069 集う逸般人
World view
[暴食]
通常能力:喰べた相手の全てを自身の力に変える。(相手のステータスの全てを自分のステータスに加算し、倒した相手の能力を纏めたスキルを獲得する)
ただし、レベルアップ時にステータスが上昇しなくなる。
暴走能力:未公開
その男は、左手に剣を持ちながら、右手に持ったカードを眺めていた。
「成る程、Sランク会議とは久しぶりだな。まあいい、暇つぶし程度にはなるだろう」
目を若干細め、全てに飽き飽きしたような口調で言った。
「送還、屍龍の禍剣。喚起、空操の楔剣」
左手の紫忌の剣が消え、代わりに空色の短剣が現れた。
「空操の楔剣、地点登録、NO.8」
左手に握った剣を、地面に刺して、言った。
「空操の楔剣、開門、NO.3」
空間が歪み、その中に男は消えた。
後に残るのは、残骸のみ。
夥しいほどの数の、龍の残骸のみ。
世界最強と目される男は、最強が集うパーティーに向かう。
男は、左手に持ったギルドカードを見た。
「へー、Sランク会議かー。この子達が暴れる機会でも来るのかなー?」
彼はニヤニヤ笑いながら言い、カードを右腰につけたバッグにしまった。
「広域なる私庭、帰還」
そう言うと、彼の周りにいた魔物達が、一匹だけを残して姿を消す。
「じゃあ行こうか、プロキオン」
残った一匹の魔物、プロキオンに声をかけ、その背中に乗る。
プロキオン、子羊のような姿をしたナニカは、男を背中に乗せたまま駆け出した。
空を、駆け出した。
とある都市の寂れた宿屋で、老人がカードを見つめていた。
「成程、Sランク会議と。行かねばなるまい」
そう言うと、老人とは思えないほどのキビキビした動きで部屋の中の荷物をまとめ始める。
「やれやれ、歳はとるもんじゃないのう。体が鈍りすぎておる」
数少ない荷物をまとめ終わり、老人は部屋を出る。
身軽な服装で、決して危険人物とは思えないような身なりで、魔術師達の天敵はギルド本部を目指す。
「ねえねえ、コル、Sランク会議だって」
「へー。最近時間あるからいいんじゃない?」
「いいんじゃないとか以前に、私たちに拒否権なんてないよ」
「まあ、確かにね。で、ゼニアはどう思ってるの?」
「あの子が旅立った後でよかった、と思ってるわ。若干寂しくなってきた今に丁度いいわ」
「俺は、君さえいれば寂しくはないよ」
「嬉しいことを言ってくれるのね、ちなみに、あたしもだけれど」
「有難う、じゃあ、行こうか」
夜、帝城の一室で、一人の少年と五人の少女が輪になっている。
「と言うわけで、僕たちは今の依頼を放棄し、レンダール大陸にあるギルド本部へ向かわなければなりません」
そう、少年は切り出した。
「このパーティーとしては初めての依頼不完全履行となりますが、この場合はどうしようもありません。ギルド本部からの依頼ですから、もし断ったら、最悪の場合は降格、または資格の剥奪もあると見ていいでしょう。勇者の教育という大役は確かに重要な仕事ですが、本部の依頼以上に優先されるとは思いません。帝国は確かに強大な国力を持っていますがさすがに、化け物を数多く擁するギルド本部を相手にすることはできないと考えられます」
そう言うと、少年は急に少し厳しめの顔つきになる。
「けれど、帝国がそれでも僕たちの出国を拒むのならば、若干脅すことも考慮に入れなければなりません。さすが、皇帝がどれほどの無能だったとしても、帝城の全壊を阻止するだけの判断力は持っていると信じています。君達も了承してくれますか?」
『「わかった。ライくんの判断ならそれに従うよ」』
少女達は従順に頷き、少年は決意を固める。
「Sランク集会、だそうです。このタイミングで開かれると言うことは、議題はアレに違いないでしょう。予想通りですね。僕たちの戦力も既に十分に用意は完了しているので、今すぐにでも戦争を始めてしまっても大丈夫です。僕の黒機兵だけでも、皆さんが集めてくれた、死を恐れない優秀な搭乗者を乗せて、約4000機はすぐに出撃できます。ケイスケさんの方も酷く理不尽な切り札を用意しています。ヒデオさんも、リツコさんも、Sランク程度なら十分に相手取れます。本当に、全てが上手く行っていますね。上手くいきすぎて怖いほどです。そう思いませんか……兄さん」
「僕は家族との縁は切ったと何度も言った筈です。いい加減、その呼び方は辞めてくれませんか?」
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