幕間.幼馴染の憂鬱
楽しんでいただければと思います。
※2018.9.7 『後日談.アマリアの苦悶』よりタイトルを変更、全て幼馴染み視点へ+大幅加筆しています。(幼馴染視点の為、雰囲気が大きく異なっています)
またアマリアがやってきた。
こどもの頃から落ち着きのない子だったけど、ここ一ヶ月は本当に忙しない。
ほぼ毎週やってきては顔を赤くしたり青くしたりと、休む暇もないくらい騒いでは肩を落として帰っていく幼馴染み。
さて、今日はどうしたんだか。どうせ騎士様のことなんでしょうけど。
「ど、どうしたらいいのか、ほんと、わかんなくって……」
アマリアは激しく動揺していた。瞳が揺れ動き、耳と尻尾が地面につくのではというくらい垂れ下がっている幻覚が見える。
あ、いつものことか。
「今度は何?」
ため息とともに腰に手をあて見下ろすと、アマリアは両手を握りしめたり放したりとし始めた。
「何よ」
じろりと睨みを効かせるけど、それでもアマリアはしばらく口を開けたり閉めたりを続けた。
珍しい。大体は催促したらすぐに涙目になって答えるのに。
本気で何かあったか?
私はアマリアをよそに二人分のお茶を用意し始める。そのうち話すでしょ。
「……あ、あのね……その……」
ようやく声が出たのはお湯が沸き上がって、ティーポットにお湯を入れて茶葉を蒸らし、カップに注ごうとした時だった。
「騎士様、と……」
ちらりと目を向けるとアマリアは人差し指同士を合わせていじいじとしていた。
ああ、付き合うことになったって?
「……結婚……っすること、に……」
蚊の鳴くような小さな声に私は思わずティーポットを落とした。
「あっつ!」
テーブルにお茶がはねて指にかかる。
「だ、大丈夫!?」
慌てて駆け寄るアマリアを反対の手で制して布巾でテーブルを拭う。熱いだけでたいしたことはない。
それより、だ。
「結婚ってまた、ずいぶん飛んだわね」
ぶっ飛びすぎてびっくりしたわ。
アマリアを見やれば結婚の言葉に顔を真っ赤にさせている。
「なんでそんなことになったのさ」
眉根を寄せて尋ねてみると、いつものようにしどろもどろになりながら昨夜あったらしい会話を話し始めた。
「――なるほどね」
全ての説明を聞き終えた私はソファに座ると息をついた。
思えば二回目の騎士様との接触の時から兆しはあった。
アマリアから騎士様に関することはほぼ全部報告を受けている――というか聞かされている――私としては騎士様が胡散臭くてならなかった。
どう考えたってアマリアのこと狙ってるでしょ。
いきなり声をかけてきて相談を持ちかけ、アマリアの趣味がばれたと思ったら本が増刷していることが発覚、それを普通なら不快に思うところを食事に誘い続けることがあり得ない。
ぶっちゃけた話、本が広まりすぎたのだって騎士様がなんかやったんじゃないかって思ってる。
「ど、どうしよう……?」
「知らないわよ」
眉を八の字にさせるアマリアに額に手をあてる。
「騎士様と結婚だなんて、わたし……わたし、心がもたないわ」
男の色気を前面に押し出して迫られちゃ、そりゃあ耐性のないアマリアには太刀打ちできるものじゃない。
それに、と幼馴染を見やる。
アマリアは昔から好きな男を受けにして妄想する癖がある。おそらく本人は無自覚なんだろうけど、自覚さえしてしまえば両思いのハッピーエンドなわけだ。
まぁ、その自覚させるってのが一番大変なわけで。
「嫌なら断れば?」
めんどくさくなった私はため息と共に投げ掛けてみる。
「男色の噂を払拭するだけなら付き合うフリだけでも十分でしょうが。なんだって結婚まで話が飛ぶのよ」
私の言葉に何度か目を瞬かせ、アマリアはきゅっと自分の手を握った。
「そういえば、そうよね」
気づいてなかった辺りが流石としか言いようがない。
「フリにして貰えばいいのね!」
「ついでに他の人にやって貰えばいいよ」
「えっそれはどうだろ。原因はわたしなんだし、そこは責任もたないと」
無駄に律儀な幼馴染みである。
ふうと息をつくと私はお茶に口をつけるのだった。
+ + +
昨日、意気揚々と帰っていったアマリア。
私の言葉にすっかり元気を取り戻したたはずなんだけど――一体今度はなんだっていうのか。
昨日の今日でしょぼくれてるのは流石に早くないか?
