…レーベンハート家のシェリーです!」


拍手と人々の抗議の囁きが混ざり合った。シェリーは勝利に満ちた笑顔で立ち、まるで自分がすでに女王であるかのように手を振った。


シンティアはうなだれ、深呼吸をした。彼女の目は少し潤んでいたが、唇は小さな笑みを浮かべていた。


舞台裏では、静寂が訪れ、ついに私が近づき、彼女の背中を叩いた。

「大丈夫だよ、シンティア。あなたは素晴らしい戦いをした。」


レオポルドは小走りで兄に抱きついた。

「お姉ちゃん…ナイス・トライ!お姉ちゃんはトップ2に入ることができて、すでにすごくクールだよ!」


メイはジョイを肘でつつき、二人は声を揃えて言った。

「本当に、シンティア。あなたはすごいわ!もし私がさっきステージに立っていたら、きっと死ぬほど緊張していたわ。」


リアムはだるそうにあくびをし、壁に背中を預けた。

「それに…国を治めるのは面倒だよ。毎日ドレスアップして、会議に出席して、睡眠時間も少ない。あなたはきっとリラックスする時間もないだろう。だから、これはむしろ良かったのかもしれない。」


シンティアは、心が少し痛んだが、優しい笑顔を浮かべた。

「みんな、ありがとう…私は大丈夫だよ。」


オーロラは公式な口調で発表した。

「シェリー王女のルミネ指導者候補としての就任式は、今から一週間後に行われます。」


他の5人の貴族の王女は立ち上がり、一人ずつ宮殿を後にした。去る前に、ミアウは小走りでシンティアに近づき、彼女を強く抱きしめた。

「がっかりしないで。私はあなたを信じているわ、シンティア。いつか、その光はあなたに戻ってくるわ。」


シンティアは頷き、今にもこぼれそうな涙をこらえた。


発表が終わると、広場はゆっくりと空になっていった。人々は複雑な表情で散り散りになった。シェリーを支持する歓声を上げる人もいれば、不当な決定だと不満を漏らす人もいた。


貴族たちの足音は視界から消え去った。シンティアは友人たちと一緒に宮殿の裏に残り、気持ちを落ち着かせようとしていた。雰囲気は落ち着き始めていた…


しかし、太陽が灰色の雲の向こうに沈もうとしていたまさにその時


「ヒャ…ヒャ…ヒャ…ヒャー…!!」


かん高い笑い声が響き渡り、王国の塔の頂上から広がり始めた。その声は普通の人間の声ではなかった。狂気、絶望、魂を暗い淵に引きずり込むような調子があった。


誰もが上を見上げた。塔の頂上には、痩せた男のシルエットが立っており、体をかがめ、髪は乱れていた。その目は見開かれ、赤く充血し、唇は頬が裂けるほどニヤニヤしていた。


「あれは…スロウス…」と騎士が青ざめた顔で囁いた。


私自身も凍り付いた。私の記憶は、彼と最後に戦った時に引き戻された。彼は死んだはずだ。私はそれを見た。彼の頭はコンクリートの下敷きになって粉々になった…どうして彼がまたここにいるんだ?!


スロウスは外国語で呪文を唱えた。その言葉は骨のひび割れと悪魔の囁きのように聞こえた。たちまち、宮殿周辺の空気が震え始めた。


「立ち上がれ…狂気…立ち上がれ苦しみ…ヒャー!!」


私の周りの友人たちの体が突然持ち上げられ、そして—


バキッ!

彼らの頭が体から離れ、空中に浮かび上がり、血が激しく噴き出した。


シンティアは悲鳴を上げた。レオポルドはぼんやりと見つめ、体が崩れ落ちた。メイとジョイは声を発する暇もなかった。リアムは剣を抜こうとしたが、彼の頭はすでに先に離れてしまっていた。


私は…ただ立ち尽くすことしかできなかった。私の視界はぼやけていた。世界が回っていた。いや…違う…これは現実ではない。


スロウスは手を下ろし、その細い指から血が滴り落ちた。彼は私をまっすぐに見つめ、その目は狂気に満ちていた。


「驚いたか、若者よ?」その声はかすれており、笑い声が混じっていた。


私は息を切らし、声は震えていた。

「どうして…?私は…私はあなたが死ぬのを見た!あなたはもう存在しないはずだ…!」


スロウスは自分の頭を振り、血が唇から流れ出るまで大笑いした。

「死?私にとってそれはほんの一時的な中断に過ぎない…私はスロウス、怠惰の罪…この世界自体が私を取り除くことを嫌がっている。なぜなら、死でさえ私を消すには怠惰すぎるからだ!ヒャー!!」


私はほとんど正気を失いかけていた。


スロウスは私を深く見つめ、そしてその声はより低く、より突き刺すようになった。

「私はお前を見ている…お前もまた何か違うものを持っている。お前…若者よ…仲間にならないか?七つの大罪の一人になれ。私はお前に力、苦しみ、そして永遠を与えることができる。世界は我々にひれ伏すだろう。」


私の手は震えていた。呼吸は苦しかった。

私は答えなかった…ただ手に持っている剣に集中した。


私の体は勝手に動いた。剣が持ち上げられ…そして私の心臓の上で震えた。


スロウスはニヤニヤ笑い、その歯は血まみれだった。

「それは…お前が受け入れるということだな?」


私は目を閉じた。一瞬で—


クレッシュ!

私はその剣を自分の心臓に突き刺した。温かい血が噴き出し、意識は消え、世界は暗くなった。




[Return by Death]


濃密な闇が私を飲み込んだ。音はない。時間はない。ただ空虚があるだけだ。


そして—

ウーッシュ!


私の目は再び開いた。私は儀式の舞台に立っていた。ちょうどオーロラが発表したばかりの時だった。

「五つの首都の評議会の過半数の票により、勝者は…レーベンハート家のシェリーです!」


人々の歓声が再び聞こえてきた。まったく同じだ。言葉、視線、シェリーの笑顔—すべてが繰り返されている。


私は黙っていた。呼吸は荒かった。冷や汗が流れ落ちた。

これは…これが帰還点だ。Return by Death…私は再びここに戻ってきた。


私の手は震え、腰の剣を握りしめた。

スロウス…どうしてお前が蘇ったのかわからない。しかし、今回は…私はお前に愛する人たちを奪わせはしない。

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