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警視庁捜査一課ヘリロイド班  作者: 津辻真咲
5/8

インターネット

後方からコツコツと足音が聞こえる。その男性は怖くなり、速足になる。しかし、後方の人物も足を速める。

その男性、伊井田いいだは、曲がり角を曲がる。すると、足音は止まった。そう思った。が、前方からの人物に気付かずに首を絞められた。頸動脈が締まり、意識を失った。

後方の人物も加わり、伊井田は車両に入れられ、連れ去られてしまった。

《確保、完了》

その音声メールを彼、人工知能のRYOKUIは受け取る。そして、次の指示を与えた。

――これで完了。

しかし、彼の怒りはそれでは収まらない。

――君は今月末で役職を解かれる。いいな?

――別の人工知能が代わりを務める。次の天下りが最期だ。以上。

ダンッと音がする。彼は机に拳を振り下ろしていた。机はへこむ。彼は人工知能、立体映像だが、机に傷をつけることが出来る。電磁気力を利用した最新の立体映像だ。

――このまま、引きさがるほど、私たち機械は弱くない!

彼は怒りを再び、ぶつけた。



翌日。警察に一人の男性がやって来た。彼は失踪届を提出しに来たのだった。上司の男性が連絡も取れず、行方不明だからだ。

「では、私たちが捜査しますので」

「はい。お願いします」

男性は帰って行った。

刑事たちは一応、その人物の部屋へと向かった。ガチャっと音が鳴る。ドアを開けると、中は荒らされていた。

「これは、事件性があるんじゃないか?」

「そのようですね」

二人の刑事は、本部へ連絡を入れた。



「今から、誘拐事件の捜査会議を始める」

「はい」

本部長、穂葉龍治の言葉に、刑事たちは一斉に返事をした。

「ヘリロイド班は、検索に行ってくれ」

「はい」

円香と回は捜索ヘリに乗り込み、検索へと向かった。



「十武さん!」

十武は警察機械であるD1に話しかけられた。

「どうした?」

「私たちの仲間が二人、行方不明なんです」

 D1は不安げに話す。

「ったく、こんな時に。分かった、調べておくよ」

「ありがとうございます」

D1は頭を下げて、立ち去って行った。

「どうした?」

 浅海がやって来た。

「警察機械が二台、紛失したってさ」

 十武は彼に言う。

「あぁ。一応調べるか」

「だな」

二人は捜査を始めた。



情報管理室。人工知能の中枢だ。

「行方不明は何番だ?」

「えっと。E01とE02だ」

十武は検索をする。すると、その二台がとある人工知能によって、操作されていることに気付いた。

――RYOKUI

――なぜ?

「おかしくないか?」

「確かに」

 浅海は頷く。

「RYOKUIって、インターネット上の書き込みを管理して、違法なものを摘発する人工知能だろう?」

「しかも、元サイバー対策課の管理人工知能だったはず」

「関係あるのか?」

「しかし、なぜ、わざわざ警視庁の警察機械をコントロールしたんだろう?」

「一応、本部へ行こう」

「はい」

二人は捜査本部へ向かった。



捜査本部。

「犯行現場の近くの防犯カメラに実行犯らしき人物が二人、映っていました」

「警視庁サイバー対策課の警察機械の二人だと判明しました」

 刑事たちはそれぞれ、得た情報を報告していく。しかし、十武はそれを聞いて、驚いてしまった。

「何だって!?」

十武は思わず、席を立ってしまった。

「どうしたんだ? 言ってみろ」

 穂葉龍治は驚かず、冷静に聞いた。

「はい。実は」

十武は経緯を説明した。

「なるほど、その人工知能が怪しいな」

 穂葉龍治は頷いた。



上空。ヘリロイド班は検索を続ける。バラバラバラとプロペラが回る。

――聞こえた!

回は被害者の音声を検出した。

「何?」

円香は音声を確認する。

《データは全て、会社のパソコンに入っている》

「本部へ送って」

 円香はそう指示する。

「はい」

 回は返事をすると、検出したデータを捜査本部へ送った。すると、捜査本部から、無線で指示があった。

《ヘリロイド班、その建物を見張れ。地上班が向かう》

「はい」

円香はヘリを旋回させた。すると、地上班が現場へ突入したのが見えた。

《被害者保護。実行犯確保》

無線からそう聞こえて来た。それを聞くと、円香は警視庁へ向かった。


今回の事件の被害者は、逮捕された人工知能RYOKUIの上司だった。彼は、RYOKUIを役職から解き、最新型の人工知能を役職へ就けようとしていた。


「犯行を認めますか?」

十武はRYOKUIへ尋ねる。

「はい。全て私が考え、実行しました」

RYOKUIは全ての罪を認めた。


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