プロローグ 『人生感想』
よろしくお願いします、いぬなりです。文章力は皆無ですが、頑張って書いていきたいと思いますので、どうかご贔屓を。
僕は考える。
『生きている』というのはどんな意味を表すのだろうか。
勘違いしないでほしいが、僕が問いているのは肉体的な意味での生きていることではない。
僕が問いたいのは精神的な、または、社会意義的な意味での『生きている』ということである。
昔、高校生の頃読んだ著書で似たような事を説いてる著書があった。要約して言ってしまうと『人間はただそれぞれの時間を消費するだけの、経済を都合よく回すための潤滑油にこのままでは成ってしまうのではないか』という内容だ。
つまりは、どういう時間の使い方をして『生きていく』かを示唆したかったのである。大して興味深くもないありふれた文章の中で唯一僕が目を光らせた文章に違いなかった。
そして、今日この言葉を思い出したのは簡単なことだ。
僕は世の中の『潤滑油』になってしまったという思いと、それに対しての後悔の念に駆られたのだ。
僕は煙草を吹かす。ゆらゆらと揺れる煙草の煙は風に乗りながらも不安定に空中に漂いそして、消えていく。
きっと、僕もいつかこの煙草のように何も残さずに煙のように消えていってしまうのだろうか。
そんな不安が僕の心には常に存在しているのだ。
三十代の頃からだろうか。
いつの間にか、このような蟠りが漠然と心の中に漠然と存在していた。
大学で勉強を修めて万を辞してこの会社に就職した。
別に悪い会社ではなく給料も個人的には不満もないし、職場の環境も整っている会社である。もちろん二十代前半までは素晴らしい会社に入社でき、これから社会に貢献できると意気込んだものだ。
しかし、そのような意気込みがあるのも華の二十代限定の高揚した気持ち限定であった。
三十代になったら学生だったころの高揚感なんか完全に忘れて大人としての現実感ある責任とにらめっこの毎日だ。夢見る若者だったなんて遠いお伽噺のようだ、そう錯覚してしまう。
そして、夢なき日々は人をダメにする。
だから僕は、とっくのとおに駄目人間である。
日々の愚痴を胸に隠して、自分の夢も何処かに落として、希望なんて無くして、絶望すらも殺して……。
しかし、こんな浅はかで脆い僕にも見出だせるほどの希少な希望があるとしたならば僕はそれにすがりたい。
蜘蛛の糸のようなそんなすがる価値もないような希望でもすがりたい。
僕は頬に冷たい風が涙の跡をまるで拭ってくれているかのような感覚を感じた。
ーーーーーー
夢を見た。
僕が勇者になるような夢だ。子供の頃が誰もが思い描いたであろう、叶うことのないそんな夢。
王様に依頼を受けて魔王を倒しに行って姫様助けて英雄として語り継がれて、みたいな単純明快で王道中の王道ないかにもドラ●エやったあとの子供が考えそうな夢だった。
だけど、夢の中の僕は生き生きとしていた。今はどこかへ消えてしまったような高揚感。今は自然とできない笑みを夢の中の僕は楽しげに笑っていた。
剣を掲げて魔物を倒し四苦八苦仲間割れをしながら魔王の城まで辿り付きついには仲間を失うことなくハッピーエンドで終わった夢だ。
ただ、ひとつだけ問題があった。それは僕自身がこの夢を夢だと認識していたのだ。楽しかった。だから二度と覚めない夢であって欲しかった。そんな願いなんて叶うはずもなく願うだけで無駄だと分かっていても願うしかなった。願わずにはいられなかった。
どうか、神様お願いします。こんな非常で苦しい現実から僕を助けてください。人生から逃げたいんです。僕にとってはどこにいても地獄なんです。周りからの目が僕を蔑んでいるようにしか見えないんです。誰も僕の気持ちをわかってはくれないんです。そこには未来なんてそんなものは無いんです。僕は生きているかどうかすらもわからないんです。神様どうかお願いします。何度でも願いましょう。僕が壊れてしまっても、僕自身が人生を投げ出したとしても何度でも何度でもお願いします。この夢から覚めさせないで下さい。僕自身にこの偽りの夢を見続けさせて下さい。
そんなことを無残にも泣き咽びながら願った。
無様に。
ーーーーーー
僕は結局目を覚ますことはなかった。
それは、夢の世界に入り込んだ訳ではない。
単純明快な理由だ。
死んだのだ。
寝ている途中に急死した。
原因はわからない。
僕が死んだ理由は誰にもわからない。
当に『神のみぞ知る』というやつである。
2014/03/20 改稿
2015/03/09 改稿