国際平和協力についての講演
登壇者
上杉教授(早稲田大)
村田教授(同大法学部学部長)
藤重准教授(法政大)
ワイ
国際平和協力とは
冷戦後の紛争地において、治安維持に不安がある場合にPKOを派遣すること。
何故今論じるか
本来、
「国際平和協力」≠「PKO」であるにもかかわらず
ニアリーイコールとなりつつあるから。
現状
1992 協力法案可決
昨年5月 南スーダンからの撤退
現在 部隊派遣はゼロ。←今後は?
ここで選択肢は2つ
A,部隊の復活
B,部隊以外での貢献
現在の国際社会のスタンス
1,統合化(部隊のみならず、文人も送るべきである。また、PKO以外にNGOもある。)
2,積極化(武力行使を積極的にするべきだ)
【do itからの注釈】
2は国連総長ガリの主張。しかしソマリアで失敗している。
上杉教授のスタンス
1,選択肢B
2,駆け付け警護ありといえども文民(日本のシビリアン及び難民)の保護には懐疑
3,治安部門改革などは、貢献として弱い。
4,ただ、平和協力は必要
(内因性としては
a,国益
b,自由主義秩序)
仮に自衛隊が部隊派遣あるとして
a,通信
b,輸送
c,診療
の後方のみに限るべき。
村田教授の講評
かつてPKO協力法案に対して世論、メディアは反対であった。しかし、それから25年して世論は賛成にある。今回の安倍政権が可決させた平和安保法も25年後、変わっていると考えられる。
また、9条についてであるが、これに関しては些かの問題がある。
1,前文には国際協調主義が明記されており、これは「9条」と対立する。
2,「9条」は自国が当事者である場合を仮定しており、解釈で片付けられるはずである。
これは憲法学者が24条を解釈でなんとか出来ると答えている通りであり、通説の9条に拘ることこそダブルスタンダードと言える。
3,そもそも24条も9条も当時から時代が変わっており、そもそも発想さえされてなかったであろう。
現在を考えるならば、本来力の均衡こそが秩序でありながら、安倍政権こそが通常独立変数であるように言われるが、今、それは崩れつつあり、国際秩序こそが実際は独立変数であり、安倍政権は媒介関数に過ぎない。
もはや外交と軍事など何もかもが曖昧になりつつある今、国際平和協力についても改めて考え直すべきである。
ワイと教授のQ&Aと雑感
1,上杉教授は部隊派遣に消極的、若しくは反対ですね?
yes
2,かつ、シビリアンの派遣には賛成ですよね?
yes
3,なら、文民を保護する為に(勿論、他国籍軍は自国民を保護する)必要ではないか。また、もしシビリアンが殺害された場合、世論が傾き、国際平和協力はなくなるのではないか。
no,そもそも、かつて日本人NGO職員が死亡したが、世論は傾かない。
また、各地で日本人が現在活動しており、部隊が必要であるとはおもえない。
更に言うなれば自衛隊が派遣されることで、民間人がアンチ自衛隊に狙われる可能性がある。
【雑感】
NGOがニュースになることは著しくすくなく、文民のみが派遣される場合世論の焦点は文民のみになる。そうなった場合、世論がどう傾くかはかなり教授の予想に反するのではないかと思われる。
また、各地とおっしゃるがそれはあくまで「自衛隊の部隊が不必要な」各地であり、「PKOが派遣されるレベル」の各地ではない。よって反論にあたらない。
最後の主張は1例に過ぎず、エビデンスとしての価値に不満あり。
4,教授は2の通り、NGO派遣には積極的ですよね?
yes
5,PKO派遣は内戦もしくは紛争地帯ですよね?
yes
6.文民派遣が平和に繋がるのはスタンスですよね?
yes
7,どうやら、戦争の原因の一つには恐怖があるらしい(ツキジデスの「戦史」参照)、文民が難民を保護した場合、報復の恐怖を持つ既存勢力が更なる攻撃をするはずである。その場合対立は長期化する可能性があるはずだが。
yes
7,ならば、現状の可不可を度外視した場合、より有益は、教授が反対する積極行使ではないか。また、NGOの難民保護こそが紛争の長期化原因ではないか。
no,それは、NATOのすべきことで、PKOでは疑問が持たれている「積極化」でやるべきではない。仮に、そのほうが効率的だとしても、第一、非倫理的である。




