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深淵の神刻魔剣士(更新永久停止中)  作者: 易(カメレヲン)
第弐章 深淵と終焉と始まりと
33/86

033

World view

魔族は二種類に分類できる。

魔物がレベルを上げて知性を獲得したもの。

そして、生まれながらにして魔族である魔人族。

特殊階層の次の階の真ん中には一匹の竜がいた。


間髪を置かずに、転移したばかりの僕に向けて竜はブレスを吐いてきた。

一瞬焦ったものの、すぐに時空結界を張って対処する。

当然、竜のブレスには僕の結界を貫くには至らず、いとも簡単に霧散した。

ブレスを吐く竜を見つめて、僕は[鑑定]を発動させた。


名前 なし

種族 風竜

レベル 132

適正 【風】 

魔力 634982/649582

体力 983942

筋力 938291

俊敏 1382939

精神 728398

スキル

[竜言語魔法lv5][魔力操作lv6][風属性魔法lv7]

固有(ユニーク)スキル

称号


ステータス的には、僕が今までに見たどのステータスよりも強い。

ただし、相手は龍ではなく、その下位種である竜だ。

龍殺しである僕が負ける理由は、あるはずがない。


身体強化をほぼ全開で発動し、斥力操作で飛び上がる。

そして、剣には深淵属性の崩壊(カラプス)付与(エンチャント)して、構えた。

ここまでやれば、遅れを取ることなどないだろう。




結果、少しやりすぎた。

崩壊(カプラス)付与(エンチャント)した剣が竜のブレスに触れるないなや、ブレスは霧散した。

そして、斥力操作による飛行のスピードに竜は付いてくることができずに、ひたすら見当違いの方向に攻撃を繰り返している。

本当はこの階層で戦闘する場合は、多分雲の上を止まらずに走り続けていなければならないのだろうが、飛んで戦闘をしている場合は別だ。

もし、竜の攻撃が当たっても、身体強化のおかげかこちらには傷一つない。

それなのに、剣が竜の体にかする度に、かすったところから竜はどんどん崩壊していく。


三分とかからずに、竜はその体を前足から、後ろ足から、胴体から壊され、墜落した。

落ちていく竜の死骸の下に異空間の入り口を展開しながら思った。

少しやりすぎたな、と。

とはいえ、終わってしまったことを後悔しても仕方がない。

フロアの中心あたりある雲に現れた転移陣の上に降り立ち、ボス部屋の先に転移した。


そこに広がっていたのは、生活感溢れる普通の部屋だった。

いや、普通というのは語弊がある。

ヘレナスではなくて、日本の基準からして普通の部屋、というべきか。

ベッドがあったり、台所があったり、机があったり、照明器具があったり、明らかにダンジョンの最終層としては異質な作りだ。

部屋の片隅にはお菓子のゴミが入ったゴミ箱らしきものも見受けられる。

部屋の奥には二個の転移陣がある、そして、片方の周りは物置になっているが、もう一つの周りはきっちりと整理整頓されている。

部屋の中心にはダンジョンコア的な球体があり、その横には一人、黒目黒髪の日本風の整った顔立ちをした青年が洋服を着て座っている。

この人がダンジョンマスターだろう、そして、多分、元日本人だ。


「ダンジョンマスターらしく、よくぞここまで来た、とでもいうべきなのかな?」


青年は口を開いた。

この青年には特に殺気はない、戦うという選択肢はなさそうだ。

そう思いながらも、僕は自然体のままいつでも剣を抜けるように身構えているが。


「いいえ、その格好で言うのは少し無理があると思いますよ」


「だよね、やっぱりそうだよねー。ここまで来られることなんて想定してなかったからさー、ダンジョンマスターらしい服なんて用意してなかったんだよー」


「そういえばお聞きしたいんですが、あなたは元日本人ですか?」


「うん、そうだよ。結構前にダンジョンマスターとして召喚されたんだー。ってことは君も日本人?転生者的なアレ?」


「はい、そうです」


「羨ましいなー、こっちはダンジョンマスターなんてめんどくさい仕事につけさせられてさー、だからダンジョンから出らんないんだよー。俺的には世界を駆け巡って冒険する、的なのの方がよかったなー。まあ、こうやってほとんどずっとダラけてられる生活も悪くはないんだけどね」


