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泡沫少女と少年
少し前のお話。
これは、今から10年ほど前のお話です。
ある国には、とてもとても不思議な街がありました。
その街の住民は皆、一生の命を持っているのです。
その街から少し歩いたところにある少女の家では今日もパイを作っている匂いがします。
少女の家は、少女とおばあちゃんの2人暮しです。
少女の親は、少女が幼い頃に旅先で内戦に巻き込まれて、少女ひとりを残して亡くなってしまいました。
少女の家はとても貧しく、少女は学校に行くことが出来ず、おばあちゃんの手伝いをする毎日を送っています。
この話は、その不思議な街のはずれで生まれた不運な少女のお話です。