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深淵の神刻魔剣士(更新永久停止中)  作者: 易(カメレヲン)
第壱章 神をも超え得る可能性
8/86

008

「我を殺してくれないか?」


嘗て風龍王と呼ばれた古龍は僕にそう言った。


「えっ」


僕は耳を疑った。


「そう驚くのも無理はない。だが、我の話を聞いてくれんか?」


この龍は集落の守り神でもある。

そして、この高潔で公平なこの龍を、殺すなんてとんでもない。

けれど、この龍が無意味にそんなことを言うとは思えない。

ヴィントにも何か事情があるからこそ話しているのだろう。


「わかりました。話を聞くだけなら聞きます」


「助かる。この話はお前さんにしか頼めないだろう」


ヴィントは懐かしそうな目をして、語った。


「我が風龍王の座を降りてから、26年。あの頃は、我が体は風と同じようなものだった。何よりも早く宙を駆け、龍王達と思う存分暴れまわった。しかし、気づいたらもうこの有様。昔、龍種最速と呼ばれたこの翼もいまや飛竜(ワイバーン)に少しまさる程度。そして、我の命はもはや風前の灯火。いつ動けなくなってしまっても不思議ではない。そして、我が生きられるのは長くとも半年であろう。まともに動けなくなって無様に死んで行くよりは、強者に敗れて戦いの中で死んでいきたいのだ。いますぐにとは言わぬ。集落の者に説明する時間も必要だ。どうか、我の最初で最後の我儘に付き合っては貰えんか?」


龍は、いままでにないほど真剣な口調だった。


「話はわかりました。けれど、今すぐに決められるものではないです」


「それはわかっている。けれど、できるだけ早く答えを出して欲しい。この集落で、我と戦えるのはお主だけだ。我は、集落の近くのねぐらにて、明後日までお主の答えを待つ」


ヴィントはそれだけ言うと、飛び去っていった。





その日の夜、僕はステータス画面を開いた。


名前 ハクヤ=アイザワ

年齢 6

種族 普人族

レベル 8

職業 なし

適正 【光】【闇】【時空】【神聖 】【深淵】

魔力 error

体力 51

筋力 72

俊敏 91

精神 101

気力 101/101

スキル

[剣術lv2][並列思考lv9][光属性魔法lv10][闇属性魔法lv10][時空属性魔法lv6][鑑定lv4][偽装lv4][隠蔽lv4][隠密lv2][再生lv2][神聖属性魔法lv2][深淵属性魔法lv2]

固有(ユニーク)スキル

[無限の心臓(オーバーエナジー)][全知の理(アカシックレコード)][時間凍結(フローズンタイム)][絶対魔力圏(マギ・ドミネイション)]

称号

[神域に辿りつきし者][深淵に辿りつきし者]



はっきり言って、もうむちゃくちゃだ。

もし、今すぐヴィントと戦うことになっても、勝てるだろう。


まず、属性魔法についてだ。

[神域に辿りつきし者]

取得条件:光属性魔法のレベルを最大まで上げた

効果:神聖属性の解放 即死無効


[深淵に辿りつきし者]

取得条件:闇属性魔法のレベルを最大まで上げた

効果:深淵属性の解放 全状態異常無効


[神聖属性魔法lv2] HyperRare

神聖属性魔法を使うことができる。


[深淵属性魔法lv2] HyperRare

深淵属性魔法を使うことができる。


闇属性と光属性の上位に当たる属性が解放されていた。

そして、この属性たちは実際、反則的な威力を持つ。

アカレコ先生曰く、


<神聖属性は、神の奇跡を部分的に行使する属性です。全てのものを浄化することができます。邪悪なもの全てを消滅させます。どんな難病でも回復させることができ、また、死んでいさえしなければどんな重症者でもたちどころに回復させることができます>


<深淵属性は、破壊を司る属性です。病気、腐食、斥力、毒、精神汚染、死などを操ることができます>


特に深淵属性は一国を滅ぼしたこともある、と言われてみても納得しかねないほどの雰囲気だ。

ちなみに、深淵属性で生み出される毒などは本当に禍々しい。

危うく自分まで毒に蝕まれそうな雰囲気である。

称号に全状態異常無効が付いているのはこのためなのだろうか?


