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転移しました、帰らせてください  作者: 紅花
1章 異世界に来た人間が皆フラグを望んでいるとは限らない
2/7

歩き回って、少年と怪しい魔法使い

第2話、第一村人、及び相棒兼元凶の登場です

───歩く、歩く、

まだ森の中、人と出会う素振りもない

時折、不安を隠す為に走ったりしたが、やはりどんどん不安は増していく

ああ、こんなことならあそこを離れなければ良かった、何て今更後悔しても遅い、戻ろうとしてももう帰り道など解らない

───失敗した、失敗した、失敗した

頭の中でぐるぐる、後悔の念が浮かび上がる

助けを呼ぶ相手もいない、木の実があっても知識の無い自分ではそれが食用か毒かも解らない

何故こうなったのか泣きたくなる、一体誰が、何の為に自分を呼んだのか、場合よっては殴り倒すこともやぶさかではない、否、そうではなく

ぐぅぅ、と腹の音が鳴る、女らしくない音だ、と笑ってしまう、最も、笑っている場合では無いのだが


(ああ、私はこのまま誰にも知られず死ぬのか)


一日飲まず食わずでも何とかなるだろう、だがこのままだと間違いなく死ぬ、死ぬのは恐ろしいし嫌だ、しかも突如連れてこられた未知なる場所で


(お母さん、悲しんでくれるかな)


その考えが頭をよぎる、ああ、私の命運もここまでか、と

考えた、所で


「────#%&-+¥#@@!!」


ああ、聞き慣れない単語が聞こえる、英語か、あるいは全く知らない言語か、と思った所で

───待った、今の声は、誰の───


「───-&¥###%%&¥!!」


声は上から聞こえた、驚いて見上げると

─赤髪の少年が、木からこちらに飛び降りていた


「!!??」

「%##¥&%!!」


途端、衝撃が走る、大丈夫、頭は守った、どうやら自分はあの少年とぶつかってしまった様だ


「**、%-%¥...」


目の前の少年はおでこを抑えている、ぶつかった時に打ったのだろう


「あ、あわわ、ごめん!なさい!大丈夫!?でしたか!?」


あわてて少年のそばに寄る、そこでようやく少年の容姿を見る

赤い髪と瞳、見た感じ、歳は自分と同じか少し下だろうか、ただ瞳は大きく人懐っこい印象があり

動物に例えると間違いなく犬、更に例えるならRPGゲームの勇者、といったとこだろう


「──&%¥.*##';?」


ふと、少年が何かを話しかける、が


(ぜ、全然わからん・・・っ!)


少年の言葉は全く聞き慣れない言葉だった

日本語が通じるかも、といった期待が淡く崩れ去る、少年は何やら不安そうな顔で何かを話している、これは───


(心配、してくれてるの?)


正直、根拠は無い、ただ目の前の少年には自分を傷つけようといった悪意がないのは感じ取れた、先程もぶつかりそうになって自分に危険を伝えようとしてくれたのだろう

大丈夫、と言おうとして、日本語では通じないのでは、と考えジェスチャーで「大丈夫」と伝える


(これで、通じるかな?)


日本では当たり前のジェスチャーが他の国では侮辱や挑発のサインになってしまう話も聞いたことがある為、不安であったがジェスチャーを見た少年は不安そうな顔から一気に太陽の様な笑顔を浮かべる


「%¥&+!¥#%¥!」

(良かった、ちゃんと通じた)        


少年の笑顔に自分を安堵して微笑む

すると、少年が持っていたカバンから何かを取り出す

それは、見たところ自分の国にもあったリンゴに似ている、というか見た目は同じ果物だった


「&¥#%&###!%¥##%%%##!」


少年は果物を指差し、何かの説明をしている様だが、何を話しているのか解らない

と、説明が終わったのか少年は呆然としている自分の手を取り、その上に果物を乗せる


「えっ?あのっ」


慌てて返そうとするが、少年は立ち上がり満面の笑顔を浮かべたまま手を振ってその場を去って行った


「いや待って!サヨナラはやめて!ちょっと!」

その言葉も虚しく、少年の姿を見失ってしまい、後には自分と少年が渡した果物だけが残された


「・・・これ、食べていいの?」


毒は無い、と思うがやはり不安はある、彼らの様な異世界の人間には問題無くとも、自分にとっては毒という可能性も─────


「随分と疑ってる様だけど、君が食べても問題ないよ、ソレ」


先程とは違う声、そして聞き慣れた言語────日本語だ

後ろを振り向くと、そこには1人の青年が立っていた

白いローブに身を包み、フードから見える薄い水色の髪、そして右が金色、左が銀色の左右で色が異なる瞳

先程の少年がRPGゲームの駆け出し勇者ならば、彼はいかにもな魔法使い、といった雰囲気を持っていた


「始めましてだね、探したよ」


青年が近寄る、探した?自分を?もしやあの魔方陣を見て怪しく感じて捕まえに来たのか?


「違う違う、言うなら保護ってやつさ、

だってキミがこの世界に来たの、僕のせいだから、多分、きっと」


─────はい?

この男、今、何て、言った?


「だから、キミがこの世界に来たの、僕のせいかなーって」


青年に近づく、引き笑いを浮かべながら青年が一歩下がる、下がる前にガシッ、と擬音がつく勢いで頭を掴み──────

「お前が原因かコノヤロー!!さっさと元の世界に帰せゴラァ!!」

そのまま手に力を込める、思わず素の口調が出たが仕方ない


「痛い痛い痛い痛いっ!!いや僕も悪いと思ってるよ!?ちょっと想定外というかまさか本当に人間を転移できるなんて思わなくて」

「言い訳無用だコノヤロー!!」


元凶を前に手加減出来る程大人じゃないんでっ!、と付け加えながら頭を握りつぶす勢いで力を込める

────森の中に、「ごめんなさーいっ!!」と悲鳴が響いた

第2話、少年と元凶の魔法使い、

少年については話が進めばちゃんと再び登場します、そして魔法使い登場、からの衝撃のカミングアウト、うん、そりゃ文句言われれば謝るしかないわ

ちなみに椿、握力は人並みか少し下ですが掴みやすい頭なら少し強めに掴みます、痛いです

(効かない相手も当然います)

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