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深淵の神刻魔剣士(更新永久停止中)  作者: 易(カメレヲン)
第弐章 深淵と終焉と始まりと
23/86

023

帝都では、田舎とは違って入り口の門でチェックが行われていた。

僕たちは、西門の列の最後尾の並んだ。


そこまで大して待たされることなく、憲兵が検察を行なっているところまでたどり着いた。


「それでは、次の方」


「フィボリオ商会商会長のフィボリオです。後ろの五人は今回の護衛を務めてもらった冒険者の方々です。また、盗賊に遭遇し、捕縛することができたので連れて来ました」


そう言って、フィボリオ商会長は、商人組合のカードを差し出した。

憲兵は、カードを返却して言った。


「確認しました。では、護衛の方々も身分の確認をするのでギルドカードの提示をお願いします」


そう言われて、僕はギルドカードに名前とランクだけを表示させてギルドカードを憲兵に手渡した。

他の四人も手馴れたようにカードを手渡していた。


「うん、はいはい。大丈夫ですよ。全員の身元は確認が取れました」


憲兵はギルドカードを見て、すぐにギルドカードが帰って来た。


「それでは、この盗賊達は犯罪奴隷として売りさばく予定ですか?」


「はい、その予定です」


「では、違法奴隷ではないか確認する必要がありますので、人数を数えさせていただきます」


「わかりました。お願いします」


そう言うと、憲兵は見落としがないよう念入りに捕まった盗賊達の人数を数え始めた。


「合計で13名、間違いはありませんか?」


「はい、その通りです」


「では、必ず真偽官のいる奴隷商店で売却し、この紙を見せてください。そして、この紙に確認の印をもらってここまでもう一度持って来てください。なお、一週間以内に持ってこなかった場合は、あなたを違法奴隷商人として手配するので、気をつけてください。真偽官がいる店には必ずこのマークがありますので、見間違えないようにしてください」


