第1章 ~ 皆同じ~
天歴17年 11月 天使に世界が支配されてから18年。カムイは、過去を思い出していた。15年前に起きた「天逆の天使」の事、そしてそれにより命を落とした家族の事。
「天逆の天使」それは、15年前に起きた大災害。GOD MOTHER<母なる神>と呼ばれる物体から天使が排出され、それらが、人間を虐殺、または管理下においた。天使から逃れた残りの人間は一つの地域に集まり、国を。カムイはその中で、生き残った家族と共に国内を転々としていた。
「よお!カムイ!!!こんな所でなにしてんだ」
後ろからやかましい声が聞こえる。ライク・クライクだ。彼はカムイの家族であり、兄的存在である。
カムイは憂鬱な気分になりながらも後ろを振り向く。
「嫌がらせか?ライク?」
「いや~こんなところにいると風邪ひくよ」
確かに、辺りは暗くなっていて、少し冷える。
「みんなが待ってる。帰るぞ」
「少し待ってくれ。皆にあいさつしたい」
そう言うと、カムイはに手帳を開き読み始めた。此処は孤児院跡地。ライクも、
今回は邪魔をしない。
手帳を読み終えた頃には辺りがすっかり暗くなっていた。
「もう15年経つ・・・早いな」
「俺は天使を許さない。家族を殺したあいつらに復讐する」
ライクがふと、そんなことを言った。彼の眼には涙が溜まっている。皆思いは同じなのだ。
この世は悲しみの連鎖により天使に翻弄されている。神に見放された世界で少年たちは今を生きている