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深淵の神刻魔剣士(更新永久停止中)  作者: 易(カメレヲン)
第参章 歪んだ勇者達へ、
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062 虚ろで平和的な日々を

絶弓(ディスペアアーチ)』コルケドスは、世界一の弓使いである。

必中の神弓(フェイルノート)を所持し、防御を全て無効化して対象者を射抜く。

対集団戦闘では他のSランクに劣るが、個人戦闘では上位に位置する。

 次の日の朝、クラス全員でステータスを確認した。

 どこかにあると思っていた[勇者]の称号は、高室が持っていた。

 白哉が生きていたら授けられるであろう称号だが、今更そんなことはどうでもいい。

 誰が勇者かなんて知ったことじゃない。

 必要なのは、誰かが有能な固有(ユニーク)スキルを持っているかどうか、それの確認だけだ。

 一応クラスメイトだから、興味も情も全くない訳ではない。

 中途半端な友人や仲間を切り捨ててでも、私にはしなければならないことがあるだけだ。


 ただ、私のスキル以上に蘇生の可能性を持つステータスは見つからなかった。


 収穫と言えば、クラスメイトの中に2人、固有(ユニーク)スキルを持っていない男子がいたことだ。

 どちらも、確か白哉がある程度仲良くしていたオタク組だった気がする。

 その上、片方は城から出ていくと宣言してくれた。

 私より先に城を出てくれたら、城を一番目に脱出する人物が主人公格というロジックにより、私が城を抜け出しても大丈夫になる。

 そう言えば、もう片方は一体どうなるのだろうか。

 もしかしたら、ダンジョン探索中に一人だけ離されるような展開になるのだろうか。

 余計な力をつけて地上に這い上がってくるのだろうが、どうでもいいことだ。

 私の邪魔をしない限りは。



 その後、騎士団員を相手に訓練が始まった。

 全員が模擬戦用の木の武器を持たされ、ただ単に騎士団員に向かっていくだけだ。

 私は適当な木剣を持ち、女騎士を相手にさせられることになった。

 一応名乗ってはいたが、名前は忘れた。

 私はどうでもいいことは基本的に忘れる主義だ。


 さすがは戦闘を本職としている者達の中の精鋭だけあって、相手の騎士は強かった。

 最初の頃は武器に馴染んでもいないこともあり、数回負けを喫した。

 固有(ユニーク)スキルを使えば瞬殺できるが、それではあまり意味がない。

 純粋に剣だけを使った戦闘に、かなり悪戦苦闘する羽目になった。

 ただし、途中から相手の動きのパターンがつかめてくるようになってきた。

 実際は何回でも勝てたが、相手の面子を考慮したり、あまり注目されすぎたら困ることもあり、一回だけ勝った以外は自然を装って負けることにした。

 自然に負ける演技には慣れているので、多分気づかれてはいないだろう。


 