「で、なに」
家族での夕食が終わった後の遅い時間。こんな時間だけど、家が隣だからそのあたりの注意はしない。
この前とは違って家族がいるから今回は自室にいるけど、部屋の中でアマリアは私のベットに座って涙を溜めていた。
「どうしよ、キラ。わた、わたし……後戻り、できない」
唇を震わせるアマリアはどう見ても切羽詰まっている。
後戻りという単語に思考を巡らせる。
こんな時間に来るってことは騎士様と夕飯でも食べて帰ってきたってことだろうし、となると昨日の会話からアマリアが結婚ではなく恋人のふりでって申し出があったんだと思うんだけど。
ってことはアレか。失敗したのか。
壁に体を預けて腕を組んで視線で先を促す。
「き、騎士様がね、お店に来たの」
「ふぅん?」
「それで、店の姐さん達に、わたしの、こっ……婚約者だって、言って」
ほほぅ。つまりアマリアが申し出る前に完全に逃げ道を断たれたのか。読みが甘かった。
などと自分の思考を評価してる中で、アマリアか縋り付いてきた。
「ど、どうしようキラ。これじゃ、いまからフリにしてくださいなんて言えないよっ」
うるうるした目で見上げてくる必死なアマリアに、私は至極落ち着いて答えた。
「そりゃ確かに言えないね。その分じゃもう店だけじゃなくいろんなとこに広まってるんじゃないかな。有名な騎士様の話だったら尚更に広まるのは早いだろうし」
むしろフリでしたなんてバレたらアマリアはどこぞの女に刺されてもおかしくはない。
っていうか、婚約者って時点で実はやばそうだよね。相当なファンがいるんでしょ?これ以上怯えさせたくないし、多分騎士様もそこらへんの対策はしてるはずだろうから黙っとくけどさ。
しっかし騎士様もかなりのご執心だこと。絶対に手放さないって執念が半端ないわ。こりゃあもう逃げられないかもねぇ。
「どうすればいいと思う!?」
必死の眼差しを向けられて、私はひとつ息をついた。
「人間、諦めが肝心だよ」
「キラあぁぁっ」
「はいはい。ほら、これでも食べて落ち着きなさい」
えぐえぐと泣くアマリアの頭を撫でると、私はアマリアの好物を口に突っ込んでやるのだった。
+ + +
そんなこんなでひと月くらいが経った。
アマリアは結局、何をどうすることもできずに流されに流されて、着々と結婚準備が進んでいるようだった。
この前は互いの両親の元へ挨拶にも行ったっていうし、これ以上は無理っしょ。
ってな感じの今日この頃、私の職場に一人の美男子がやってきた。
「失礼します、こちらにキラ・ダマートさんはいらっしゃいますか?」
面倒そうなのが来た。
第一印象はそんな感じだった。
昼の鐘がなった直後にこやかにやって来たその人はわたしの職場には似つかわしくない颯爽とした人物だった。
「どちらさん?」
男ばかりが汗だくになってる工房で腰に手を当てて尋ねると、本人じゃなくて職場のおっちゃん達がぎょっとした。
「おい、知らねえのか?」
そんなこと言われても分かるわけがない。
背の高い美形の男なんか知り合いにはいないし、一度でも会っていたらさすがに覚えてるはずである。
「全然知らない」
素っ気なく答えると周りのおっちゃん達が顔を引きつらせた。
「嘘だろ、有名人じゃねぇか」
そんなこと言われても知らないものは知らない。
じっと目の前の美男子を見つめるも、さっぱり記憶にない。
ちなみに当の本人は怒った様子も困った様子もなくぺこりと頭を下げた。
「突然の訪問すみません。私はトゥーレ・カタイストと申します」
「ああ。あんたが例の騎士様か」
名前を聞いて合点が行く。
騎士団一の美男子、広報部のエースであるトゥーレ騎士はかなりの有名人らしい。
「アマリアの婚約者さんね」