ものすごくチャラい、調子を狂わされるような喋り方である。

なんだかダンジョンマスターに抱いていたイメージがガラガラと音を立てて崩れていく気がする。

まさか、ダンジョンの奥にこんなにチャラい人が待ち構えていたとは思わなかった。

しかし、僕がそんなことを思っているとはいざ知らずにダンジョンマスターはまくし立てる。


「いやー、それにしても、この世界に来てから他の人に会うのって初めてだわー。ってか、もしかしてこれ、俺、討伐される的な感じ?戦わなくちゃいけない感じ?うわー、ヤダわー。君あの竜を倒して来たんせしょ、俺そんなに戦って強くないよ。すぐ負けるよー。ってかほんと、見逃してくれない?色々おもてなし的なのをするからさ、ね、俺今死にたくないし」


「ええっと、特に戦う気はありませんけど、、」


「マジ、ほんと、じゃあ、俺は死ななくてもいい感じ?じゃあ、今時間ある?」


「はい、まあ、あるっちゃあります」


「そっか、じゃ、お茶出すから座って待ってて」


そう言って、青年は椅子を指差した。

僕は言われたままに椅子に座り、台所でお湯を沸かすダンジョンマスターを待っていた。


「そういえば、名前言ってなかったっけー。俺は、槙村圭介(まきむらけいすけ)っす。よろしくー」


本名の藍沢白哉(あいざわはくや)を名乗るか、それとも偽名の矢澤白亜(やざわはくあ)を名乗るか少し迷ったが、相手が鑑定を持っている可能性を考えて本名を名乗ることにした。


「僕は、藍沢白哉(あいざわはくや)です。よろしくお願いします」


「そっかー、へー、じゃあさ、日本名ってことは転生者じゃなくてもしかして転移者なの?」


「いえ、転生者という区分だと思います」


「ふーん、じゃ、この世界での名前は?」


「いいえ、これと同じです」


「そうなんだー、何で?もしかして、孤児的な奴?」


「まあ、同じようなものです」


「へー、まあどうでもいいや。あっ、そろそろお湯が沸いたんで用意するよ」


「ありがとうございます」



そして、青年が持って来たのは、緑茶だった。

まさかダンジョンの最下層で緑茶を飲むことになるとは誰が予想しただろうか。

しかし、それに関わらず結構、いや、かなり美味しい。


「どう、美味しいっすか?」


「はい、美味しいです」


「ホント?いやー、自信なかったんだよねー、ここには俺一人しか評価できるやつがいなかったからさ。俺的には美味しいとは思ってたんだけど、独りよがりかもしれないじゃん?でも、他の人が美味しいと言ってくれると自信がつくよー」


「もしかして、日本で茶道を嗜んでいませんでしたか?」


「いや、違うよ違うよ。この世界に来てから暇だったから色々と努力しただけ。まあ、時間は腐るほどあったからね。ここでできることをほとんど何でも極めただけさ。あっそうだ、君って鑑定スキル持ってる?」


「はい、持っています」


「じゃあ、説明するのは面倒だし俺のステータスを見てよ」


「では、失礼します」


そう言って、鑑定を発動させる。

そこには、ある意味恐るべきステータスがあった。


名前 ケイスケ=マキムラ

年齢 2034

種族 普人族/ダンジョンマスター

職業 不可能

レベル 132

適正 【風】

魔力 7825/7825

体力 8236

筋力 4299

俊敏 3815

精神 99965

気力 99965/99965

スキル

[不老lv--][報酬贈与lv--][料理lv10][清掃lv10][解体lv10][農耕lv10][調薬lv10][木工lv10][魔道具作製lv10][鍛治lv10][錬金術lv10][裁縫lv10][魔導工学lv10][精密動作lv10][建築lv10][魔剣鍛治lv10][聖剣鍛治lv10][石工lv10][鑑定lv6][記憶力lv10]

固有(ユニーク)スキル

[変化(コンヴァージョン):雲][生産の匠(クリエイトマスター)]

称号

[転移者][ダンジョンマスター][生産者][ダンジョンロード][生産王][生産狂][悠久の年月]


