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***   一万円札は困りますぅ……。


お年玉がもらえる年頃だったら、

絶対こっちの方が嬉しいですけどね。σ(^ω^*)


 

 あ、いらっしゃいませお客様。


 うん? 前回一杯になったポイントカードをご利用ですか? 


 ―――はい、確かに。何度も当店をご利用頂きまして、ありがとうございます。


 今回のタイトルはちょっとこれだけだと誤解がありますね。一万円札は大好きですよ。何と言っても単体のお金としては一番強い額ですからね!


 ですがこれが一人でやっている店だったりするとそうも言ってられないんですよ。何故って……支払いの時に見たことありませんか? 


 “五千円札不足しています”とか“千円札が不足しています”っていうカードやメモ。え? “すごく流行っている店でしか見ない”ですか?


 ――――お黙り下さいませです、お客様。


 ともかく今回は“小さい店で高額紙幣が続くと困る”というお話ですよ。

 

 そもそも高額紙幣って大きな買い物に使用するものだと思いませんか? 


 千円にも満たないものに使うとジンバブエドルみたいなものですよ。商品の価値に紙幣が釣り合わない。あれ、あの紙幣制度って廃止になったんでしたっけ?


 と、つまり単純に言えば……お釣り、足りない現象。どこの国だか忘れましたけど端数の小銭がないから飴で払うとこがあるらしいですね? 時々あれの導入を検討したくなります。


 一応お会計のトレーに“小さいお店ですので、一万円は出来うる限りご容赦下さいませ”とは書いてあるんですが、まぁ、無駄。


 ――――三百五十円の商品に一万円。これって最早両替じゃないですか?


 これが一日に四回起こるとちょっと大変。というのも、店の近所には銀行がないんですね。一人でお店をやっている店主にとっては深刻な問題です。


 しかもこれが何の法則かお昼の時間帯とかに多発するというスリリングさ加減。


 ふと持ち運べる小型金庫を覗けば(レジスター? そんな高価な物は知りませんね)千円が十枚と五千円一枚と一万円四枚とかになってたり。


 ――――次のお客様が千円以下のお支払だとヤバいです。次はまだ凌げてもその次のお客様はまぁ、無理でしょうか。五百円玉でお釣りを払う羽目になりそうです。


 これがアルバイトさんを要しているお店でしたら「ごめん、両替行ってきてくれる?」で済む話なのですが、一人の店舗だとそうはいきません。


 両替をしようにも一番近い銀行まで必死に自転車をこいでも十五分はかかります。ちなみに店の近所にはATMもコンビニもありません。


 ……え、何故って、強盗が多いからですが? 一年で三回襲われる地域にいられる訳がないじゃないですか。


 神社の跡地を不法占拠してしまう地域に神仏の加護はない模様です……。


 それで話を戻しますが、スーパーが近くにあるとはいえ基本的には店を一度閉める必要がありますよね。しかも崩したいだけだからそんなに本気で買い物するわけにもいかないし。


 それにもしもその間にお客様がいらしたらその分の収入が得られません。うーん……困った。


 “余分に用意しとけ”とお思いでしょうが、当店は何分貰ったお金がそのままお釣りとして出て行くお店。要は、両替に回す余剰を持っていないんですよ……悲しい。


 でもまぁ、泣き言を言っても駄目なので近所のスーパー内にある百均で文房具をちょこちょこ買い足して両替……おや、おや、おや?


 ―――違いますよ、誤解です。


 店の近所にある百均は大人気スポットなんですよ。だからお札をこっちに回してくれる余剰くらい……あります、よね?


 ……………。


 ………………。


 なるほど、どうやらこれが俗に言う負の連鎖というやつですか。


 店主もこのままでは闇堕ちしてしまいかねないですね。百均の店員の皆様申し訳ありません。この場を借りてお詫びを。本当にすみませんでした!


 ですがこれくらい追い詰められるんだよ~、という話でして。そりゃあお給金として頂くなら千円札十枚とかよりも嬉しいのですが……ね。


 あとはそうですねー……破れそうなお札を探してそれを出してこられるお客様とかもちょっと困ってしまいます。ほぼ何かしらのインクで汚れて読めないとか。


 さすがに他のお客様にお釣りとして使用できないので一度銀行で換えてもらうか、やはりスーパーに頼るしかないですからね。


 しかし最近のスーパーはレジがコンピューター化しているので汚れすぎたお札は読み込んでくれないこともしばしば。


 なので大抵は銀行行きです。偽札かと疑われてしまいそうでドキドキはしますが、店主がそろそろ銀行の方に怒られてしまいそうなので。出禁になっちゃいそう。


 とはいえこれはお札だけでなく硬貨でもよく見られる現象ですけれどね。


 一万円を出すお客様は大体何度来店されても一万円を出して行かれるので、最近よく行く店の店主が千円札でお釣りを返してくるようになったら何かしらのリストに入っている可能性もありますよ。


 ――それは恐らくその店主からの無言の圧力です。


 “お金はお金なんだから文句を言うな!”というのはごもっともなご意見だとは思うのですが――。


 それでももしもこの回を読んでから、財布の中から細かいお金を探して下さるお客様が現れてくれれば店主はとても嬉しいです!


 おっと、今回はポイントカードにスタンプは捺せませんのでご了承下さいませ。次回また捺させて頂きますね~。

 

 それではお客様、またのご来店をお待ちしております。

 



あとお金を投げつけて下さるお客様、

当店に賽銭箱はございませんのでトレーに置いて下さると助かります。

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