表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

告白

作者: ろろ

友達から聞いた、さらにそいつの知り合いの話なんだけど。

仮にそいつをAとするな。


過ごしやすくて、月明かりが綺麗で、いい夜だったんだ。


ほろ酔いで、いい気分で、駅でツレと別れて、また明日ーなんて言ってAは家に帰ろうと歩いてたんだってよ。


Aの家周り、道も狭くて車1台ギリギリ通れるか位な上に入り組んでてさ、軽い事故とか結構よくあったのよ。自転車と歩行者の衝突事故とか歩行者同士のトラブルとかね。あんまり多いから逆に意識しなくなったらしいけどね。


歩いてたらね、すぐ横の路地から急に女が出てきたらしいのよ。


うわっ、って思って立ち止まったんだけど相手はスマホ見ながら多分ワイヤレスイヤホンもしててね、こっちには気づかずにAの進行方向に歩いていったんだって。


少しだけイラッとしたけどまあ、別にどうでもいい事だしさ、Aも普通に歩き出したのよ。


車通りが少ない夜とはいえ公道だし、出来るだけ道の左側歩いててさ、その飛び出してきた女もAのすぐ前を歩いてんのよ。


うわなんかこれつけてるみたいだな、なんて思って追い越そうとしたけどその子、Aとちょうど同じくらいの歩行スピードでさ、酔ってるから走る気分にもなれないしかと言って遅く歩くのも変だしさ、早く家に帰りたかったらしいし、流石に少し間隔は開けたけどしばらく一定の間隔で歩く時間が流れてね。流れたらしくて。


マジでストーカーじゃんって思って少し面白かったの覚えてるんだわ。だって。


その時さ、その女の人のうなじと少し出っ張った背骨が見えて、あれ?あーあっ殺せるなって思っちゃったんだよ。


いや、Aは今まで人とか殺したこと無いんだよ?当たり前じゃん。


でもその人さ、多分俺にも気づいてなかったし、俺が例えば日本刀を持ってたとしたらもうさっと横を通り過ぎた時に斬首出来ちゃうじゃん、なんて思ったんだよ。なんて無防備なんだって。


その人多分20代前半?位だったと思うけど、何百万っていう金と何万時間っていう時間と、家族とか友人とか職場とか法律とか、色々なものに守られてそこに立ってる訳で。


でもそんな人でも俺の思いつきで死ぬんだよ。

何でもない何となくの何かで殺せてしまうの。


遊びに行くのかな、待ち合わせかな、彼氏の家に行くのかな、バイトかな、ふらっと近くのコンビニに買い物にでも行くのかな、俺に殺されに来たのかな、なんて。


凄くないか?凄いだろこれ。その子が積上げてきた色々なものもその子を守ってるはずの色々なものも、俺次第なんだよ。俺の殺していい権利がその子の生きていい権利を上回ってると言えるんだよ。


そう考えると怖くなってさ、後ろ振り返ったんだけど誰も居なかったよ。軽く周りを見渡して俺とその子以外誰もいないの確認してさ、スマホのカバーを外して、その子の所に走りよってさ、


あぁ良かった、俺の生きていい権利はまだ侵害されないと思って、その子の頭スマホで殴ってみたんだよ。


あっスマホ貸して?俺今日忘れてきちゃってさ、ロックは解除しなくていいから。

角のとこ、ここ、そうここ使って渾身の力で。


Aは結構筋力に自信あったからそれで頭部吹っ飛ぶかな、なんて思ったんだよね。まあ無理に決まってるんだけど。


大きい石の上に重い石を落としたことある?あんな感じの音がしてさ、凄いのが俺気づかなかったんだけどすぐ横に電柱あってさ、俺が殴ってすぐ電柱に思い切り頭ぶつけてたんだよ。


そのまま崩れるように倒れてさ、その時地面にも頭ぶつけててゴンって音がしてなんかそのリズムが太鼓の達人みたいだななんて思ったよ。


ゴッゴッゴンってさ。

そんな話。オチ無くてごめんな。


少し歩いて救急車呼んで、家帰って寝て、朝起きてシャワー浴びて、少しのんびりして来た警察に適当に対応して、でお前ん家に宅飲みに来た。って訳。だからその後のことは分からないんだわ。


あっ、いや、友達から聞いた話ね。俺?って言ってた?いや、友達の話だよ。あーくそいや違う聞いた話ね。友達から聞いたAの話。あっそうちょうどニュースで、へー。俺ん家の周りで?怖いな。俺が来る前に、へー。あ、死んだんだ。へー。そういえば俺もそのニュース見てから来たんだっけ。覚えてねぇや昨日の事だし、ん?違うな。くそ。あー俺結構酔ってるな。ごめんな。忘れてくれ。これも俺の作り話だから。違うなそうそう友達のね。ニュースも嘘だから。ははっ。


え?いやスマホ触るのはダメだろ。

返してって、今はダメだろ。座れよ。おい。

落ち着いたか?なんで泣きそうなんだよ。酔ってんのか?座れよ。だから俺じゃねえってお前殺すぞ。冗談だよ冗談。泣くなって。お前の手温かいな。でも震えてるな寒いのか?膝の上座るか?ほら座れ座れ気にするなよ男同士でも別に俺は気にしな



あ、背骨だ



あー別になんでもない。手も握っててやるからな。俺お前と仲良くなりたいんだよ。な?な?落ち着けよ。だから泣くなってもー。ほら、深呼吸深呼吸。スマホのカバー外させてもらうな。大丈夫だってだから。落ち着いて。ほら。


さ、次はお前の番ね。怖い話、聞かせて。

短めのやつね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