とりあえず、ここに生産チート極まれり、と言った感じか。

レベルはそこまで高くはないものの、本当に何をどう間違ったらこうなるのだろう、という感じのステータスである。

しかし、それらも全て年齢の欄を見れば納得せざるを得ない。

確認の意味を込めて一応聞いてみる。


「少し聞きたいんですが、この世界に来たのは何年前でしょうか?」


「うーん、詳しいことは忘れたけど2000年ぐらい前だったかなあー」


「転移する前に流行っていたアーティストとかはありましたか?」


「ええっと、グラコンとかかな?」


グラコン、つまり、Gravity Combinationの略で、僕が小学校高学年の頃に流行っていたアーティストだ。

確か、僕が中学生になる前に突然解散して話題になったことを覚えている。

つまり、槙村圭介がこの世界(ヘレナス)に転移、または召喚されたのは、僕が死亡する4年から5年前ということになる。


「そんなことよりさ、俺の工房に興味ない?見に来ない?」


「ええっと、ないというわけではありませんが、」


「じゃあ決まりだ。ついて来てー」


そう言うと、ダンジョンマスターは勢いよく立ち上がり、部屋の隅にあるいつも使っているらしい方の転移陣の上に乗ると、すぐに転移してしまった。

僕は慌ててそれを追いかけようとした、しかし、転移陣は光っておらず、作動しない。

やっぱりダンジョンの転移陣にはクールタイムが存在するのか、僕はそう思った。

理由は単純である、まず、ダンジョンの入り口にギルドの職員を配置して入場時間に間隔を設けていること。

もう一つの理由は、転移陣の先に他の人がいると考えた場合に不都合が生じるから、である。

そんなことを考えているうちにクールタイムは終了したようで、転移陣は光を取り戻した。

そして、僕の視界は白く染まり、転移が完了した。


「遅かったねー、もしかしたら来ないのかと不安に思ったよー」


「はい、転移陣のクールタイムで遅れてしまいました」


「ああー、そっかそっか。それは忘れていた。それにしてもどう?この光景に対して何か感想は?」


改めて見るとすごい光景だ。

木が生えて果樹園みたいになっている区画もあれば、錬金術用の大釜があって、鍛治をするための炉がある。

一言で言い表すとすれば、カオスを体現したような空間である。


「ええ、とても(,)(,)(,)空間ですね」


「やっぱそう思うよね。ここまで作るのに結構かかったんだよー」


さらっと皮肉を交えて言ったが、あっさり流されてしまう、というか、気づいてすらいない。

さすがは2000年の引きこもりだな、と思ったが、口に出すのはやめておいた。


「そういえば、その腕を見込んで頼みたいことがあるんですけれど」

名前 ハクヤ=アイザワ

年齢 8

種族 普人族

レベル 127

職業 魔法剣士lv37

職業履歴 見習い魔術師 見習い剣士 魔術師 剣士

適正 【光】【闇】【時空】【神聖】【深淵】

魔力 error

体力 14123

筋力 13024

俊敏 14973

精神 29812

気力 29812/29812

スキル

[上級剣術lv1][多重思考lv3][光属性魔法lv10][闇属性魔法lv10][時空属性魔法lv9][鑑定lv9][偽装lv9][隠蔽lv9][隠密lv3][再生lv5][神聖属性魔法lv8][深淵属性魔法lv8]

武技(アーツ)

剣:

固有(ユニーク)スキル

[無限の心臓(オーバーエナジー)][全知の理(アカシックレコード)][時間凍結(フローズンタイム)][絶対魔力圏(マギ・ドミネイション)][龍装顕現(ドラッヘ・コール):風龍剣ヴィント]

称号

[神域に辿りつきし者][深淵に辿りつきし者][龍殺し][下克上][無謀なる挑戦者][大物喰らい][反逆の使徒][ゴブリンキラー][ゴブリンスレイヤー][コボルトキラー][スライムキラー][スライムスレイヤー][プラントキラー][ロックキラー][メタルキラー][クラストキラー][アンデッドキラー][アンデッドスレイヤー][オーガキラー][竜殺し]




後書き

ある作品に影響されて、王道熱血ダーク中二病ノンステータスファンタジーが書きたくなったけれど、絶対に無理だと知っている件。

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