1、朝チュンと 鳴くはスズメと 思ってた (にゃんこ心の俳句)
あー、気持ちいい……
やっば、ぐるぐる言っちゃってたか。
子供じゃないんだから。
ああ、でも。
なんだこれ、気持ちいいよー
真綿にくるまれたようなふかふか感。
あったかいー
もう秋だもんねー、そろそろ布団が恋しい時期になっちゃったかー
てかうちの布団、こんなんだっけ?
あの安布団じゃこうはいかないハズ。
超高級羽毛布団ってこんなカンジなのかナ。
一人暮らししている古い格安アパートメントの安布団を思い出して悲しくなる中、鼻先に触れる柔らかいふわふわ。
……これリアルに羽毛てか羽だワ。
その瞬間、リミッターを振り切るがごとく一瞬で目が覚めた。
背後に鳥人間がいる。
太くはないけど筋肉質な腕が首の下とお腹の上に回されてて、羽を備えてるもんだからすっぽり翼に囲まれてる状態。
……覚えてる。
更新してないから失効したけど、飲酒資格2級。
記憶が飛ぶようじゃ2級なんてもらえないし。
でも5年振り位に飲んで酔った。
一緒にいれば失効者も飲酒OKという、飲酒資格1級のいけすかないツレが美味しいのいっぱいオーダーしたしな。
まわりのおいちゃん達もいっぱいおごってくれたしな。
でもって背後の飲酒資格1級は、その名に恥じない働きをした。
すなわち。
「吐き気とか、頭痛は?」
顔見知り程度の相手を抱き枕代わりにしたこの状態で、ずいぶんしっかりした口調でそう確認してきやがった。
起きたと決めつけた口調。
あ、そうか今めちゃくちゃビクってなって耳ピーンってなっただろうし、毛も逆立ってるだろうしな。
「言っとくけど、自分でこっち入って来たからな」
相変わらず不機嫌な声が後ろから響いてくる。
……
……うん。
信じたくないけど、思い出せる。
自分で歩いてった記憶あるわ。