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第35話
仕事が忙しく寝る暇もない。
そんな日々を送り身体も心も悲鳴を上げていた男に目を疑う情報が舞い込んだ。
24時間起き続けられる方法とはいったい?
24時間起き続けた男の顛末は・・・
「…うるせぇなぁ。」
私は粗い呼吸のまま声のする方向に振り向いた。
「あなたは……」
そこにいたのは海で私に話しかけてきた男で血まみれで息も絶え絶えの様子だった。
「なんでこんな事に、あなたは?どうして?」
頭の整理がつかない私に男はふり絞る様に声を出した。
「おめぇ、吉永だったんだろ?
良かったじゃねえか、仇がうててよぉ。」
「吉永って?
仇ってなんなんですか?」
私が問い詰めると、
「あんたさっきまでとは別人だな…」
男はそう言って動かなくなった。
この状況の事は一つも理解できなかったが、ここを離れるべきだという事だけをなんとか私は思い付き、私は血だらけの包丁と用意周到につけられていた手袋を投げ捨て、急いでドアから走り逃げ出した。
あなたは寝てくださいね。