そして、新しいスキルと固有(ユニーク)スキル。


[鑑定lv4] SuperRare

対象のステータスを見ることができる。

ただし、対象とのレベル差がかけ離れていると、ステータスの一部または全部が見えない。


[偽装lv4] SuperRare

ステータスの数値、スキルレベル、レベルを書き換える。

ただし、本来の数値は変わらず、その数値よりは高く設定することはできない。

また、偽装のスキルlvより相手の鑑定のスキルlvが高いと見破られる。


[隠蔽lv4] SuperRare

ステータスの適正属性、職業、スキル、固有(ユニーク)スキル、称号を隠す。

また、隠蔽のスキルlvより相手の鑑定のスキルlvが高いと見破られる。


この三つは生まれた直後から、[並列思考]で取得しようとしてきたものだ。

Super Rareのスキルなだけあって、取得するまでに結構長い時間を要し、スキルレベルもあまり上がらない。


[隠密lv2]Normal

自分の気配を隠す。


これは、集落の子供たちと一緒に狩りに出かけた時に取得したスキルだ。


[剣術lv2] Rare

剣をうまく扱うことのできるスキル。

剣を扱う時、動きに少し補正。


ひたすら魔力剣を使って剣の練習をしていたら、[剣技]から上位スキルへと進化した。


[再生lv2] Rare

怪我などをした時肉体の再生速度が速くなる。


光魔法に属する治癒系統の魔法の練習をするために、体を傷つけては回復し、傷つけては回復し、傷つけては回復しを繰り返したらいつのまにか取得していたスキルだ。


[絶対魔力圏(マギ・ドミネイション)]

自分の周囲50メートルにおける全ての魔力を完全に自分の思い通りに操ることができる。


[魔力制御]から[魔力掌握]、[魔力支配]を経て固有(ユニーク)スキルとなった。

他の固有(ユニーク)スキルと比べたらいささかおとなしそうに見えるが、そんなわけがなかった。

これの凶悪な点は”全ての魔力”ということである。

当然、相手の魔力も思い通りに操ることができる。

自分しか魔法を使えない空間がここに完成するというわけだ。


こんな固有(ユニーク)スキルが簡単に取れてしまっていいのか、とおもって聞いてみたところ、


<普通の魔術師はせいぜい[魔力制御]までいったらすごい、程度です。魔法系スキルに入る経験値は使った魔力の量で決まります>


だそうだ。

ほぼ無限の魔力を使うことができるような僕でないと取れないとわかって少し安心するが、なんでこんなものが存在するのだろう。

多分、勇者にでも与えられた固有(ユニーク)スキルなのだろう。

ちなみに魔力は、去年の春頃に百穣(10の30乗)を越えたあたりから、表示がエラーになってしまった。

多分、上限は2の100乗位だろう。

でも確かなのは、今も増え続けていると言うことだ。


あと、職業の欄は3歳になったら出てきた。

どうやら、3歳にならないと職業に就くことはできない、らしい。

けれど、この集落には転職できるような場所は存在しない。

神殿又は冒険者ギルドが所持している転職の部屋がないと職業にはつけない。

理不尽だ。


ちなみに、非属性魔法を習得しようとは思って、アカレコ先生に聞いてみたら、


<あなたには習得できません。非属性魔法とは時空、神聖、深淵属性に分類される魔法を一部分だけ使うことができる魔法です。あなたはその属性を持っているので、習得できません。ちなみに、転移魔法と召喚魔法とアイテムボックスは時空属性魔法が、浄化魔法と結界魔法は神聖属性魔法が、毒魔法と重力魔法と精神魔法と契約魔法は深淵属性魔法が元になっています>


ということだそうだ。

あと、アイテムボックスとかいう勇者とその仲間に付与されるためにあるスキルは魔法だったらしい。

もう一つ気になったので質問した。

非属性魔法とその元になった属性魔法の違いは?僕以外に現在時空、神聖、深淵属性を持っている人は?


