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***   ラン・ラン・ランチ。


続けられるお店は凄いんですよ?(・ω・`)



 皆様は喫茶店の売りって何だと思われますか?


 ―――そうですね、美味しいコーヒーか紅茶ですよね? ね?


 ですが実際喫茶店に飲み物をメインにしていらっしゃるお客さんと言うのは実際かなり少ないです。昔の黄金期であれば別ですが、最近ではそういった方はほぼ皆無。


 店主が役所に行って店の業種を登録するときに役所の方が「まさかとは思いますが、コーヒー専門店や紅茶専門店ではないですよね?」と確認をとってきました。


 その頃はまだ暢気にもコーヒーを主力に据えるつもりでいた馬鹿な己を諭してやりたい店主です。話がそれました。


 その役所の担当者の方は暢気で大して考えのなさそうな店主を心配して、


「今はそういう時代じゃないから、許可をとるなら軽食の扱いも含む“飲食店” で書類を届け出た方が良いですよ」


 と、教えて下さいました。何でも専門店では本当にドリンクと自分のお店で加工していない(別の業者に発注した)ケーキやデザートしか出せないので調理の幅が恐ろしく狭くなるそうです。


 ここテストに――出ませんよ。冗談です。でも今から出店を考えている方には参考くらいにはなる……かな?


 このときでその全域では一店舗しか専門店はありませんでした。一応人口で言えば大都市圏内で、です。


 ―――ではどうすれば良いのか? 


 答えは簡単。食事を全面に売りに出していけということでした。しかし、この助言はとても助かったと同時に後々店主が気を病みそうになる一因にもなりました。


 一応、店主はお店を開くに当たって喫茶の専門学校にも通いましたし、料理も嫌いではありませんでした。


 以前からケーキ類を焼くのも好きでしたしね。


 ですが―――街によるのかもしれませんが、土地によって同じ県内でも人の味覚はだいぶ違うのだと初めて知りました。


 例えばお洒落な若者の街ではデザートやイタリアンが人気で、オフィス街ではバランスの良い定食系が人気ですよね?


 幼稚園や保育園の近くではお子さんを送ってきたお母さん達が多いので、ちょっと可愛いデザートの付いたモーニングなどが主流です。お母さん達は朝忙しいのでゆっくり食べますから、品数があると良いみたい。


 老人が多い街ではワタ〇の宅食系が求められます。栄養価と薄味。


 うちのお店の近くは働きに来ている人が多かったので最初の頃は近くの会社のパートさんやOLさん、サラリーマンの方で賑わいました。


 ランチタイムは他の軽食も出るのでまさに戦場です。


 店主も和・洋・中とそれなりに趣向を凝らして日替わりランチを作りましたよ。季節の野菜で小鉢を二品、サラダ、メインをワンプレートに。ご飯は味が移ると嫌な方もいるので別のお皿です。


 例えば小鉢物は春なら菜の花のお浸しや若ゴボウの佃煮、夏なら焼きなすや茗荷の甘酢漬け、秋は南瓜の煮物やサツマイモの甘露煮、冬なら里芋の煮物やふろふき大根とかですね。卵焼きとキンピラは鉄板。


 ―――書き出してみたら何だかお酒のアテっぽいですね……。うぅむ。


 あ、食材は勿論、全部国産を使用しました。


 真にお料理の上手な方はもっと安い海外産のお肉で美味しく作れるのでしょうが……店主はカナダ産の豚肉で試作した生姜焼きが何度挑戦しても美味しく出来なかったので諦めました。


 ――何が言いたいか――大体察しが付きました、よね? そう、予算のオーバーです。


 最初は計算が合っていたのですが、うちのお店の近所は“安くて、多くて、美味い”を求めてくる人がとっっっても多かったんです……。


 とてもじゃないですが雑誌に載っているようなお洒落な量では足りませんし、途中で消費税が上がりました。五から八に。


 仕入れ値が膨れ上がって、採算が取れない。でも値段を上げれば一気に人が来なくなるのは目に見えています。


 苦しみながらも「ここのご飯は安くてそこそこ量もあって美味しい」と口コミをして下さる方もいましたので、店主は耐えました。生活が苦しくても嬉しかったんですよね、やっぱり。


 ですが、段々とお客さんの中に無茶な注文を付けてくる方が増えました。


 最初は「お肉の日が最近少ない」「野菜は嫌いだから使うな」「明日も食べに来てやるから鶏肉は止めろ」「魚は嫌い」「小鉢を増やせ」「辛いのは子供が嫌いだから駄目」「中華は太るから嫌」などなど。


 小鉢もメインも毎日違うので、一人でコスパの計算もしつつ献立を考える店主は限界です。


 しかも消費税が上がった途端にランチの客足は半分以下になってしまいました。ついに五年目にして、店主の心が折れました。


 休日も全てランチを考えて、買い物をして、下拵えをする。この繰り返しに一時精神がかなりキテましたね~。


 野菜嫌いなお客さんが「ここに来て食べられる物が増えた」と喜んでくれるのは嬉しかったのですが、ここにきてランチ終了の貼り紙を出すことに相成りました。


 すると不思議なことに止めた途端にランチから遠ざかっていたお客さんがやってくるのは何故でしょうね?


 そんなお客さんの中には「え、止めたん!? なんや、そんなんやったらもう来たらへんからな!」と帰って行く方も大勢おられましたが、自分の健康がお店の寿命。


 ランチを止めてからはレストラン用の業務用冷食を味付けし直して具材を足したりしてやってます。特にオムライスが大人気。大人も子供も大好きですよね……。


 ほぼほぼオムライスばっかり作ってます。唐突にここで瓶詰めの高級ケチャップの味の再現方を教えるよ! 


  百円くらいの安いトマトピューレを大匙二、普通のケチャップを大匙一くらい入れたらよく混ぜて。これで一瓶が六百円前後の高級ケチャップと同じような味になるよ! 雑味が気になったらレンジで軽く温めてね!


 ―――と、まぁこのように無理なく続けるには適度な手抜きが大切だと知りました。


 これから喫茶店をやりたい方は業務用のカレーやミートソースもそのままだと味がぼやけてるので少しアレンジしてみてね。


 ……もうMC〇さんには足を向けて寝られないよ。


 たまに「美味しい! これって手作りなの?」と訊かれて心苦しい思いをしたりもしますがそんなとき店主は「ハーフ&ハーフです」と答えてます。


 はは、嘘じゃないです。コラボってやつです。


 それではお客様、またのご来店をお待ちしております。


 


オムライスばっかり五食オーダー通ったら、一瞬凍り付きますW


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