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いつもの

作者: amores_perros
掲載日:2014/07/30

いつも会社の帰りに、いつものコンビニに寄って帰る。

家に帰ってから、ほっと一息ついて食べるうまい棒を買って帰るの。


ネオンの看板も売り場もいつもと同じ。

もしかしたら、目をつぶっても歩けるかもしれない。

入り口で取った買い物カゴを片手にまずはお菓子売り場へ。

お菓子の棚の一番下に、お目当てのものがある。

うまい棒。

10円でかなりの満足感を得られる超お手軽なお菓子。

おまけに味も4種類ほど選べる。

これを1日2本だけ買って帰るのが日課。


今日はチーズ味とめんたい味にしよっ。

あと牛乳が切れたから、牛乳。

他に必要なものはあったかな?


ふと新発売のジュースに目が行く。

ピンク色のパッケージがかわいい「ピーチフレバーティー」

そのかわいさに思わず目が止まる……けど無駄遣いはやめる。


私はジェルネイルしないといけないから、無駄遣いはしない。

その代わり、私の手はいつもきれい。

うっとりするほどかわいいジェルネイル。

指の先にお花が咲いているみたい。

3週間に一回、サロンに塗り直しにいく。

そこではお姫様みたいな扱いを受けるの。

そして、またかわいい女の子になるの……。


必要なものをだけを入れた買い物カゴをレジに持っていく。

レジにはいつもの顔色の悪い不細工なメガネの女。

まだ若いだろうに、こんなビジュアルでかわいそうなんて思う。

おまけに手も汚れてて、爪も汚い。

余計なお世話だけど、こんなんじゃ彼氏とかできないんだろうな。


お会計を済ませて、出口に向かおうとするとスーツ姿の超イケメンが入ってきた。


まず、目を引くのがスタイルのよさ。

背が高くて、すらっとしている。

ちょっと疲れた感じの硬い表情をした小さな顔。

鼻筋が通った整った顔にちょっときつめの鋭い目が印象的。

きちんと整った短髪にぴったり。


出口からすれ違うまでの数秒間、見とれていた。


店を出てから家に着くまで、彼のことばかり考えてる。

あんな素敵な人とお付き合いできたらいいのに。

今、私には彼氏がいない。

正確に言うと、2年ほど彼氏がいない。

いるのは気のいい男友達。

みんないい人なんだけど、恋愛対象にはお互いならない。

ロマンスが欲しいよ~!


それからしばらくコンビニに通うのが楽しみになった。

イケメンとは会う日もあれば、会えない日もあり。

週に2回会えればラッキーな感じ。

私はいつも会社を定時に出てるから、

彼が残業とかで遅いと会えないのかな、なんて思った。


彼のことをもっと知りたいけど、なかなかそのチャンスもなく、

夏が終わり、秋が来て、冬が来て、クリスマスが来た。


クリスマスイブが土曜日って、すごく寂しい。

会社がある日なら同僚たちと飲みに行こうという流れにもなるけど、

お休みの日はそうもいかない。

昼ごろ起きてからずっと憂鬱で、自慢のジェルネイルが虚しくなった。

こんなにかわいい女になるための努力してるのになぁ。

どんなにかわいいワンピース着ても、髪の毛巻いても、ジェルネイルしても彼氏いない歴3年に突入だ。


こうなったらクリスマスイブなんだし、ケーキくらいは食べようかとコンビニに買いに行った。

私がいつものコンビニに入ると、あのメガネ女はいなかった。

イケメンにも会えなかった。

あの人たちも恋人がいるのかなぁ。

イケメンにいるのはわかるけど、あのメガネ女にもいるんだ。

まさか、あんな女に負けるなんて。

なんで私には誰も振り向いてくれないの?


家に帰って私は自分の身の不幸を泣いた。

もともとそれなりにかわいいし、外見だって磨いてるのになんで彼氏できないんだろ。

なんで私はクリスマスイブなのに一人なんだろう……

私は世界で最高に不幸な女の子だ。


そうやって泣くクリスマスをもう何度も繰り返し、

イケメン君やメガネ女もみなくなったけど

私はコンビニに通っている。

かわいいピンクワンピースも着てるし、髪の毛だって巻いてるし、ネイルのお手入れもばっちり。

だけど、まだ彼氏はいない。


そんな毎日だけど、家で一息つきながら食べるいつものうまい棒は変わらずおいしかった。

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