第33話
仕事が忙しく寝る暇もない。
そんな日々を送り身体も心も悲鳴を上げていた男に目を疑う情報が舞い込んだ。
24時間起き続けられる方法とはいったい?
24時間起き続けた男の顛末は・・・
振り向くと男が私の顔を覗き込んだ。
「ん、見ねぇ顔だな。」
私は恐怖心を押し殺し、現状を少しでも理解する為に男に話しかける事にした。
「気付いたらそこの家にいたんです。……ここはどこですか?」
「ここは松前だ。」
聞き慣れない地名に私は混乱した。
「松後ってどこですか?」
「北海道の松前だ。」
(北海道!)
私の唖然とした顔を見て男は本当に私が何もわかっていない事を理解した様だった。
「おめぇ、あそこの家にいたっつったな。
あそこの家は吉永さん家だったなぁ。
随分前にいなくなっちまったけど。」
私は男に近付き「ご存じなんですか?」と詰め寄った。
「あぁ、吉永さんいなくなる前、借金取りが来てたみてぇだったな。
なんでそったら事になったのか知らねぇけど。
1年前くらいだったかな、夜逃げだったのか、急にいなくなってなぁ。
そんぐれぇだ、知ってる事つったら。」
「……そうですか、ありがとうございました。」
私は男にお礼を告げて先程の家に戻る事にした。
あなたは寝てくださいね。