第38話
仕事が忙しく寝る暇もない。
そんな日々を送り身体も心も悲鳴を上げていた男に目を疑う情報が舞い込んだ。
24時間起き続けられる方法とはいったい?
24時間起き続けた男の顛末は・・・
「吉永さん?」
「あぁ、古川さんだな。
世話になったな。」
男は静かに私の方を見ながら呟く様に口を開いた。
「漁港でお前が会った男を殺したのはオレだよ。」
男の発言に私は激昂し、詰め寄った。
「あんたのせいで、オレは訳もわからず、どうしてくれるんだ!」
男はため息をつき、私を睨んだ。
「元はと言えば、この身体はオレだ。
お前が勝手に乗り込んで来たよそ者だろう。
オレが何しようがオレの勝手だ。」
私は男の言葉にハッとしたが、納得いかなかった。
「私はあんたがアンドロイドだと聞いていたんだ。
本当に生きていた人間だったなんて……私は何も知らなかったんだ。」
男は私に近寄ると、
「これからの話をしないか?」
と呟いた。
「これから?…どういう事だ?」
「オレはお前が邪魔だ。
お前はオレが邪魔なんだろう?
どっちがこの身体の主導権を握るかって事だよ。」
「何を言っている?
そんなロボット操縦の様な話訳がわからない。
大体どうやってそんなの決めるんだ?」
男は私を押し倒し馬乗りになって首に手を回した。
「こういう事だよ。」
私は男の鼻を殴り、一瞬怯んだ隙に手を外して逃げた。
「ハァっ…ふざけるな!あんたは狂ってる!」
男は跪いたまま俯き笑い始めた。
あなたは寝てくださいね。