<非属性魔法は毎回同じ詠唱で同じ効果を生み出します。調節は不可能です。最大の時の効果は属性魔法の方がはるかに上です。そして、アイテムボックスを除き、詠唱が必須です。また、詠唱は異なっています。また、現在はあなた以外には時空、神聖、深淵属性を持っている人はいません>


この属性は固有(ユニーク)スキル並みに隠す必要があると再確認した瞬間だった。


ステータスを確認し終わり、一息をつく。

現状、僕がヴィントと戦って負けるなんてことは僕が手を抜かない限りありえない。

けれど、僕はヴィントを殺すことができるのだろうか。

そんなことを考えながら眠りについた。



次の朝、小鳥が鳴く前に目が覚めた。

いつもと同じような朝なのに空気が重いような気がする。

実際重いのは僕の心なのだろう。

結局、何も決められないままヴィントのところへ向かうことにした。



「命を奪うことに今更抵抗感がある、と?その強さをもってしてか?」


元龍王はいつもよりかなり厳しい口調で言った。


「はい。あなたは集落をずっと守ってきた立派な龍です。あなたを殺すなんてことは決心できません。かといってあなたの頼みを断ることもできません」


「甘ったれるな!強さを持つものには責任がある!自分の行動を自分で決める責任が!お主はその強さに見合った責任を果たしていない!」


龍は、怒鳴るように言った。

ここまで強い言い方をしたヴィントを僕は見たことがなかった。

いつもは、穏やかそうに、かつ優雅に輝いている瞳が、僕を責めるように鋭く輝いていた。


「とにかく、お主は、まあいい。自分で考えるがよい」


その後、ヴィントは口を開こうとしすらしなかった。



ヴィントはなぜ怒ったのだろうか。

その理由は、僕が優柔不断だからだ。

そんなことはわかりきっている。

僕は日本という平和な場所にいたから、知性あるものの命を奪うことに対して忌避感がある。

しかし、ヴィントは龍である。

龍の誇りというものを何よりも大事にしている。

実際、僕はヴィントが弱って死んでいくのは見たくないし、あまり想像できない。

そんなことを考えていると声をかけられた。


「どうしたんじゃ、お主らしくもない。そんなに悩んでいるなど」


そこにいたのは獣王様だった。

僕が事情を説明するとこう言った。


「お主は好きなようにすれば良い。けれど、儂からはヴィントの願いを聞いてほしい、と言わせてもらおう。奴は龍王じゃった。今はその座を降りたが、その心はまだ龍王じゃ。じゃから、奴には龍王として逝かせてやりたいのじゃ」


僕は、何も言わなかった。



次の日、前日よりも早く起きて、僕はヴィントのところへ行った。

元龍王は僕よりも先に口を開いた。


「ほう。良い目じゃ。お主の強さに見合った答えを聞かせてもらおうか」


ヴィントはやや嬉しそうに、けれど少し寂しそうに言った。

それに答えるように僕は昨日決心したことを言った。


「僕の前に立ちはだかってください。僕は、あなたを倒して前に進みます」


風の名を冠する龍は満足そうに頷いた。

名前 ハクヤ=アイザワ

年齢 6

種族 普人族

レベル 8

職業 なし

適正 【光】【闇】【時空】【神聖 】【深淵】

魔力 error

体力 51

筋力 72

俊敏 91

精神 101

気力 101/101

スキル

[剣術lv2][並列思考lv9][光属性魔法lv10][闇属性魔法lv10][時空属性魔法lv6][鑑定lv4][偽装lv4][隠蔽lv4][隠密lv2][再生lv2][神聖属性魔法lv2][深淵属性魔法lv2]

固有(ユニーク)スキル

[無限の心臓(オーバーエナジー)][全知の理(アカシックレコード)][時間凍結(フローズンタイム)][絶対魔力圏(マギ・ドミネイション)]

称号

[神域に辿りつきし者][深淵に辿りつきし者]

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