 その後は、私の待ち望んでいた魔法の時間だ。

 魔法に関しては私は全く未知なので、独学で何とかするといったことは不可能だ。

 この時だけは、私は従順な生徒になる。

 ただ、固有(ユニーク)スキルを併用させてもらう。



 夕食の時、友人達の話を聞いて少し驚いた。

 私以外の誰もが騎士達に勝つことはできず、魔法を習得できなかった、ということを聞いて。

 ただ、少し考えればそれも普通のことなのかもしれない。

 相手の動きを分析する術を持っている人間がクラス内に3人以上もいるとは思えないし、私のように固有(ユニーク)スキルで成長速度を速めた訳でもない。

 だから、これは役に立つ。




「そう言えば、セレちゃんの固有(ユニーク)スキルってどんな奴なのー」


 私の仲良くしている友達、瀬戸山(セトヤマ)那奈(ナナ)が私に訪ねてきた。

 いつもだったら嘘はつきたくないが、今の私に限っては躊躇いもなく偽りを述べることができる。


「成長速度の増加、って感じかな」


「そうなんだー。だからセレちゃんは勝てたんだねー。いいなー、私のは使うのに時間かかるしー」


「瀬戸山さんのも十分凄いでしょ、絵が上手いし」


「えー、でもこれ実戦で殆ど使えそうにないよー」


 ちなみに、瀬戸山さんの固有(ユニーク)スキルは、[絵描創造(ペインター)]というものである。

 空中に絵を描いて、それを実体化するという結構便利そうな固有(ユニーク)スキルである。

 描くのにかなり時間がかかる上に、速度を求めて適当に描いたら再現度が低くなると言っていた。

 その上、固有(ユニーク)スキルで造ったものは数分したら消えてしまう上に、りんご大のものを造るだけでも魔力の殆どを持って行かれてしまうらしい。


 将来性はあるが、今は全く役に立たない。

 戦闘に起用するとしたら、多分支援職だろう。

 一人ではあまり戦えない上に、絵の上手さも求められる。

 私の固有(ユニーク)スキルがこれでなくて本当に良かった、と思った。

 ただ、もしかしたら、というかほぼ確実にだが、この固有(ユニーク)スキルは本人の適性だったり望みだったりと言ったものに沿った形になっているみたいだ。

 だからこそ、美術部員たる彼女にこの固有(ユニーク)スキルが授けられたのだろうか。

 だからこそ、私にしか扱えなかったであろうこの固有(ユニーク)スキルがあるのだろうか。


 ニコニコ笑う友人を見て、騙している罪悪感など湧かない。

 同時に、幸せそうにしている友人を見ても、嫉妬など湧かない。

 私はこの友人達とは全く違うんだなと感じた、嬉しくも、寂しくも。



 その夜、私は一睡もしなかった。

 当たり前だ、ただひたすらに時間が惜しい。

 布団の中に潜り込み、[限外新化(ルールブレイカー)]を併用しつつ、ただひたすら[神聖属性魔法]を使い続ける。

 魔力が切れたら、大量にくすねてきた魔力回復ポーションを飲んで、瞬時に回復する。

 ふと気がつけば、いつの間にか朝になっていた。



 翌日の訓練は、もはや邪魔なものでしかなかった。

 正直、女騎士は相手にならないほど弱い。

 魔法の訓練といっても、教えてもらえることは高が知れている。

 その上、私の持っている神聖属性はとても希少(レア)な属性らしく、文献上に残っているものしかないと言われてしまった。

 それに加えて、私の練習したい魔法は決して人前で見せられるような代物ではない。

 こんなことならば、城を出る宣言をして書庫に引きこもっていた方がマシだったような気がする。

 ただ、[聖女]の称号を持っている私が城を出ることを認可するとは思えないが。




 数日後の深夜、私は書庫の前にいた。

 初日の夜と変わらず警備兵が立っている。

 気付かれずに入ることは、普通ならば不可能。

 だから、私は小声で詠う。


「我は望む、神の如し干渉を

 其れは光、その下に総ては眠りに包まれる

 神聖属性魔法、()()()()睡眠誘発(スリープライト)


 体に干渉し、睡眠を誘発する魔法だ。

 実践テストは私自身で行なっている。

 この魔法に抗えるとは、全く思っていない。



 書庫の扉の鍵を警備の兵士から無断で借りて開け、中に入る。

 高層ビルのような威圧感を醸し出す本棚が、ずらりと並んでいる。

 古びた本特有の匂いが、ツンと鼻をさす。

 区分は全くわからないし、当然ガイドしてくれる人もいない。

 見張りの交代時間を考えると、長時間ここにいることもできない。

 けれど、20分もあれば十分だ。


 色々な場所を巡り、大雑把な内容を確認し、本を戻すことを繰り返す。

 区分を見分け、どのような本がどこにあるのかを見分け、目当ての本を探す。

 それっぽい本を見つけたら、()()()()アイテムボックスの中に放り込む。

 見つかったら泥棒と言われても仕方がないのかもしれないが、見つからなければ大丈夫だ。

 数日後には、バレないように返却するから問題はない。



 夜間に本を読む。

 知りたいのは、かつての勇者はどのような蘇生魔法を使ったのか。

 気をつけるべき実力者。

 ついでに、一般的な魔物など。

 


