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転移しました、帰らせてください  作者: 紅花
プロローグ
1/7

目が覚めて、森の中

初投稿、初小説と初めてばかりで稚拙な表現は多々ありますが、ほんの少し、目に留めて頂けると幸いです

─────小鳥の鳴き声が聞こえる、

太陽の光が閉じた瞳に眩しく映る

そうか、もう朝なのか、と完全に覚醒していない頭で考える

今日は休日とはいえ朝起きるのは少し億劫だ、二度寝ぐらいは良いだろうと布団を─────


被ろうとして、違和感に気づく


(───あれ?草?)


今自分が寝転がっているのは布団ではなく、生い茂った草むらの上だ、被っていたはずの布団も頭の下に強いていた枕も無い


(待って、どういうことこれ!?)


寝ぼけていた頭が一気に覚醒してパニックになる、起き上がって周囲を見回すと木や花が生えており、森の中の様な雰囲気──いや、実際に森の中に居るのだ、自分は


「いや、絶対ありえない!!」


頭の中で思った事が口に出る、まだ頭は混乱しているが少しづつ冷静になってきた頭で必死に自分の覚えている状況を確認する


──私の名前は新田椿(にいだつばき) 年齢17 現役女子高生


趣味はゲーム、漫画、歌、イラスト、ただしオタクと呼べる程の知識は無い(はず)

家族構成は自分、母、兄であり父は自分が小学生の時に離婚して滅多に会っていない

昨日は学校から帰って晩ご飯食べて風呂入って部屋に戻ってスマホゲームやっていたらいつの間にか寝落ちしていて───

覚えているのはそこまでだ、誘拐も考えたが自分の家は決して金持ちと言える程裕福では無い普通の家庭であり誘拐のメリットは無い、故に除外して良いだろう、となると残る可能性としては


「そっか、夢か」


前にも触感がリアルな夢も見たことはあるし、もう一度寝れば自分の部屋の筈、そう考えて起こした体を再び傾けて目を閉じる

次に目を覚ませば自分の部屋に戻って────


「って違う!夢じゃない!」


再び体を起こす、危ない、今のは完全に現実逃避だ

自分としても信じられないが、ここは現実だ、草の触感や匂い、小鳥の鳴き声、時折体を吹き抜ける風の感覚、夢と呼ぶにはあまりにもリアル過ぎる


(いや、でも、まさか────)


それでも、とほんの少しの期待を込めて頬をつねる

───痛い、感覚はちゃんとある、つまりそれは


「本当に、現実なんだ」


一瞬、頭が真っ白になる、その後は何故?どうして?自分が?と疑問が頭の中でぐるぐると回る

ふと、自分が今いる場所に何かが描かれているのに気づく、立ち上がって少し離れて見ると、それは複雑な模様が描かれた魔方陣だった


「魔方陣────」


嫌な予感がする、たった今まで自分はこの()()()()()()にいたのだ、確証は無いが同じ様なシチュエーションで始まる物語を2つ思い出す

───1つは「転生」

眠っている間に何らかの理由で死亡してしまい、異世界か他の星へ飛ばされてしまう物語

ただ、大抵が生前と違う姿、それも赤ん坊からスタートするのだが、今の自分の姿を触れて確認すると顔のほぼ全体を覆う前髪と肩につく程度の後髪、髪の色はやや茶色がかった黒、そして自分の視力に必要不可欠な眼鏡がかかっているのがわかる

何より服装を見ると、部屋着である灰色のパーカーと黒い長ズボンであり、今の自分も鏡が無いためはっきりと見ることは出来ないが、まず間違いなく赤ん坊とか子供の外見ではなく、17歳の自分の感覚だ、ついでに肌も鱗とかも無く、ただの人間のものだ、要するに何も容姿の変化は起こっていない、となると、残る1つの物語であると同時に一番の可能性である物語を思い出す

───それは「転移」

転移、もしくはトリップ、ある日唐突に「世界を救ってほしい」等の理由をつけられ、ファンタジーの世界に召喚される話だ、

これならば、自分が知らない間に見知らぬ森の中で眠っていたことや自分の姿が何も変わっていないことの説明がつく、だが、


「どうして私が?」


はっきり言って自分は勇者になるとしても聖女になるにしても不適格な人種なのだ

体育は大の苦手、歩きも走りも遅く、逆上がりすら出来ないレベルだ、性格も決して良い性格とは思えない、自分にとって不愉快な事が起これば口には出さずとも心の中で毒を吐くのは毎回だ、特に母が心配して何か自分の事に干渉する言葉を聞いてもそれが「自分を心配している」と理解していても自分にとっては「鬱陶しい小言」としか認識出来ないのだ

とにかく、そんな自分が何故?と考えていた時にふと考える

何故、ここが異世界と断言できるのか

そうだ、百歩譲って転移は認める、だがここが世界に知られていないだけで同じ地球にある国の可能性もある

正直、自分でも無理があると考える理論だが、そう考えないと不安で押しつぶされそうだった

どちらにせよ自分にとっては「異世界」なのだが、常識が一切通用しないよりはマシだと思った、いや、仮に見知らぬ国の説があっていても常識が通用するとは限らないのだが


「・・・ここに長居してても、解決しないよね」


歩き回るのもどうかと思ったが、こういった物語では大抵第一村人兼相棒キャラと出会うのだが、山賊や盗賊といったトラブルに巻き込まれて始まるパターンもある、そうでなくてもこの魔方陣を使って何をしていたか聞き出されて、冤罪で投獄というパターンもあり得る

第一漫画等では転移しても言葉は通じていたがここで人と出会っても言葉が通じるとは限らない、というか絶対通じないと思う

───考えれば考える程不安になる、やっぱりここに留まったほうが良いかと悩む、が


「だ、大丈夫、多分、こんな森、入ってくる人少ないだろうし」


そう呟いて、その場を去る事しか出来なかった









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

椿が魔方陣がある場所から離れておよそ10分、そこに複数人を連れた青年が現れる

青年は魔方陣に触れてしばし目を閉じる、そして数秒のち───


《──間違いありません、これは【転移魔法】の魔力、それも既に使用済みのものですね》


その言葉に後ろにいた男達がざわめく、だが青年が咳払いをするとざわめきは収まり、全員が青年の方に向き直る


《今言った通り、この魔方陣は既に使用済み、しかし転移してきたと思わしき道具はありません、我々が来る前に転移教の連中が持ち去った可能性もあります、急ぎ森中、国中を探しこの魔方陣を描いた者を探しなさい》

《はっ!》


その言葉を聞き、男達が一斉にその場から離れ、後には青年が一人残った


〈───これ程の大規模な魔方陣、これまでにない大きな異世界の道具を転移させたのか、あるいは───〉


ふと、魔方陣のそばを見ると、足跡があるのに気がついた

近づいてみると、その足跡は獣のそれではなく、間違いなく人間のものだとわかるものだった


〈これは、この転移魔法を使った者の足跡か、それとも──〉


確証は無いが、頭をよぎった1つの可能性を無視出来ず、青年はかけていた眼鏡を上げると、微かに残る足跡を辿って歩を進めた。

1話投稿、完了です、

ちなみにセリフのカッコはそれぞれ

「」←日本語

()←心の中の日本語

《》←異世界の言語

〈〉←心の中の異世界の言語

となっております

転移魔法、転移教などのワードについては少しだけ先の話で説明します

ご意見、ご要望等あれば気軽に書きこんで下さい

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