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彼が最強と呼ばれる所以!!  作者: 犬ちゃん
第一章 森の民達
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お風呂でのハプニング

卑猥な表現が多々、出てきます。

暖簾をくぐると広い脱衣所があり、旅館のような籠に服を入れるような仕組みになっている。

なんとも既視感を拭えないような感じがするのだが、いちいち突っ込んだら気が持たない。


僕は、緑色の綺麗な服だった皮切れを脱ぐ。このまま籠の中に入れてもいいのだろうと、躊躇したのだが籠の中に入れてはいけないのならばヒューゼさんがなにか言うだろうと考えた僕は、躊躇ったが籠の中に服を入れた。


風呂の入り口はさすがにガラス戸までは再現できなかったのだろうか、洋式のドアノブが付いたドアだ。旅館の内装をした脱衣所に洋式のドアとはまたシュールなものなのだが、風情があっていいだろうと無理やり自分を納得させる。


まぁ、風呂がよければいいのだ。

結果よければ全てよしとも言うしな。


そう思い意気揚々としながら前も隠さずに洋式のドアを開けると、そこには軽く平均的な男性が10人ぐらい入れるような大きな木で出来た浴槽があり、そして離れたところには木で出来た風呂椅子とそれまた木で出来た風呂桶に竹で出来た筒上のようなものがある。


早く風呂に首まで浸かって精神的な疲れを取りたいところなのだが、風呂椅子と風呂桶と筒状の何かがあるということは体を洗えということだろうか。それでは、あの竹で出来た筒はさながら蛇口のようなものなのだろうか。考えても仕方が無いので、僕は体を洗う為に木で出来た一連のセットに近付く。木の風呂椅子を近くに寄せて座り、竹の筒を観察してみると、横に青と赤のボタンが設置されている。非常に淡い色なので気が付きにくかったのだが、よくよく考えてみればこの屋敷は築数百年も経っているのだ。それも当然だろう。


僕はそう感慨深く思いながらお湯が出るであろう赤いボタンを押す。その数秒後にちょろちょろと湯気が立ったお湯が出始める。風呂桶を置くのを忘れていた僕は慌ててお湯が落下する地点に風呂桶を設置し、お湯を溜める。


しかし、こういう銭湯のような旅館のような場所にくるのは久しぶりだった。10代の頃は両親と一緒に住んでいたアパートがボロアパートでよくガス関連が故障して銭湯に行っていたものだ。しかし最近はめっきりいかなくなってしまった。就職したというのもあるが両親が死んで銭湯に自ら行く気がなくなってしまったこともあるだろう。銭湯は良い場所だ。昔ながらの銭湯は受付のおじさんが誰にでも話しかけてくれる気さくなおじさんだった。親父は風呂に入るときの最低限のマナーを教えてくれたし、風呂に入っているときは顔を真っ赤にしたおじさんが腕の刺青を自慢げに見せてくれたこともあった。顔は悪かったけどおじさんの武勇伝には憧れたものだ。


しかし、時が経つのは早いもので僕が通っていた銭湯はパーキングエリアになっていたし、受付のおじさんも生きていれば100歳を優に超しているだろう。


まぁ、既に銭湯には二度と行けないのだろうけど。


そうこう考えている内に水が溢れて地面に落ちるじゃばじゃばとした音が聞こえた。どうやら風呂桶から水が溢れてしまったようだ。僕は風呂桶の中に手を突っ込んで温度の確認をする。湯気が立っている良い温度だ。そして、それを豪快に頭に掛ける。しかし、シャンプーやボディーソープのようなものは何処にあるのだろうか、と今頃気が付いた。まぁ、すぐに目の前に石鹸があることに気が付いたのだけれども。


僕はそのまま石鹸で体を洗う。


石鹸で髪を洗うと髪によくないということを何処かで聞いたことがあるので、髪は洗わない。その情報は嘘かもしれないし、もしかしたらこの世界の石鹸は髪にいいかもしれないが、念のためだ。というか、一回石鹸で髪を洗って髪の毛がごわごわとした感じになって嫌な気分だったのでそれ以来石鹸で洗っていないというのが一番の要因だ。


