082 黒冥城
場所は、黒冥城地下十九階、会議室。
この城、黒冥城は僕をダンジョンマスターとするダンジョンであり、それと同時に、僕を筆頭とする邪神派の拠点だ。
地上に五階、地下には二十階まであるこの城は、大まかな部分をダンジョン創造で作った後に、細かい部分を各人で色々と改造したものだ。
このダンジョンを作る時、地下部分は結構簡単に作ることができた。
ただ、地上部分を作る時にかなり苦労させられた。
ダンジョンのシステム自体が、地上に作るということなど想定されて作られているわけではないため、地上の城をどう定義するかが問題だった。
最初、この魔境全体をダンジョン化した時は、空間すべてを一階層の入り口と定義することで結構すんなり解決したが、今回は結構苦労させられた。
最終的には、地下に25階層あるダンジョンだと定義した後に、五階層分だけ地上に引き上げて解決した。
そのため、黒冥城のダンジョンとしての本当の入り口は、最上階の玉座の上の天井部分である。
ただ、一度も出入りに使ったことはないが。
地上の五階層は外敵迎撃用、いわゆる、接待用だ。
元日本人組で、魔王城風のナニカを作るためにアイデアを掻き集めた。
その甲斐もあり、最上階の玉座も、四天王の間も、嫌がらせ程度の非致死性の罠も、徘徊する不気味な魔物も、かなり立派に仕上がった。
ただ、未だに四天王の座は一席も決定していない。
そして、地下は生活用の空間だ。
ただ、その中でも地下一階だけは、防衛用の階層だ。
できるだけ理不尽な罠、魔物、ギミック、防御を配置している。
ただ、地下一階への入り口はあまり目立たないようにしているので、
地下二階から六階には、大農園を配置している。
初期はダンジョン内の摸造太陽維持用のコストで赤字経営だったのだが、最近はしっかりと人員も集まり、生産も安定してきている。
地下七階から九階は、巨大な倉庫になっている。
七階と八階は、食料だったり、武器だったり、至って安全なものが入っている。
だが、問題は九階だ。
通称、危険物最終廃棄場と呼ばれるこの階層は、外に出すのが憚られるような危険物で埋め尽くされている。
例えば、生命反応を感知すると、すぐに実力行使で排除しようとする、全自律行動式断罪ゴーレム、通称メンチ生産機くん。
下手なA級冒険者程度なら数秒とかからずに切り刻んでくれるほどの攻撃性能に加えて、かなり高めの魔法防御や物理防御を持つ極めて厄介な物だった、らしい。
現在は、コアを抜き取ったので沈黙している。
例えば、黒冥城十四階層を更地にした、充填式無限魔力化爆弾の完成品と設計図。
これは、魔力の無限増殖を目標として作った装置を爆弾に転用してしまったのが運の尽き。
かつて研究用のフロアだった十四階層を跡形もなく吹き飛ばし、特大の損失を叩き出し、不壊物である筈の迷宮の階層間の壁にヒビを入れた。
その特大の破壊力を前にして、元日本人組がつけた渾名は、『キノコ雲的なアレ』……真面目に笑えない。
なお、破壊力はあるものの、爆発までのタイムラグが数時間程度あったので、幸いなことに死者は出ていない。
何かに使えるかもしれない、ということで廃棄処分は免れたものの、多分使うことはないだろう。
地下十階から十一階は、大量生産設備になっている。
戦闘用、宝箱用、農業用など、色々な魔道具の大量生産などが行われている。
また、食料品加工もこの階層で行なっている。
地下十二階から地下十五階は、研究設備になっている。
元ダンジョンマスターの多くは生産スキルを高レベルで持っているため、独創的で高性能なものが次々に生まれている。
『自在創造』槙村圭介に監督を任せているが、監督とは名ばかりで、各自放任主義で行っているらしい。
だからとは言ってはなんだが、ヤバくて使えないものや、コストがかかり過ぎるもの、実用性皆無のものも同時にたくさん生産され、九階の肥やしを増やしている。
その中でも十四階は、ある時期から危険なものを試すだけの何もない場所になっている。
それと同時に、迷宮としての壁も強化してある。
地下十六階は、娯楽施設階層という名前だが、あるのは幾つもの闘技場だけだ。
統括を戦闘狂に任せたのがそもそもの間違いだと言える。
ただ、ダンジョンマスター組の実戦能力向上には繋がっているのだから、少なくとも無駄ではない。
地下十七階と十八階は、居住地区だ。
十七階に住んでいるのは労働力として使用している者達なので、マンションが見渡す限りに並び立っているという造りをしている。
至ってまともだ。
ただし、問題は十八階だ。
ここは、幹部または研究者、高位戦闘能力保持者だけの階層だ。
転生者と転移者が色々と変な知識を持ち込んだ。
だから、ファンタジーな中華風の和式未来都市風味という、何やら訳の判らない悍ましい何かになっている。
具体的に言うと、チューブ式道路が張り巡らされ、高層ビルが立ち並び、キノコ型の家の煙突から煙が上がり、五重塔の先端がちょろっと見え、赤を基調とした絢爛豪華な神殿がどっしりと構えている。
こんなモノを作る暇があったら、もう少し実用的なものを作って欲しい。
ちなみに、僕の家は、ロココ調のヴェルサイユ宮殿に似せて作られたっぽい何か、だそうだ。
面倒なので設計から全てを投げてしまった僕も少し悪いが、機能性を遥か彼方に投げ捨てたものを平気で作るとは、生産職の奴らは結構どうにかしていると思う。
まともに眠れやしないので、最近は地上五階の玉座に布団を敷いて寝ることにしている。
そして、十九階
ここが、会議室や司令室などを取り纏めた、このダンジョンの中で二番目に重要な階層である。
あらすじを変えました。
やっぱり、あらすじから厨二感を出していかなければならないのだろうか。




