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***   ははは、こやつめ。


固定概念お留守番の巻。Σ(・ω・;)



 いや~……今回はまたお前なのか、という登場回数を見せているあの方の登場しちゃう回ですよ!


 誰だと思います? 後で答え合わせがありますから、もしよろしければ予想してみて下さい。


 まぁ、それはそうと――うちの店の近所ではまだ古くから伝承される職業が流行っているんですよね。


 その日も店主が暇すぎてぼーっと窓の外を見ていたんですが、その日は週に二回あるゴミ収集の日でして。


 店主は少ないゴミを(客が少ないので)すでに出していたので本当に何となく外を見ていただけだったんですよ。


 でもですね……チラッと怪しい酔っ払って自転車に乗っているオジサンが店の角で何かのタイミングを見計らっているんです。

 

 はい、このオジサンのご職業、もうお分かりですね?


 オジサンはこの道にまだ不慣れな感じの若い女の子二人が乗っている軽自動車(社用車)に「よし……」と呟いて突っ込んで行きました。


 いやいやいや、待って、良くないでしょ! 考え直せ!


 店主が慌てて外に出た瞬間、オジサンは女の子の運転する軽自動車と接触……したかしてないか? くらいのタイミングで転けたんですよね。


 それで女の子達がびっくりして(そりゃそうですよね……)道の端に車を寄せて泊まったんですよ。


 ――――うちの店の前に。えぇ。


 何で道を挟んで向こう側で事故ったのにうちの店の前に泊めるのでしょうね……。


 まぁ、気を取り直して、店主の目の前でオジサンが女の子達に、


「ぶつかってしもうたな? オッチャン足痛いねんけど」


 などと絡みます。こんなときめかないテンプレ見たくないですね~……。


 女の子達はまだ社会人になったばかりっぽいですし、店主も電話の子機を片手に参戦しようとしていたら――女の子達の後ろを走っていたゴミ収集車が泊まったんですよ。


 ―――――うちの店の前に……。おぉ、圧迫感が半端じゃないな。


 そのゴミ収集車の中から屈強なオジサン達が降りてきて、


「オッチャン、警察呼ばれて困んのそっちやろ? 姉ちゃん等は信号守って左折しようとしとったん、ワシ等後ろから見とったで」


 と頼もしく加勢して下さいました。


 ゴミ収集車って、あれ三人一組なんですね~。ムキムキの強面が三人並んだ時点でオジサンはたじたじ。女の子達は目に見えてホッとしています。


 そこでオジサンが逃げないように屈強なオジサン二人が見張りにつく間、店主と女の子達、もう一人のオジサンで――あ、冒頭の問題の答え合わせを先にしちゃいましょうか。


 はい、その通り“お巡りさん”を呼んだんですよ。例のあの方。


 だって仕方がないでしょう、いくら無○でもこの近辺はあのお巡りさんしかいないんですから……。


 そうしたらあのお巡りさん、今回もやらかして下さいまして、はい。


 現場に急行しなくちゃなので(電話したのは屈強なオジサン)パトカーで来ました。さすがに。オジサン怖そうな声でしたからね。


 そうそう、この日は気温が三十八度の真夏日で、太陽カンカン照りのお昼頃だったんですよね。周りに日陰はありません。

 

 現場に駆けつけたらまず事情聴取をしますよね、勿論。それは別に良いんですよ、えぇ。


 この場合の問題はどこでするか、ですよね?


 再度言いますよ? 真夏のお昼の炎天下、周囲に日陰はなし――です。


 ………もうお分かりですよね? ――はい、その通り、ご明察です!


 店のドアのド真ん前、テントの下に皆して集まって事情聴取を始めやがったんですよね~……。


 しかも事故検証車までやってきて店の前に泊めるから、まるでうちの店で事件が起こったかのような騒ぎに。いや、せめて店の横でやって下さいよ。


 ドアの前を塞ぐなんて非常識ですよね? ね?

 

 そこで店主は


 “営業中なのでそこで事情聴取されると困りますお巡りさん!”


 と心からの抗議をしましたが――。


 例のお巡りさん、今回はその上司も一緒だったんですよ? 普通どちらかが“それもそうか”って思っても良いはずだと思うのですが……なんと。


「あのねぇー僕らは警察ですよ? 事件なの分かりますよね?」


「困るんですよ、そういう営利目的なこと言われたって。こっちも仕事ですから」


 ―――――何と言うことでしょう。


 無○が二人に増えて権力を盾に取り始めたではありませんか!


 こっちは給料がどこかから出してもらえる訳でもない個人店舗。かたや向こうは税金でお給料が下りてくる公務員。


 その日の売上で生活費の上限額が決まるんだから営利目的に走るに決まってるじゃないですか! そこまで偉そうに言うんだったらうちのテントと店の陰から出ろよ!


 ……とかって言いたい気持ちで一杯でしたよ~……。


 強面のオジサン達が帰ってからは傍若無人な態度に拍車がかかりますし。


 夏は光熱費が冬より節約しにくいんで一日収入額に穴が空くと大変なんですけどね。国家公務員様は知らんと突っぱねちゃいました。


 結果は聞くまでもなく、店の開け損。なんと言ってもお昼時でしたから痛かったですね。


 しかも小さい事故にもなっていないような現場でダラダラ夕方の閉店時間まで引っ張られちゃって――女の子達もクタクタでお化粧ボロボロです。


 ちなみにお昼から閉店時間までお客様は零。そりゃそうだ。


 可哀想なんで女の子達だけでもお店に涼みに入るか聞きに行ったら「邪魔しないで!」とお巡りさんに追い返される始末。


 えー……という訳で今回は“世の治安と住民の安全を守ってくれるお巡りさん像がこの近所だと通用しないよな”ってお話でした。


 この日の出来事は後日、数日間に渡って根も葉もない【食中毒疑惑】となって当店に祟りましたよ……。くそぅ。


 お客様の近所にある交番のお巡りさんが優しい方であることを切に願って止まない店主です。


 それではお客様、またのご来店をお待ちしております。




このお巡りさんの持ちネタはラスト1なので、またのお楽しみにとって置きますね~。

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