第1.5章 ~ヘルスの手料理~
家についた後、夕飯ができるまでの間、ライクとしりとりをした。
「湯気」
「・・・・・」
「降参ですか? げ ですよ」
難しい顔をしたライクを煽る。
「・・・・・」
すると小声で何かを呟く
「聞こえませんよ~」
そしてさらに煽る
「うるせえな、あ~ ゲームがしたい 」
怒りが限界を達したのか、怒鳴る
「おいライク、今のはしりとりの方か?それとも心の声か?」
ライクは吹っ切れ、煽りには乗らない。
「両方だ!!!次 い だぜ」
「お前ゲームとか馬鹿じゃねーのか、駄天使に捕まるぞ」
「駄天使・・・ギャグのつもりか?」
しかし、そこで二人は沈黙する。ヤツが来た・・・ヘルスだ。
「兄ィ!!ご飯できたよ!!!」
彼女の持つ盆の上の器には混沌が渦巻いていた。楽しい会話の終焉・・・それは食事の始まりを意味する。
ヘルスの笑顔が眩しい。
ライクが重い口を開く
「この飯?お前が作ったのか・・・」
しかし首を振り
「私だけじゃないわ」
そう言いながら厨房を指差す。
「!!!!」
マツリが倒れていた。
「味見をさせたら寝ちゃったの」
困った顔をしながら彼女はテーブルに器を置いた。無意識の殺意ほど怖いものはない。
二人は迫りくる死の予感に目をそらし、それを口へと運ぶ。
「バリッゴリッ」
食材ではありえない音が家じゅうに響いた。