*** 最近のママさん事情、その二。
最近のお母様方ってやたら若々しい人が多いΣ(・ω ・;)
最近店に来店して下さるお客様方を観察していて思ったんですが――。
この頃のお母様方は歳が若いせいか、息子さんの彼女や彼女になりそうな女の子に対するチェックが厳しいな~という印象を受けました。
だって皆さんその年頃のお子さんがいるようにはとても見えないくらいお綺麗なんですもん。店主の頃では考えられない感じに華やかですよ。
それこそ中には、まだ余裕でミニスカート姿が通用する方とかもいらっしゃいます。パステルカラーも多めで女子大生みたいなフワフワ感。
それで今回のお話は――何となくタイトルでお察しの通り“息子が恋人”系のお母様方のお話になりますよ。
これはまぁ、前回のママ友の亜種とでも言いましょうか。前回は乳幼児からイヤイヤ期でしたが今回は中高生のお母様方です。
別に子供が可愛いのはそうだと思うのですが……これがなかなかなものでして。最近の同学年の女の子は大変だろうな、と。
もうすぐ夏祭りシーズンが到来するなー、というある夏の日のことです。
その日はモーニングの時間から六人のお母様方がいらっしゃって、そろそろ四時間が経過しようとしている頃でした。
時間としては確か三時頃だったと思いますが……長い。
死んだ魚の目になりながら店主が聞くともなしに(声が大きいので)聞いていると、あるお母様がプリプリしながら息子さんの自転車の後ろにいつの間にか荷台が取りつけられたと言いました。
てっきり店主は二人乗りように付けたその荷台が危ないと言い出すのかと思っていたんですけど――。
「あの子、この頃彼女が出来たみたいで色気付いて二人乗りする気みたい。でもな、私あの子に“後ろに乗せんのはお母さん以外許さないからね”って釘刺しといた。夏祭りに二人だけで行くなんてまだ早いもん」
――――ん!?
って、なりませんでした?
ちなみに店主はなりましたよ。息子に彼女だなんて嬉しい話だとばかり思っていましたからね。いや、子育てしたことがないからそういう寂しさみたいなものが分からないせいかもしれませんが……。
その意見に他のお母様方も激しく同意されていました。
子煩悩とはまた違った感じでして……正直ちょっと怖かったですね。息子さんの青春の一頁が今まさに握りつぶされそうになっている、と。
昔の少女マンガなんかではお母様と言えば、女子の視点に立ったアドバイス 息子にしてくれる良き理解者みたいなポジションだったと記憶しているのですが……?
「旦那なんかもうどうでも良いけど、あの子はまだ誰にも渡さない! とか思っちゃうのよ~」
そのお言葉に他のお母様方から「分かる!」との声が多数上がります。
店主はといえば少しばかり混乱してしまいましたね。ちょっとひいたと言っても過言ではありません。はい。
「ラインのアカウントもチェックしてるからいつ行く気かも分かってるし、この日に何か家族の予定いれとこうかなー」
………え、冗談でしょう? 息子さんのプライバシーは?
相手は確かに自分のお腹を痛めて産んだ息子かもしれませんが、いくら何でも少々目に余る侵害行為ですよね? 中高生と言えば多感な時期ですよ?
ですが店内でその異常なまでの愛情に恐怖しているのは店主だけ。
「もうあれよね、私たちの趣味・息子って書いとこうか?」
まさにその通りだとは思うんですが……ちょっと、どうかなーなんて。
でもこの話は何もこのお母様方に限ったことではなくて、最近本当に多いんですよ。特に体育会系の部活動をしている息子さんのお母様に。
息子の遠征には自分達で車を出してまでついて行く! という一番身近なサポーター。それがこのお母様方。
黄色い声援で試合を盛り上げるのも、蜂蜜レモンやタオルの差し入れをするのもお母様方。
そこには良く少女マンガで見かけるようなライバルの存在なんて介入しません。テンプレが通用しないのです。
呼び名をつけるのであればそうですね――“フラグクラッシャー・ママ”とでもしておきましょうか。
それくらい息子さんに命をかけていますよ、実際。
とはいえ、薄々お気付きかとは思いますがこのお母様方は皆さん専業主婦か暇潰しでパートをされているような方々です。
え? 何で暇潰しのパートと分かるかですか?
それはまぁ、黄金週間に二十万を超える小型犬に一目惚れしてお買上してしまう方々だからですよ。
羨ましくなんて……あります! 笑って下さって結構ですよ!
―――と、冗談はさて置いて。
良いですか、今の時代の女子達よ。
今や恋愛バトルは学校内でのみ起こっているのではないのです。近場のライバルと戦うだけでは駄目だなんて気の毒ではありますが……。
お母様方の会話内容から店主から出来る唯一のアドバイスは 、
“彼氏のお母さんには早めに顔合わせをして、自分の中で一番の笑顔でハキハキ挨拶をすること!”
――これだけです、ごめんなさい。でも結構大事っぽいですよ。
「ラインで存在分かってるのに挨拶にも来ない子に息子は任せられないわ」
……らしいですよ?
あと、大きなイベントの前には絶対嫌だと思いますが“お家の予定とか大丈夫?”とかラインしてみるのも有効っぽかった。
――この内容を相手のお母様が読んでさえいなければ、ですが。
バレンタインデーが近いので相手の家族用にチョコを多めに作るか、配れるように小分けに出来る物を購入するのも手かと。
何にせよ恋愛経験の希薄な店主から贈れるものは“頑張れ!!”の言葉のみとなっております。
それではお客様、またのご来店をお待ちしております。
まぁ、彼氏が極度のマザコンの場合はこの限りではありませんがね?
見切りをつけるのも、戦って奪い取るのも恋愛の醍醐味だそうですから!




