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深淵の神刻魔剣士(更新永久停止中)  作者: 易(カメレヲン)
第参章 歪んだ勇者達へ、
61/86

061 伝説という名の幻想

World view

魔軍勢(モンスターパレード)』レクシュー=フィンドルグは、世界一の従魔師(テイマー)である。

Sランク討伐対象のモンスターを何匹も従えており、一国を一晩で滅ぼせる、Sランクの中でも指折りの強者である。

 脱出に成功。

 全ては、■■のために。


 あの日、私の世界に一筋の光が差した。

 灰色の世界の1パーセントに色が戻ってきた。


 可能性を現実にするために、ひたすらに演技をし、ひたすらに偽り、ひたすらに抗った。

 今までに手に入れたのものは絶望と、儚く輝く希望だった。






 召喚されたとき、私にはその現状を理解する能力があった。



 ライトノベルを春休みの間に2000冊以上購入して読了した白哉に付き合い、私も山のような量を読んだ。

 白哉は無理して付き合わなくてもいいと言ってくれたが、私が従うはずがなかった。

 入学直後の自己紹介で、自分がオタクだと白哉が言った時は驚いた。

 けれど、次の瞬間に納得した。

 春休み中のことは、全てこのための準備だったのだと。


 

 そんな事があり、そんな訳で、私には判ってしまった。


 これは異世界召喚、細かなジャンルで言うのならば勇者召喚だだ。

 異世界召喚とは、何かの窮地に陥っている者達が、異世界から人材を飛び寄せる行為。

 召喚と同時に、被召喚者には何らかの特別な力が付与されることが多い。

 また、召喚先の世界には十中八九魔法が存在する。

 そして、大抵は、魔王とかを討伐してくれと頼み込まれる。


 召喚をする国には、善い理由と悪い理由がある。

 善い理由は、純粋に困っているから。

 悪い理由は、被召喚者を騙して、自分たちが覇権を握るための生物兵器として使うため。

 純粋にどちらかと言えるような国はあまり多くなく、両方の性質をある程度兼ね備えている。

 ただ、多くの場合は後者の割合が大きい。


 私が巻き込まれたコレは、あまり邪悪さは感じられないが、今すぐに善だと判断するのは良くないだろう。


 私にとっては、善でも悪でもどっちでもいいことなのだが。



 召喚される場合、クラス全部で召喚される場合と、勇者として選ばれた人物とその周りだけが召喚される2つのパターンがある。

 この場合は、クラス全員で召喚されている。

 クラスが丸ごと召喚された場合、普通は誰か一人が勇者のという職業を持っている。

 勇者として選ばれるのは、クラスの中心人物であり、他を凌駕するチートスペックの能力を授けられる。

 けれど、その「勇者」がカッコよく活躍することは少ない。

 「勇者」が活躍できるのは序盤だけで、その後は、クラスの中で最弱と呼ばれていた者が無双し始めて、「勇者」はいつのまにか噛ませ犬枠へと成り下がる。

 白哉だったら、「勇者」に選ばれても最初から最後まで完璧にやり通せるのだろうが、大抵の「勇者」は自尊心に溺れて落ちていく。


 けれど、白哉はもうこの中にいない。



 召喚される世界には、ステータスという物がある場合とない場合がある。

 若干ある場合の方が多いが、存在しない場合も普通にある。

 ステータスとは、まるでゲームのようにその人だったり敵だったりの能力値を数値化してわかりやすくした物だ。

 専用の器具を使った場合のみ見ることができる場合と、ステータスと唱えればいつでも見ることができる場合の2通りがあるが、この世界の場合はどうなのだろうか。

 検証を兼ねて、とりあえず誰にも聞こえないような声で呟く。


「ステータス」


 すると、脳の中に直接情報が流れ込んできた。


名前 セレネ=ヤソシマ

年齢 15

種族 普人族

レベル 0

職業 聖女(固定)

適正 【神聖】

魔力 301/301

体力 241

筋力 353

俊敏 125

精神 401

気力 401/401

スキル

[剣技lv3][並列思考lv2][アイテムボックスlv1]

固有(ユニーク)スキル

[限外新化(ルールブレイカー)]

称号

[聖女][異世界人]


 成程。

 ステータスの存在は確認できた。

 まず喜ぶべきことは、「適正」という項目があるあたり魔法は存在することだ。

 適正は、幸運なことに、治癒系統だと思われる【神聖】だ。

 もし蘇生魔法が存在するとしたら、治癒の最上位、または死霊術の最上位。

 死霊術で蘇らせた場合は何かデメリットがあってもおかしくないので、治癒系統だったことに感謝するべきだろう。


 ただ、一つ問題のある点としては、称号と職業欄に[聖女]という呪いの言葉がある点だ。

 聖女は大抵勇者と行動を共にしなければならない。

 誰が勇者なのかは知らないが、白哉以外と行動を共にするつもりはない。

 その上、誰が勇者であっても、はっきり言って私にとっては邪魔だ。

 何とかして一緒に行動しない、つまり単独行動するための理由を見つけなければならない。

 上手い理由が見つけられない場合は、脱走することも視野に入れなければならないかもしれない。


 ただ、脱走するのは大抵は主人公格のすることである。

 脱走した主人公は、その後数々のイベントをこなすことが必須である。

 私にそんなことをするつもりはない、するだけ時間の無駄だ。

 という訳でどうしようもなくなったら脱走するが、今のところ脱走する予定はない。



 次にすべきことは、私自身の力の把握だ。

 私には、単独行動をすることが必須である。

 勇者が召喚される世界においては、一般的に、日本と比べて平和ではない。

 自分の身を守れる程度の力は、女子一人で旅をするにあたって必須である。


 ステータスの数値は、召喚された人の一般的な、「この世界の住人の平均より高い」程度だと考えるのが妥当だろう。

 注目すべきは、固有(ユニーク)スキルの部分だ。

 固有(ユニーク)とあるあたり一人一人効果が違うのだろうし、何より使えるかどうかが気になる。

 こういう場合はステータス画面の一部に注目すればいいのだ、と当然私は知っている。

 鑑定とかがないと見られない場合もあるが、その時はその時である。

 ただ、どうやらこの世界のステータスシステムにはケアが充実していたらしい。


[限外新化(ルールブレイカー)]

