13 告白
落ちてきそうな星空の下を、しばらく二人で並んで歩いた。その間、ユナはほとんど口を利かなかった。元々口数が少ないけれど、やっぱり落ち着かない。広い高原を二時間ほど歩いたところで、ユナはリュックを降ろした。
「このあたりでキャンプしようか」
「うん」
わたしもテントを降ろして、組み立てを始める。この旅の中ですっかりテントの扱いにも慣れた。二人でやれば、二十分もかからずに完成する。
「実は、とっておきがあるんだ」
そう言うと、ユナはリュックから小型のグリルとパックを取り出した。パックにはタレに漬け込んだお肉が入っている。
「これで炭に火をつけてくれる?」
ユナは小さなマッチを渡してきた。グリル蓋の中には筒状の炭が六個並んでいる。
「こんなセットを持ってたのなら、早く使えばよかったのに。リュックが重くなるでしょ」
「楽したくなかったし、ここぞというときに使おうと思ってたから」
「ユナちゃんって結構溜め込んじゃう人だよね」
「……そうかな」
慎重で、気遣いが過ぎるユナ。これから抱え込んでいたものを全部吐き出してくれるといいのだけれど。
グリルの上で焼けるお肉を見つめながら、時折ユナの横顔をうかがう。焚火に照らされたユナの顔はいつもと変わらないようでいて、なんとなく物憂げにも見える。
「暗いから焼き加減がわかりにくいね」
「これを使うと、少しはましだよ」
ユナはライト付きのトングをリュックから取り出した。掴んだものを照らしてくれるので、少なくとも焦がす心配はしなくて済みそうだ。
「そんなのも持ってたの? なんでもっと早く出さないかなあ」
焼けたお肉を噛みしめると、口の中に肉汁が広がる。久しぶりのちゃんとしたお肉の味にちょっと幸せを感じていると、ユナの視線に気づいた。
「食べないの?」
「ううん、食べるよ」
そう言いながら、ユナはわたしをずっと見ている。心なしか微笑んでいるようにも見えた。
「早くしないと、全部食べちゃうよ」
「いいよ。レミがおいしそうに食べるのを見るのが好きだもの」
「なにそれ。わたしだって、ユナちゃんと一緒に食べたいよ」
「……うん。ありがとね」
そう言うユナの声は、今度は少し震えていた。
「わたしね、子供の頃からほとんど病院から出たことがないんだ。ここは、わたしが描いた世界なの」
ユナは一口だけお肉を口に入れると、ゆっくりと話し始めた。




