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転移しました、帰らせてください  作者: 紅花
1章 異世界に来た人間が皆フラグを望んでいるとは限らない
6/7

大ピンチ、からの超ピンチ

第6話、投稿です

(───ヤバイ、どうしよう)


目の前の青年は腕を離すつもりもなさそうであり未だに何かを話しているが、さっぱりわからない

いっそ「自分は声が出せない」と誤魔化そうかと考えるが、もし心を読み取る魔法なんてものがあれば間違いなく自分が何かを喋らなくても自分がこの世界の人間ではないことがバレる、そうなったらどうなるかわからない、イルセの言葉通りなら自分はこの世界にとって唯一の「異世界から来た人間」なのだ、言葉もわからないまま連れてかれて、そこで万が一自分の存在が危険だと判断されれば、良くて牢屋で軟禁、悪くて裁判も何も無しに処刑──────


(ヤバイ!それは絶対に嫌だ!!)


何とかして腕を振りほどこうとするが力が強く、とても自分の力では振りほどけない

そうこうしている内に青年はしばしこちらを見つめ再び何かを話した後、自分の腕を掴んだまま何処かへと行こうとする


(ヤバイ、私の人生終わった────)


頭の中が後悔と諦めの感情でいっぱいになる、ああ、私はただ平穏な人生を歩みたかったのにいきなりこんな訳のわからない世界に連れてこられて、最後は牢に入れられるか処刑だなんて───

と、突然あたりが騒がしくなる、自分が捕まるのを見に来た野次馬達かと声がする方向を向く、と


「¶÷√|`€•√|`!!」


そこには刃物を持った男と男に捕らえられている女性がいた、よく見ると男の方は先程見た手配書に描かれていた男ではないか


(え、何で今!?このタイミングで!?)


ふと青年の方を見ると青年は心なしか呆れた表情で男の方を見ている、注意が男に向いているなら、と今度こそ逃げ出そうとするが、未だ腕を掴まれたままで動かない


(何でそんなに掴むの!?どうしても逃さない気!?)


すると男がこちらに、というか青年に気付き何かを叫んで刃物を向ける

一方で青年は自分の腕を掴んだまま男の方を振り向き1つため息をつく


「────&¥#¥、-¥@#&%#@」

「─────!!」


青年が静かな口調で何かを言うと、男は顔を真っ赤にして女性を放り捨てて刃物を持ってこちらに突進してくる


(いや、これ私も危険だ!!ってか死ぬ!?)


と、青年が私の腕を離し強引に後ろに下がらせる

そして男に向かって手をかざす


「────@¥&¥-」


たった一言、何かを呟くと突然青年の前方に強烈な風が吹く、男は風に吹き飛ばされて後ろにあった掲示板に頭をぶつけ地面に倒れる、青年は気絶したのか動かない男のもとに近付き腕を持ち上げて強引に起き上がらせる


(────って呑気に見てる場合じゃなかった!!)


青年が男に気をとられている間に全速力でその場を離れる、後ろから青年の声が聞こえた気がしたが今の自分は早く逃げることしか頭になかった







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あっ、おかえりー、町はどうだった?」


何とかイルセのいる所に帰ってくる、今までに無い程全力で長い時間走り続けたせいでまともに息が出来ず、目の前を見上げることも出来ない


「うーん、その様子だといきなり何かに巻き込まれた様だね」


本当に大変だった、もうあの町へは行けないと肩を落とす、まさか転移して初めての町でトラブルに巻き込まれるとは思わなかった、なにせ異世界といってもここは現実、漫画やゲームとかではキャラクターとの顔合わせイベントはあるが現実はそんな都合よくそんなイベントは起こらない、だから少し安心して町に行ったのに散々な目にあった

呼吸も落ち着き、胸の痛みも少し収まってくる、そこでようやく顔を上げると、そこには小屋があった

否、あれは小屋というより立派な家だ、1階だけでなく2階部分もありこれの何処が小屋だと突っ込みたくなる


「いやー思ったより早めに完成したからちょっと凝った造りにしてみたらこうなって、まあ住処は広い方が良いでしょ?」


イルセの言っていることはわかるが、ここまで広くする必要はあるのか、と考えて気付く


「もしかして、イルセさんもここに住むんですか?」

「そうだよ?」


やっぱりかとため息をつく、まあ1人は好きだが同居人がいたほうが少しは安心できるかと考える

彼はこの世界の住人で今自分がこの世界で生き延びる為の協力者だ、決して不安が無い訳では無いが今頼れるのが彼しかいないのも事実だ、とにかく今は部屋で休みたい、今までに無い程走り続けて疲れたのだ、おそらく2階部分に部屋があるのだろう、とりあえず小屋、ではなく家に入れてほしい


「勿論すぐに部屋に案内するよ、ただその前に

──────さっそく、お客様が来たようだ」


イルセが目を細めて自分の後ろを見る、猛烈に嫌な予感がして自分もゆっくり後ろを振り向く


────そこには、自分とイルセを睨みつけている先程の青年がいた

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