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彼が最強と呼ばれる所以!!  作者: 犬ちゃん
第一章 森の民達
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異世界にきたなら!? 1

雲一つない快晴の空には、太陽から程よい暖かみを持った日光が地面に向けて淡々と照射している。


しかし、そんな静かな空から落ちてくる一人の男がいた。別に、パラシュートの降下のように姿勢を保ったような落下でもない。言葉に表しても『落下』しているとしか表現のしようがない。姿勢も不安定で、手足を足掻くようにばたつかせ、端から見れば物凄くみっともない落ち方である。


そして、落下している途中の当の本人は。


「なんでぇぇぇえこんな状況にぃぃなぁってんだぁぁぁぁあ!!」


思いっきり絶叫していた。


落下している男の名前は青井翔。


そして、こんな状況になったのは数分前に遡る。


《数分前》


青井翔は、白い少女の姿を模した神様から気絶させられたまま、この世界『ライアール』に転生させられた。

その際に、神様に『ライアール』の転生時、世界と世界の狭間に落ちてさ迷わないために拘束具を装着された。

そのお蔭で、ライアールには無事に到着したのだが、そこからが問題だった。


ライアールに到着した場所を白い少女の神様は気を利かせて人気がない場所に到着するようにしたのだが、そこは無人島や廃墟や魔物が出る森でもない。

人が来る確率がゼロに等しい場所に転生させたのだ。


つまりは、人類が存在しえない標高の『空』に転生させたわけだ。


しかし、ここが先程の状況を作った原因であり、一番の問題点でもある。

白い少女の神様が装着した拘束具は、到着した時点で効力が切れてしまうのである。


この時点では、青井は意識を覚醒させてはいないのが、それも定められた効力には無関係である。

つまりは、青井は空中で放り出された訳である。


そして時間は巻き戻り‥‥‥


青井は現在、混乱の真っ只中だ。

それは当然であろう。

白い少女の神様から、光の球を撃たれたと思って目を醒ましたら大空を落下しているのだ。

混乱しないはずがない。

しかも、目前まで生い茂った木々が目前まで迫っているのだ。


普通の人間ならばこの時点で失神確実なのだが、青井の場合は意識を失わなかった。

図太い訳ではないが、本人にとっては地獄以外の何物でもない。


(なんでこんなことになってしまっているんだ!!光の球を撃たれところまでは記憶ははっきり有るけど!!こんな感じになるなんて誰も想像しないだろ!!)


刻々と地面に近付くなか、青井は死を覚悟する。

なんで一回死んでまた死の覚悟をしなければいけないのだ、という心境を青井は抱いているが時間は残酷だ。

決して待ってはくれない。


そして、バキバキという木の枝や幹が折れる音が響き渡り、鳥が騒ぎ出す。

死んでもおかしくない、いや、木の上に運良く受け止められたとしても死んだ方が妥当と言えるほどの高さなのだ。


「いてぇぇぇえええ!! すんげぇぇいてぇえ‥‥‥」


しかし、そんな高さから落ちた彼は今、落ちたにも関わらず大きな声で激痛を訴える。

声だけ聞いてみれば元気である。

だが、無傷というわけではない。

いや、重症だ。

両手が変な方向に曲がっており、足は右足が一見平気だが、中身は皮膚から骨が飛び出している。

胴体部分なんかは破裂した部分やいろんな部分が破裂している。

奇跡的に少々の掠り傷だけなのは左足だけである。

だが、頭部の惨状はさらにひどい。


何せ比喩でもなく脳が飛び出している。


普通はこんな重症を負っていれば、運が良くて意識不明の重体、普通は即死という怪我である。


「‥‥‥これどうすればいいんだ」


自分の怪我を見て、混乱を通り越し一周回って冷静になる青井であった。

これは凄い怪我だな。

痛みで意識を支配されているのであれば、そんなことが出来ないのだが、既に痛みが引いている。

青井自身も摩訶不思議であったのだが、痛みがずるずると続くよりは伊倉かは状況がよいのではないか、と思い気にすることを止めた。


しかし、転生から転落が早い。

これは介護なしではいきられないんじゃないだろうか。

そんなことを思い始めた青井である。

これじゃあ、歩くことも出来るわけないし、両手も不自由なこと決定だろう。


(こんな筈じゃあ無かったんだけどなぁ)


なんて考える。

HPという概念があるのならば、規格を越えて数値は1未満だろう。

小数点一杯かもしれない。

これはヤバイ。

痛みは何故か無いのだが。


すると、青井が驚愕することが起きる。


体が徐々に、元の形に戻っているのだ。

治るという表現は字面を考えると正しいが、とてもスライムのように形を変えていく自分の体を『治る』という表現は中々出来ない。

ぐちゃぐちゃであった自分の体が、まるで逆再生しているかのように元に戻るのである。



そんな状態にただただ呆然とする青井である。


「‥‥‥なんだこれ? 一体どうなっているんだ?」


驚愕は思考を越えて口から出た。

それくらいの驚愕なのである。

口に出ない驚きなんて、小さな驚きだと30年以上生きてきた中で初め知った青井であった。


これは白い少女の神様が言っていた、未来の自分が有するはずだった能力ではないのだろうか。

確かに、青井は生前にこんな治癒能力は無かった。

そもそも、生前にもこんな異常的な治癒能力を持っている人物はいただろうか。

いや、いるはずがない。

何処の○ュータントかと。

逆に持っていたら異常である。


情報は少なすぎるが、しかし、これは授かった力以外の何者でもない。


これ以上考えても、無駄な時間が触れるだけと判断した青井はこの件については一段落着いたときにでも考えようと思考の隅に置いておく。

それに、自分が死にそうになった姿なんて誰も思い出したくないだろう。


しかしこれからどうしたものだろうか。


周囲を見渡すが、何処を見渡しても青々しい葉が生えた立派な木々ばかりである。

所々に日が指しており、木漏れ日が幻想的な空間を生み出している。

しかし、果物らしきものは実っておらず水辺も見渡す限りどこにもない。


別にここから動かないわけにはいかないのだが、しかし、ここに居座っていても誰かが来てくれるわけではないというのは確実に分かる。

一面を見渡しても整備された道や獣道さえもないのだ、誰もここに来ないと考えた方が妥当である。


しかし、ここで救助を待つにしても食料や水がなければ生きれるはずもない。


つまりは、この森から脱出しなければいけないわけなのだが‥‥‥


ここから動くのは簡単である。

しかし、それはこの森に危険が無いときの場合である。

さっきの紐無しバンジーでは死ななかった(重症にはなったが)ので、滅多なことでは死なないとは思うのだが、流石に気が進まない。

もし死なないとは言っても、もしかしたらさっきのように体が元に戻るというには条件が着いているのかもしれない。

さっきは、落下死だからこそ発現した現象なのかもしれない。


しかし、そういう前提だと怯えながらこの森を探検しなければいけない。

滅多なことでは死なないことを自分に示さないと中々一歩を踏み出せないことに、情けなさを感じながらも、これは検証しなければいけないと思い、まずは軽い怪我で済んで、気軽に検証できる方法を考え初めた。


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