世界の理から外す能力


 ただ、どうやらこの世界のステータスシステムにはアフターケアが充実していなかったらしい。

 世界の理から外す能力と言われても、恐ろしいほど抽象的すぎる。

 使っていくうちに何となく使用方法もわかってくるのだろうが、何となく私には予感があった。

 これは恐ろしいほどピンキーで使い勝手の悪い、最高の能力だと。



 そのうちに、皇帝による解説の時間が終了した。

 解説はステータスにも現れた[並列思考]を使って聞いていたが、特筆すべき事項はなかった。

 せいぜい、もうすでにわかっている魔法の存在を再確認したぐらいだ。


 解説の後には質問の時間がある。

 通常ならば勇者として選ばれるようなクラスのリーダーが質問をする。

 質問内容には、元の世界に帰れるのかどうか等形式化されたものもある。

 だが、多くの質問内容は場合ごとに違い多岐にわたる。


 一般的な帰還に関する質問の答えは否だった。

 帰る手段がないのは何となく予想がついていたことで、クラスメイトとは違って別に取り乱すつもりはない。

 肉親に伝えたいことが全くなかった訳ではないが、白哉のいない世界などに大して未練などない。

 ただ、蘇生魔法に死者の骨が必要だった場合は何としてでも取りに帰る予定だ。


 最後に、一応質問させてもらった。


「この世界には魔法があると聞きましたが、蘇生魔法というものはありますか?」


 きちんとしたものがあるのならばそれに従えばいいし、ないと言われても存在が確認されていないだけの可能性もある。

 そもそも蘇生魔法なんてものがポンポン使えるはずもない。


「伝説の勇者が使ったという伝承はあるが、詳しいことはわからぬ」


 意外だった。


「そうですか。ありがとうございます」


 存在があるかもしれない、それだけで十分だ。

 元々不確かすぎるモノを探すつもりだったのだ、「ない」という前提の上で「ある」という可能性を引き摺り出すつもりだったのだ。

 その土俵が一段階上昇した、それを喜ばずに何と表現するべきか。



 夕食は、食べたことのない食材だらけの食べ物だった。

 消えそうなほど薄い希望の味だった。

 この二週間のうちで初めて口にした、味のある食べ物だった。



 夜、私が寝るはずもない。

 普段から15分睡眠だったので、夜に作業をすることには慣れている。

 最近はある意味健康的な生活をしていたが、今日からまた不健康な生活を始める。

 私の持ち得る時間は有限だ。

 だから、白哉のために目一杯活用させてもらう。


 夜の静まった城の中、私は一人、歩みを進める。

 一応お付きという感じだったメイドさんには、睡眠薬を飲ませて眠ってもらっている。

 この世界でも地球の薬品が効いたことが証明できたのはいい収穫だ。

 ただ、あまり使う機会には恵まれないだろう。


 警備の兵士達は一応立っているが、言うならば欠伸を噛み殺し続けているような現状だ。

 死角と物陰を行き来しながら進めば、見つかる危険性はほとんどない。

 それに加えて、帝国の勇者達に対する歓待から考えるに、万が一見つかっても即処刑になる可能性は低い。

 ただ、多少のリスクは承知済みだ。

 この程度で死ぬのならば、今後に希望は持てないだろう。

 来世で再開できることを祈った方がまだマシだ。



 帝城の地下一階、若干寂れたような扉に、それに見合わないほど厳重な警備。

 ここが、多分私の探していた書庫だろう。

 もう一つ警備が厳しくて入れない場所があったが、扉の材質から中身を想像するに、こっちが書庫で立派な向こうが宝物庫だろう。

 警備兵全員と相対しても負けるつもりはないが、残念なことに、穏便に全員を片付ける方法が今の私にはない。

 当然、鍵のかかっているであろう扉を前にして、起きている兵士に気付かれずに侵入する方法はない。

 ここが潮時だろう、そう察知して、私は自室へと帰還することを選んだ。

 当然、気付かれることはなかった、多分。


 私はベッドに腰掛け、一人、考える。

 これ以上の情報を手にいれることは、現状ではほぼ不可能。

 情報のない今、できることはほとんどない。

 できることは固有(ユニーク)スキルの効果の模索ぐらいだ。

 今夜のノルマは少ないので、かなり早く寝ることができそうだ。


名前 セレネ=ヤソシマ

年齢 15

種族 普人族

レベル 0

職業 聖女(固定)

適正 【神聖】

魔力 301/301

体力 241

筋力 353

俊敏 125

精神 401

気力 401/401

スキル

[剣技lv3][並列思考lv2][アイテムボックスlv1]

固有(ユニーク)スキル

[限外新化(ルールブレイカー)]

称号

[聖女][異世界人]

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