周りから伝え聞いている騎士様は穏やかで優しくて強くて格好のいい、とにかく尊敬や憧れの眼差しを一身に受ける紳士だった。
けど、アマリアから聞く限りはただの強引な腹黒である。
「で、何の用?」
一瞬仕事かと思ったものの、騎士服じゃないことから違うと窺える。
となると内容はアマリアの事だろうか。
「アマリアさんのことで相談がありまして。少々お時間をいただいても?」
――面倒臭そうだ。
内心盛大なため息をついて告げた。
「悪いけど、仕事の話じゃないなら帰ってくれない?トゥーレさんは休みかもしれないけどこっちは仕事なんだ」
アマリアの相談――愚痴?惚気?――だけでも面倒なのに付き合ってられるか。
さっさと出て行けとばかりに見返すと、トゥーレさんはにっこりと笑みを深くした。
「はい。私も仕事の邪魔をするのは本意ではありません。ですので昼食時にやってまいりました。お昼休憩時でしたら問題ありませんよね?――一緒に昼食をとらせていただけませんか?」
バレてたか。
さっき昼の鐘がなって、私もおっちゃん達もさぁご飯だと腰を浮かせたところだった。
が、大人しく引き下がるつもりはない。
「悪いけど、弁当持ちなんだ。私はここで食べる」
と手にしていた巾着を突き出してみせる。
自慢じゃないが料理は得意だ。毎日家族全員の分を包んで持たせている。
これでどうだ。
「トゥーレさんは持ってきてないでしょ?」
なんてすげなく断るとおっちゃん達が狼狽えた。
あの騎士様を無下にした、と思ってるんだろう。大正解だ。
しかしトゥーレさんも一筋縄ではいかないようだった。
「心配には及びません。アマリアさんからお弁当を持参していることは聞いていましたので、買ってきました」
さっき私がしたように、手にしている紙袋をこちらに掲げてきた。それも完璧な笑顔で。
チッ。
「じゃあ問題ないね。二階の休憩スペースでいいでしょ?」
誰が二人きりになるもんか。
せめてもの抵抗として尋ねれば、トゥーレさんは内心はともかく快く頷いた。
「こっち」
二階へ続く階段へ向かえば、明らかにホッとしたおっちゃん達が見えた。
騎士様だからってなんでも言うこと聞かなきゃいけないわけじゃないってのに、なんだってのか。
「どうぞ」
同席を許した手前、お茶くらいは出さなければ。
自分とトゥーレさん、それから同じ休憩室で昼食をとるおっちゃん達にお茶を入れる。
「ありがとうございます」
トゥーレさんは常に笑顔を絶やさなかった。
アマリアの話をなく初対面だったら確かに好青年にしか見えない。
それから向かいに腰を下ろして各自昼食を広げる。トゥーレさんのは持ち帰り用のサンドウィッチだった。
「突然すみません」
そう思うんだったら来んな。
出かけた言葉をポテトサラダを口に押し込む事でやり過ごす。
「アマリアの相談でしたっけ。どんなです?」
もぐもぐと咀嚼しながら尋ねる。
ここまでくればさっさと終わらせるに限る。
トゥーレさんはサンドウィッチには手をつけずにテーブルで手を組んだ。
「その前に確認なんですが、アマリアさんからは私のことはなんと?」
様子を探るような、少し不安げな様子が見て取れるけど、なんだろう。すっごい嘘くさい。
ちょっとつっついてやろうか。
「強引な自信家で腹黒い策略家。たぶん少しナルシストも入ってるんじゃないかな」
「ぶほっ」
突然むせたのは三つ席を離れたとこで愛妻弁当を食べてたおっちゃんだ。
がはがはとしているあたり気管か鼻に入ったんだろう。
「冗談ですよね?」
残念ながらトゥーレさんは動じなかった。驚くことも、顔をひきつらせることもなく穏やかに聞き直された。
つまらない。面の皮が厚そうだ。
「アマリアからは格好良くて素敵で、これ以上ないほど素晴らしい騎士様だって聞いてる」