そして、さぁ、お待ちかねの入浴タイムである。


こういうときは頭にタオルを乗せて入りたいものだが、タオルがないの出来るにできない。僕は浴槽に近付き風呂桶で湯を掬い2,3回と体にお湯を掛けてから入る。そのまま背中を壁に凭れ掛からせて肩までどっぷりと入って風呂を堪能する。やはり、広々とした風呂は気持ちが良い。普通の家には手足を充分に伸ばせて入れる浴槽なんて滅多にあるものではないし、僕もその例外ではない。故に久々に感じるこの感覚は気持ちよい、という感覚よりも懐かしいという感覚のほうが正しいかもしれない。


しかし、ふと手でお湯を掬って自分の腕に湯を掛けたところで違和感を感じる。その違和感は自分の腕の形、いや『今の自分の腕の形』であった。転生前の二の腕が掴める様な無様な腕ではなく、今では二の腕が掴めるどころか腕を揺らしてもどこも揺れないし盛り上がっている、というぐらいだ。そこまで筋骨隆々とはしていないが、生前よりも体格が幾分か良くなったことは言うまでもないだろう。自分の腹筋を観察してみる。腹筋が六つに割れており俗に言うシックスパックというやつになっている。そして、シックスパックの腹筋を触ってみる。


かなり硬い。


まるで人事のように感じてしまうのだが、実際にこの体が自分であると実感が無いのだ。生前の体と今の体のギャップが凄まじく、それ故に理解の範疇を超えているのかもしれない。


そんな風に体を観察していると、突如ドアが響く音がした。


僕は驚いてドアが開いた方向を見る。


そこには、ジェアさんがタオルのようなもので体を隠しながら裸で入ってきたのだ。


「‥‥‥ジェアさんか」


今は風呂を堪能していたので反応する元気が無かった。だが、内心では結構驚いている。


「ア、アオイ様。入っておられたんですか!? 」


さすがのジェアさんも僕が入っていることに驚いたのか、狼狽している。あたふたとする様子はエルフとは違ってまた可愛らしい。さすがに10代の年頃の女の子の裸をまじまじと見るほど無粋ではないので目を瞑って風呂に入ることに専念しようとした瞬間に、思いもよらない誘いでが来た。


「あの。お背中をお流し致しましょぅ‥‥‥か?」


と、申し出たジェアさん。だが、最初は強く出たものも言葉の最後がかなり尻すぼみになっていたところを考えると彼女もかなり恥ずかしい申し出だったに違いなかった。僕は片目を開けてチラリとジェアさんを見る。タオルのようなもので体を隠してあるのだが、顔の幼さに対して胸が大きいし、プロポーションも抜群だ。すらりと長く伸びた足は白く美しく程よく筋肉が付いていることがわかる。だが、そんな観察などしているとも露知らずに先ほどの発現が余程恥ずかしかったのか、顔を片手で赤くなっているのを隠しもう片方の手でタオルのようなもので体を隠しているという風俗店の写真みたいな感じになってしまっている。


僕は悩む。


彼女の決死のお願いを受けるか受けまいかである。


たぶん彼女としては主人であるヒューゼさんのじきじきのお客であり、ジェアさんと同じ種族に見えるということで贔屓してくれていると思うの。だからと言って、僕が年頃の女の子に背中を洗ってあげさせることができるほど豪胆でもなく、そもそもそれ以前に既に体を洗ってしまっているのだ。


う~ん。


僕はまたもやチラリとジェアさんのほうを見る。


まだ、顔を赤くしていた。


「‥‥‥そうだな。お言葉に甘えてしまおうかな」


僕はそう言いながら立ち上がり風呂椅子にドアで硬直したまんまのジェアさんに背中を向けて座る。そして背中で早く洗ってくれというコールをする。さすがに普段は優秀なメイドなのだろうか、そのことにすぐに気が付き駆け寄ってくる足音が聞こえる。