そう言って、憲兵は一枚のなにやら色々書かれた紙切れを手渡したあと、虫眼鏡の中心に銀色の瞳が描かれたマークを指差した。


「わかりました。では、そうします」


ちなみに、真偽官と言うのは『真実の瞳』と言うアーティファクトによってつくことができる職業だ。

真偽官は、人の言っていることが本当か嘘かがわかるが、自分は決して嘘をつくことができないという誓約を科される。

真偽官が能力を発動させる際に瞳が銀色に輝くので、銀色の瞳と言うのは真偽官のシンボルマークだったりする。



そのあと、街に入って盗賊達を売却しようという話の流れになったのだが、


「すみません、僕はここで抜けてもいいですか?」


無論、僕である。


「なに、まだ盗賊の分の分け前をもらっていないのにか?」


トルハマーは怪訝そうな顔をして言った。


「はい、ちょっと帝都に知り合いがいまして、その人からできるだけ早く来るように、と言われているんです」


「盗賊たちを売却するのにそんなに時間はかからないぞ、あと、倒した魔物の分け前も決めていないじゃねえか。」


「じゃあ、それらは無しでいいです。ちょっと急いでいるので、すみません」


「その知り合いってのは貴族とかか?まあいい。お前の分の分け前は俺がとっておいてやる」


「いいですよそんなもの。僕はこんなところで抜けてしまうんですから分け前とかは無しでいいです」


「本当にいいんですか?」


商会長も同じように怪訝そうな顔をしている。


「はい、依頼の達成報告さえしていただければいいんです」


「まあ、そこまで言うからにはかなり大切なお知り合いなのでしょうね。では、お気をつけて」


「こちらこそ急に抜けてしまってすみません。四日間ありがとうございました」


そう言って、僕は駆け出していった。

そして、五人の目の届かない路地裏まで来ると、足を止めてため息をついた。


もちろん、帝都に知り合いがいると言うのは嘘だ。

僕は逃げ出したのだ、盗賊達を売却しようというから。

僕は逃げ出したのだ、人を売るということから。

それが社会の制度で決められているのなら仕方ないことだ、しかし、僕はそれに関わりたくはなかった。

そして、人を売ってお金を得るということをしたくなかった。

つまるところ、僕は人をモノとして扱う制度が認められなかった、以上。

そうは言っても、僕は盗賊達を捕らえることに関わっている、そして、彼らを連れて来ることを拒まなかった。

僕のは単に責任逃れをするための自分への言い訳を作るだけの汚い行為だと知っている。

僕はそんな中途半端な僕を哀れんで軽く嗤った。


そういえば、ライ君とやらには、今度また高ランク冒険者として会うかもしれないな。

その頃にはライ君のハーレムメンバーも増えているかもしれない。

だって彼は主人公体質だ、チート持ちの転生者だ。

そう僕が知っているのは、ライ君を好奇心で鑑定した時に称号[転生者]があったからだ。

そして、固有(ユニーク)スキル[創魔(マギ・クレアーレ)]があったからだ。

適正属性が4つもあったからだ。

話しかけなかったのは、ライ君にはいつもあの二人がくっついていたのもあるが、僕が[鑑定]持ちだとバレるから、そして[隠蔽]持ちだとバレるからだ。

高ランク冒険者として話す機会があれば、その時に話してもいいかな、と思った。


僕は帝都の知り合いのところに行ったことになっているので、このまま冒険者ギルドに行ったらまずいかもしれない。

なので、僕は帝都観光としゃれこむことにした。


さすがに、エルヴァスティー帝国の首都だけあって色々な店がある。

魔導具屋、武器屋、鍛冶屋、パン屋、薬屋、運搬業者、etc

僕は特に目的もなくその辺をぶらぶら散策することにした。


街中ゆえに人通りは結構多い。

歩いていて、人とぶつかりそうになることもあるほどだ。

もしスリがもしいるとしたらこの人混みに紛れて仕事をしていそうだが、生憎僕はスリに悩まされる心配はない。

そんなことを思いながら、ただ目的もなく帝都をぶらぶらと歩いた。


宿屋『花鳥風月』って帝都にもあるのか、当たり前といえば当たり前だけど。

虫眼鏡に銀色の瞳のマークを見かけた、もしかしたらここにいる可能性もあると考えて慌てて離れる。

聖光教の教会がある、今まで見た中で最大の。

ギルドの建物が建っているが、大都市でも地上は二階建てなのは変わっていないようだ。

指名手配の掲示板に見覚えのあるような名前と顔が貼られているような気がする。

日本でも見たような名前がたまに見えるのは転生者や勇者の影響なのだろうか?

色々な商会の本店らしきものがいくつかある、その中には聞き覚えのあるものもある。

見たこともない食べ物を売っている店がいくつもある。

面白そうな魔導具を売っている店をちらほら見かける。


街中には興味をそそられるものが色々あったが、その中でも特に興味をそそられたものは、とある武器屋だった。

その店は外装のほとんどは普通だが、見たものの目をひく看板が堂々と立っていた。

『勇者失格』と。


『勇者失格』という店の名前はすぐにわかった。

勇者にはふさわしくない一癖も二癖もある武器を売っているのだ。

つまり、呪いの武器、使いにくいが局所的な場所のみで絶大な効果を発揮する武器、卑怯な手段で敵を倒す武器などである。

例えば、人を殺せば殺すほど切れ味が増す斧、持ち主の周囲に多大な不幸が訪れる代わりに不死身になる鎧、持ち主の寿命を削って絶対切断の効果を発揮する大鎌、着用者は体がとても重くなってほとんど動けなくなるがほぼ全ての魔法攻撃を大幅に減退するローブ、感情の制御が難しくなるが壊れても時間経過で修復する剣、感情に呼応して威力が増す槍。

