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相談課へようこそ

「まずはお名前をお伺いしてもよろしいですか?」

佐伯鷹尾(さえきたかお)です」

「あっ、ひょっとして成人マンガ家の……」

「違います!」

 マジでやめてくれ。

 高校の時にロリコンって仇名付けられて以来その話題はトラウマだ。

 俺はおっぱいの大きい娘の方が好きなんだ!

 まあそいつ自身も「真のロリコン」って呼ばれるようになったわけだが。ざまぁ。

「そうですか……残念だなぁ。僕、冴樹先生のファンなんですよ」

 どうでもいいよ……。

 というか俺の担当になったこの天使さん。

 見た目は小学校中学年くらいなのに既にロリコンでいらっしゃいますか。

 いや、天使って年取らないんだっけ?

 そういやさっきの職員さんには翼とかなかったな。天使にも色々いるのか?


「おっと、申し遅れました。(わたくし)アラキバと申します」

 えっ? あ、荒木場さん?

 天使の名前って「なんとかエル」じゃないのか。

 つーか「わたくし」って。今更マニュアル対応に戻さなくっていいよ。

 あんたの素の一人称は「僕」だろ? もう知ってるからさ。

「こちらの窓口に来られたということは相談ですね。

 もう用紙の記入は終えていますか?」

「えっ? よ、用紙?」

 そんなの書かなきゃいけないのか?

 職員さんそれくらいは教えておいてくださいよ……。

「はい、相談内容を明確にするために、こちらの用紙に相談の概要を記入して頂いております」

 手慣れた感じで用紙を渡して来る。

 えっ? これはこの場で書けってことか?

 目の前にいるんだから口頭の説明でいいだろう?

 そんな俺の心境をよそに無機質な笑みを浮かべる荒木場(アラキバ)さん。

 さっきのエロ漫画家を語っていたときの満面の笑みは何だったんだよ……。


 はい、書きました。

 一度戻って受付からやり直し! とかじゃなくてよかったと思おう。

「なるほど、佐伯さんは初めての方なのですね」

 そりゃな。人は普通一度しか死ねないよ。

 あ、転生課とかあるならそうでもないのかな?

「それでは概要から説明させていただきましょう。

 基本的に死者は転生か転居かを選んで頂き、問題がなければ選択した方に進むことが出来ます」

 問題があるとどうなるのよ? 基本的にってことは例外があるの? なんて質問が頭に浮かんだが、とりあえず一番気になるところだけ聞いておこう。

「転生はともかく、転居とは?」

「えっ」

「えっ?」

 なんか驚かれた。え? 何に対して驚いたの?

「えぇと……転居というのは、住居をかえること、引っ越しをすることですが……」

 あっ! あー! 文字通りの意味か。

 一般常識を尋ねられたから驚いたのね。

「つまりここに……えーと、天国? に引っ越せるってことですか?」

「はい、行き先は主に地獄界、餓鬼界、畜生界、修羅界、天界とありますが、相互に移動可能ですのでどちらに行かれてもさほどの違いはありませんね」

 えー……地獄と天国が普通に移動可能って、しかも大して変わらないってどういう事よ……。


「転生は?」

「転生は望んだ世界に転生することが出来ます。最近はこちらのほうが人気ですね」

 さもありなん。

 ん? でも待てよ?

「望んだ世界とは? どんな世界にでも転生できるんですか?」

 例えば男が俺一人の世界とか!

 スケベ根性と言いたきゃ言うがいい! これが男のロマンじゃ!

「はい、基本的にはチャートにある世界だったらどちらへでも転生可能です」

 え? チャート?

「詳細は転生課の方へお尋ねください」

 うん、はい。そうですよね。


「ちなみに転生と転居以外の選択肢は?」

 一応聞いておかないとね。

「このまま消滅するか、この死後役場の職員採用試験を受けるかですね」

 こんなストレスの溜まりそうな職場で働くのは嫌だよ。

 そういやここ死後役場っていうのか。

 それにしても……。

「消滅って……」

「深く絶望された方や心に傷を負った方に多いですね。

 基本的にはそういった方は転居扱いにして精神病院で数ヶ月のカウンセリングを受けて頂いています。

 その後転居か転生かの選択を再度して頂きます。

 それでも消滅を願う方のみ、消滅が認められます」

 いや、死後の世界に精神病院って。


「ご質問は以上ですか?」

「最期に一つだけよろしいでしょうか?」

 そうそう、これだけは聞いておかないと。

「売店とかってありませんかね?」

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