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***   定休日が多い……ですか?

これよく言われるんですけどね~……。


(・ω・`)<自意識過剰なのかな?



 いらっしゃいませ、お客様……って、何か怒ってらっしゃいます?


 ふむふむ……なるほど“この店休みすぎだろう!”ですか。いつ頃いらして下さった時に閉まっていました? 


 ――ははぁ、土日ですか。定休日ですね。


 ほほぅ――“祝日も来たのに閉まっていた”と。定休日ですね。


 あ、全体的に休みすぎだろうと仰りたいのですか、そうですか……。


 じゃあ平日の開いてる時間にいらして下さいよ、とは言えませんね。何と言ってもお客様は当店では貴重なまとも枠のお客様ですから。


 もっとお家がここの近所だったらお互いに嬉しいのですがそんなこと言ったって仕方ないですね。


 では、言い訳みたいに聞こえるかもしれませんが本日は当店の“定休日多い問題”についてご説明させて頂きます。


 そもそもがですね、店主も開店当初はこんなに定休日を作る予定はなかったんですよ。それが何故、週五日労働になったのかと言いますと……。


 【ストーカーの防止と排除】【店内“我が家の客間計画”の阻止】という二つのどうしようもない案件から発生したものでして――。


 後者はその名の通り当店で来客を招くシステムです。このシステムは一見良いように見えますが、その実態は朝のモーニングから夕方の閉店まで居座るシステム。


 モーニングの注文以外にチャージはありません。しかも大声でおしゃべりをされるので他のお客様は寄り付けず、貸切り状態になってしまいます。


 土日祝というと公共の施設は軒並みお休みなのでその煽りとでもいうのか、エアコン目当てに長居されるので回転率はだだ下がり。


 結果としては開いているだけとなってしまい、電気代を稼げないので大損です。これが理由その一。


 そして二つ目ですが、先に上げたものについては以前お話したお爺さんの他にもあと三タイプおりまして。物好きって探せばいるもんですね。


 この方たちはまだ現役の世代なので休みの日にしか長居出来ないのを良いことに四時間ほど粘って、店主の日常にあれこれ探りを入れて下さるんですよね?


 しかもどなたも粘着質でがたいが良い三十代後半から五十代半ばのお客様です。


 ちなみに好きでもない異性から一方的な会話を持ちかけられて恋愛に発展するのはマンガやドラマだけ。要はフィクションでしか許されません。


 現実世界でやられたら“ストーカー”という犯罪ですよ? 気をつけて下さいね。


 あぁ、ですが例外的に(店主だけかもしれませんが)明るいセクハラを飛ばしてくるお客様は嫌いじゃありませんよ。何なら全力で受けて立ちます。


 そうじゃなくて、やたらと当店に来られるそういったお客様は粘着質で言い方が悪いですが……根暗な方が多いんです。


 “根暗”と“無口で口下手”は全然別のジャンルですから混合しないようにお願いしますね。後者の方々は落ち着きがあって物静かなだけです。


 ここで上げた“根暗”は話しかけてはきますが質問が気持ち悪い、身構えてしまうものが多いということです。


「結婚されてますか?」


「おいくつですか?」


 これはまだ青信号です。会話の糸口を探すのが苦手だけど天気の話をするのもな、という方は結構されますので。


「お住まいはこの近くですか?」


「閉店後は何をしてるんですか?」


 これが黄信号です。会話の内容として若干答えにくいですし、意図がはかれなくて怖いですから。


「昨日、遅くまで起きてらっしゃいましたね?」


「夕飯、パスタでした?」


「夜遅くに洗濯物干す時は風邪に気をつけて」


 はい、これ。一発赤信号の予感しかしませんね? 


 何で家を知っているのか、夕飯のメニューがバレたのか、洗濯物を夜中に干しているのを知っているのか……考えると血の気が引きます。


 ―――それ言われて喜ぶ女性ってこの世に存在するんですか?


 通報して欲しいのかと勘ぐってしまうような発言は心の中に置いておいた方が両者にとっても平和なのでしまっておいて下さいよ。


 と、まぁ――こういった状態だったので土日祝は定休日とさせて頂いた次第なんです。申し訳ありません。


 それでその方々はいらっしゃらなくなったのですが……最近遅れてやってきた第四の刺客(爺さん含めたら五人目)が現れました。しかも平日のモーニングに出没するのでもうどうしようもない。


 ただよく分からないのがこのお客様、開店して二年目からたまに来店して下さる古参の部類。今までノーマークだっただけに対処法が分からないんですよね……。


 最初は普通だったのに二年前に、


「若い頃に妻を亡くして三人の息子を育ててるんです」から始まり、


 去年は、


「一番下の息子がついに大学に合格して家を出たんです。独り身だと寂しいですよね」と続き、


 今年に入って、


「転職して収入が安定したんです。ここに来る頻度が減って寂しくなかったですか? そろそろお店の収入だけで将来不安じゃありません?」と。


 んんん? 侮辱ですか? 


 店主自らが言うのであれば自虐的なネタで済みますが―――全くもって余計なお世話、無礼千万です!


 ちなみにこの方は前述した赤信号発言を全てやってますよ。しかも身長が百八十はあるのに絶対凄い近距離で話しかけてくるので怖い。圧が半端じゃないです。


 このお客様の中でどんな風にシナリオが進行したのか理解できませんが、店主としましては距離感ほど仲良くなったという感じは全くない!


 目を合わせるまで席を立っているのにお会計をしてくれないのも、お釣りの手渡しをするまでトレーからお金を受け取らないのも正直止めて!! という気分です。

 

 こういう方ばかり引き寄せちゃう当店は磁場が悪いのでしょうかね?


 あ、そうそう話は変わりますけどこの間、初めて母の勧めで人間ドックに行ったら結果に笑っちゃいましたよ。


 お客様も悪いところがなくても一度かかってみて下さいね。思わぬ秘密が出てきちゃうかもしれませんから。


 ―――それではお客様、またのご来店をお待ちしております。

 

あの人が来ると胸が一杯になって(慢性胃炎)、

何だかくらくらしてきちゃうし(慢性貧血)、

胸のドキドキが止まらなくなっちゃう(心電図要注意)。


以上の検査結果から【恋】ではなくて【ストレス】でした。

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