獣のみに対して切れ味が大幅に増加するナイフ、格下相手の場合のみ身体能力が上がるガントレット、リキャストタイムがとても長いパイルバンカー。

ボロボロの剣だと思わせておいて猛毒で敵を仕留める剣、仕込み杖、近距離に近づいた時に一発だけ強力な魔法を一瞬で行使できるトンファー。

などなど、色々な変わり種の武器が並んでいた。


その中でも、僕が気に入ったものがあった。

まず、人を殺せば殺すほど切れ味が増す斧などは論外である、もちろん僕は人を殺すつもりは微塵もない。

魔法攻撃、そんなもん結界で完全に防げる。

不死身、周囲が不幸になっていく中で自分一人が生きるのは多分死ぬよりも苦痛だ。

攻撃の威力、身体強化と風龍剣で補える。

一瞬での魔法の行使、もともとできます。


壊れても修復する剣、これなら人前用の武器として使えるのではないだろうか、けれど、感情の制御が難しくなるのが少し怖い感じがする。

けれど、壊れるのを気にせずに武器を使えるというのはかなり魅力的だ。

買って使用感を確かめてから、もし危ない武器だったら使うのをやめればいいだけだ、そう思って買うことにした。


「すみません、この剣はどれぐらいしますか?」


人のほとんどいない店内で一人だけ見張りをするかのように立っていた店員に聞いた。


「そうだな、その、『情の再生剣』なら、王金貨2枚ってところだな」


少し痛い出費だが、あまりお金を使う機会がないのでそこまで気にする必要はない。

今後ずっと使えるならむしろお得なのこもしれない、もし問題なく使えれば、の話だが。

そういうわけで、僕は、この『情の再生剣』とやらを買うことにした。

それにしても、『情の再生剣』とは、あまり不気味な単語などは入っていないので、なかなか呪いの武器とは思えないような名前だ。

逆にそれが不気味な感じも少しするが。


王金貨2枚を支払って店を出る、早くこの剣の性能を試したいが、さすがに街中で試すわけにも行かない。

異空間を展開すればその中で振り具合などを確かめることもできるが、人が大勢いる街中で異空間に入るなんてするわけがない。

そんなことをすれば、僕が街中で突然消えるということになり、もし万が一誰かに見られでもしたら大騒ぎになって悪目立ちしてしまう。

それが原因で貴族とか王族とか目をつけられるなんて真っ平御免だ。

そろそろ日も暮れてきたので、僕は、宿屋を探してそこで異空間を展開することにした。

こんな時は、G●●●●●eマップも顔負けの[全知の理(アカシックレコード)]に頼ることにしよう。

この周辺でオススメの宿屋は?




僕は知らない、この後、そんなことを聞いてしまったことを後悔することを。

とても便利なものには、実際は何かしらの欠陥があったりするのだ。


名前 ハクヤ=アイザワ

年齢 7

種族 普人族

レベル 95

職業 魔法剣士lv5

職業履歴 見習い魔術師 見習い剣士 魔術師 剣士

適正 【光】【闇】【時空】【神聖】【深淵】

魔力 error

体力 11451

筋力 10023

俊敏 11302

精神 21983

気力 21983/21983

スキル

[剣術lv7][多重思考lv2][光属性魔法lv10][闇属性魔法lv10][時空属性魔法lv8][鑑定lv6][偽装lv6][隠蔽lv6][隠密lv3][再生lv3][神聖属性魔法lv6][深淵属性魔法lv6]

武技(アーツ)

剣:

固有(ユニーク)スキル

[無限の心臓(オーバーエナジー)][全知の理(アカシックレコード)][時間凍結(フローズンタイム)][絶対魔力圏(マギ・ドミネイション)][龍装顕現(ドラッヘ・コール):風龍剣ヴィント]

称号

[神域に辿りつきし者][深淵に辿りつきし者][龍殺し][下克上][無謀なる挑戦者][大物喰らい][反逆の使徒][ゴブリンキラー][ゴブリンスレイヤー][コボルトキラー][スライムキラー][スライムスレイヤー]

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