ため息ひとつついて言えば、安心そうにするかと思いきやトゥーレさんは複雑そうな顔をした。
「ちなみに愛情を示すような言葉は?」
「ないですね」
即答。
たぶんそこらの男なら瞬殺できただろう。
その証拠に別のおっちゃんが唐揚げを落として固まっている。
けど、やはり騎士様は苦笑だけで済ませた。
面白くない。
「相談というのは他でもない、その事についてなんです」
んー、でもそれって当たり前でしょ。
罠にはめて囲い込んで、婚約の約束を取り付けた直後に後戻りできないように周知させて。
「私はアマリアさんのことが好きです。愛しています。とても大事ですし、他の男性には絶対にとられたくない」
お、そこは潔い。
真っ直ぐに見つめてくる目からも真剣さが窺える。
初めて好感度が上がった。
「ですがお恥ずかしながら、婚約状態の今なお、アマリアさんからの愛情が感じられないのです」
愛情。
アマリアはトゥーレさんのことは好きだ。確実に。
ただ、たぶん無自覚なのと痛い妄想が暴走しているだけだ。
「婚約についても半分は私が強引に推し進めたものですし、アマリアさんの本心を知りたいと」
半分っていったよこの人。ほぼほぼ自分が強引に推し進めたんでしょうが。
せっかく上がった好感度は蜃気楼のように消え去った。
「じゃあ私から言えるのはアマリアからはトゥーレさんへの愛を伝えるものは一度たりとも聞いたことがありません、ってことだけだね」
はい、相談終わった終わった。
一気にお茶を流し込み、とん、とテーブルに置く。
「やはりそうですか」
小さく項垂れるトゥーレさん。
もうそのサンドウィッチ食べて尻尾巻いて帰んなよ。
心の中でしっしっと手で追い払いつつお茶のおかわりを注ぐ。
「では改めて相談があります」
と、顔を上げたトゥーレさんには新たな決意が見えた。
いいよもう帰んなよ。
「夫婦になるのはほぼ確定していますが、やはり私としてもアマリアさんに愛してもらいたい」
まぁ普通はそうだよね。好きな相手と結婚できても想われてないとか報われない。
ていうか結婚は確定なわけね。どうあっても逃さないわけだ。
「どうすれば恋情を抱いてもらえると思いますか?」
恥も外聞もなく真っ直ぐに尋ねる心意気は買おう。けど言いたい。
知るか。面倒くさいったらない。
ただでさえ子供の頃から想い続けてる相手との関係が平行線な私が、なんで他人の恋路を応援しなきゃいけないんだ。
なんだか頭痛がしそうな私はそこでふと想い人を浮かべた。
「……ねぇ、どうしてアマリアのことが好きなの?」
視線を落として尋ねる。
聞かれてたこととは関係ないけど、ふと漏れてしまった。
その声がさっきまでにはない憂いを帯びていたからだろうか、トゥーレさんは私の話に乗ってくれたようだった。
「そうですね。あまり大きな声では言えませんが、今はくるくる変わる表情と小動物のようなところでしょうか。どうにも、苛めてしまいたくなる衝動が湧き出てしまいまして」
苦笑を漏らすトゥーレさんは、それでもアマリアへの想いをその目に滲ませていた。
「今は、ってことは?」
「きっかけはアマリアさんの視線を感じたことでして。私を見ているようで、見ていない。あの瞳にいつしか私自身を見て欲しいと願うようになったのでしょうね」
自分を見て欲しい、か。
ずっと私が願い続けている想いもまた、トゥーレさんと同じものだった。
真面目で少し気が弱くて、でも妹の事になると途端に気が強くなって一生懸命に守ろうとする格好のいい人。
――妹が相思相愛で嫁に行ったら、少しは周りを見てくれるだろうか。
「そう」
強く目を閉じて、深呼吸する。
トゥーレさんは自分の願いを叶える為に自分から動き出した。――私は?