 一つ目は、大体わかった。

 死んですぐの勇者パーティーの魔術師的な人物を、4代前の勇者が魔法で蘇生したらしい。

 死体としてはとても綺麗な状況だったことから、仮死状態だったのかもしれない。

 ただ、死体など何もないところからの蘇生ではなかった。


 二つ目も、殆どわかった。

 この世界には、リンドロート大陸、レンダール大陸、アールベック大陸、ベルントソン大陸、エディンバラ大陸という5つの大陸がある。


 リンドロート大陸が私のいる大陸で、いわゆる私たちのような人間が住んでいる、らしい。

 ラノリア王国とリンドヴァル王国の戦争がようやく終結した直後で、いつもより治安が悪くなっていると言われている。

 レンダール大陸も主に人間が住んでいる。

 リンドロート大陸と少しは交流はあるが、互いに嫌悪しているらしい。

 アールベック大陸は龍大陸とも呼ばれ、凶悪な魔物に支配されている。

 飛び抜けた強者でなければ生きて帰ってくることは不可能と言われていて、ほとんど情報はない。

 ベルントソン大陸は精霊大陸と呼ばれていて、人間より劣った他種族に占拠されていると書かれていた。

 ここは交流がなく、もちろん情報はほとんどない。

 エディンバラ大陸が、通称、魔大陸という魔族の住む土地だ。

 私たち勇者が戦わなければならない魔王もここにいるらしい。

 正直言って魔王にも人類の危機にも興味はないので、行くつもりなど毛頭ない。

 ただ、蘇生魔法の手がかりがあるのならば、私はどこへでも押し掛ける。


 三つ目に関しては、ある程度わかった。

 色々と危険な実力者はいるが、その中でも特に気をつけるべきは、Sランク冒険者だ。

 単騎で戦場をひっくり返すほどの化物、国家級戦力、人間の形をしただけの大規模破壊兵器。

 敵軍をまとめて氷漬けにしたという逸話を持つ、『氷帝(アイスエンペラー)』ゼニア。

 どこかまで逃げても追ってくる必中の矢を放つ、『絶弓(ディスペアアーチ)』コルケドス。

 Sランクの魔物を()()()従える従魔師(テイマー)、『魔軍勢(モンスターパレード)』レクシュー=フィンドルグ。

 一般人にCランク冒険者(腕利き)程度の戦闘能力を与える魔像(ゴーレム)を数多造る、『魔像使い(ゴーレムマスター)』。

 そのゴーレムを全て()()()()()(ブラック)葬剣(クリメイション)』ハクア。

 変幻自在の魔法を扱う、『四色舞(ザ・カラフル)』ライ=クレアーレ。

 全ての魔法を消し去る、『潰魔師(キャンセラー)』バーナード。

 そして、全冒険者中最強と謳われる謎の多い男、『魔剣王(マギソードマスター)』ソウタ=キリヤマ。


 この8人がSランク冒険者らしい。

 今の私では喧嘩を売るのは、かなり無謀だ。

 相性によっては倒せる可能性はあるが、向こうから敵対してこない限りは極力関わるのをやめよう、と思った。


 ちなみに魔物についての情報は、よく見かける魔物についてだけは手に入った。

名前 セレネ=ヤソシマ

年齢 15

種族 普人族

レベル 0

職業 聖女(固定)

適正 【神聖】

魔力 301/301

体力 241

筋力 353

俊敏 125

精神 401

気力 401/401

スキル

[剣術lv5][並列思考lv3][アイテムボックスlv6][魔力制御lv4][神聖属性魔法lv2]

固有(ユニーク)スキル

[限外新化(ルールブレイカー)]

称号

[聖女][異世界人]



やばい、現在の話の構成の予定を考えると、主人公視点をほとんど書けない。

そして、主人公もほとんど出てこない。

なお、今後一番一人称として多いのは、勇者君の模様。

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