「話の腰を折って悪かったね。それで、どうしたらアマリアに好かれるか、だったっけ」
「ええ」
腹は決まった。
この騎士様が成功して、アマリアがしっかり幸せになったら私も動き出す。その為に必要なことを今。
「アマリアさんの趣味については知っています。私がその対象だったことも。ですから少しでも男として見てもらえるようにと意識はしているのですが……」
考えに耽ってしまった私にトゥーレさんがこれまでの自分の行動を説明し始めた。
「それは間違いでしょ」
突然の私の突っ込みにトゥーレさんがぴたりと言葉を止める。
「と言いますと?」
私はトゥーレさんを見据えた。
「あの子の趣味はあくまで男同士でないと成り立たない。男として意識してもらうように仕向けても初めから男だと思っているんだから意味がない」
何が楽しいのかわからないけど、アマリアが言ってた。
愛と友情の狭間での苦悩。同性だという背徳感。それが堪らないのだと。
「趣味以前の問題であの子は超がつくほど鈍感なの。妄想が好きなくせに、自分が迫られるなんて状況を一欠片ほども考えてないわけ」
そう。全てはそこからだ。
アマリアのトゥーレさんに対する思いを自覚させるなら、まずは自分の置かれてる状況を理解させる必要があった。
「トゥーレさんが色気を押し出してちょいちょい迫ってるのは聞いてるし、アマリアがそれに太刀打ちできてないのも知ってるけど、たぶんそれくらいじゃ軽すぎて駄目なんだと思う」
今までとは打って変わって饒舌に語る私にトゥーレさんは少し驚いてたようだけど、すぐに目を色を変えて真剣に話に耳を傾けた。
「大方、本気で逃げられないように加減してたんだろうけど」
「それは、その通りですね」
その辺りトゥーレさんはアマリアを溺愛している証拠とも言える。
「もっとぐいぐい攻めていいよ。なんなら全裸で迫ってもいいぐらい」
トゥーレさんが大概の人が言うような性格だとしたら無理だろう。だけど目の前にいるこの人なら実行することを厭わない気がする。全裸は行き過ぎとしても。
「全裸はさすがに騎士としてはできかねますが……そうですね。半裸くらいでしたらいけない事もありません」
やっぱり食いついて来た。渋っている感があるけど、きっとおっちゃん達の目があるからだろう。
ていうか騎士じゃなかったら全裸いけるのか。
非常に気になるところではあったけど、私から言いだしたことだし追求しないでおこう。
かわりに首を縦に振った。
「だったらついでにキスしちゃいなよ。がっつり深いやつ。その流れで愛を囁けばさすがにあの子も分かるでしょ」
むしろこれでも気がつかないなら諦めて結婚後へ持ち越しての長期戦しかない。けどまぁ、
「そしたら自ずとあの子はトゥーレさんを好きになると思うよ」
だって無自覚だけど好きなんだから。
という言葉は伝えない。協力する気持ちはあれど、腹黒いこの騎士を喜ばせるようなことはなんとなく言いたくなかった。
だけど結局、自信満々の笑みで礼を言われてしまった。
読んでいただきありがとうございます。
来週には続編を更新したいと思っています。