「‥‥‥それではお背中を洗浄させて頂きます」


そういって石鹸で泡を立てて、そして背中を洗い始めた。結構自分で丹念に洗ったはずであるからにして、汚れなんてとれるはずもないのだが僕はそこまで空気が読めないやつでもないので口にしない。


しかし、それ以上に僕は口を紡がなければいけないことがあった。


「んっ、はぁはぁ‥‥‥ん」


一生懸命に背中を洗っているときに聞こえる微かなしかし耳に刻まれるような艶っぽい声は自然と彼女を『女』として認識してしまう。しかも、彼女の豊満な乳房が時折、僕の背中に触れてしまっている。なんという桃源きょ‥‥‥いや、なんという状況なのだろうか。下手したら鼻血が出そうであるが、ここは体を洗うことを彼女に一任した限り僕はここを離れるわけにはいかない。


決してこの場から離れたくないわけではなく。


しかし、そんなことを知ってか知らずか一生懸命に背中を洗い続けるジェアさん。彼女は始めて目にしたときはしっかりもののメイドさんという感じだったのだが、やはり仕事とプライベートは仕分けるほうなのだろうか。――多分そうなのだろう。そういう面では尊敬できるかもしれないが、プライベートがこんなにも無防備なのはいかがなものだろうか。正直に言って僕のような一般的成人男性にとっては性的対象となりうる体なのである。この娘は僕が押し倒して彼女を犯すようなことをするという考えがなかったのだろうか。まぁ、今の僕が考えたところで答えなど出るはずがないのだろうけれども。


「それにしても、アオイ様の体は凄く引き締まっていますよね」


そう言いながら突如首筋から背中を背骨をなぞるジェアさん。


「い、いきなりなんですか?」


僕は振り向きながら答える。


そこには口元に指をくわえながら蕩けたような目で僕の顔を見つめるジェアさんの顔が――。


僕はダッシュして脱衣所に向かう。


「あ、アオイ様!!」


やばい、これ以上居てしまうとありもしない色気に誘われてジェアさんを押し倒してしまうかもしれない。彼女はきっと男を知らないのだろう。故にあんなに羞恥心はあっても無防備なのだ。男は獣だ。理性という箍が外れてしまえば獣に成り果ててしまう。故に理性があるうちに理性が外れないように撤退をしなければいけない。先ほどの背中を流してもらう関係は理性という最終防壁があるからにして、それがなければ即押し倒していた自信がある。いや、こんな自信があっても自慢にはならないのだが――。


人の家に仕えている使用人に手を出すなんて常識外だ。


たとえ、それが誘惑されていてもである。


脱衣所に駆け込んで風呂の熱気から開放され幾分か気が楽になる。


そして気分が落ち着いたところで、着替えを探す。ヒューゼさんが着替えを持ってくるということを言ってが、とそんなことを思っていたらタオルと一緒に着替えが先ほど汚してしまった借り物の服を入れた籠の右隣の籠に入っていた。


タオルで髪を乱暴に拭いて、体も適当に拭き服を着る。服は懇切丁寧に二種類用意してあり、一つはバスローブのような丈が長く羽織るだけで寝巻きのようになる服。もう一つは上下に着る生前で言うパジャマのような服装である。僕はその二種類からパジャマのような服を選んで着る。着心地はそこまで悪くなく、下手をすれば生前の世界の高級な寝巻きにも匹敵するかもしれない。


不満なのは少しだけ自分よりもサイズが大きめということなのだが、我侭を言っても何も始まらない。


そしタオルを首に巻いて脱衣所を後にした。



========



僕はそのまま自分の部屋に戻ってベットに倒れこんだ。


全く眠気などは無かったはずなのだが、ベットの寝心地が気持ちよいせいか精神的に疲弊していたせいかは分からないが自然と瞼が重くなった。


そして、そのまま寝てしまった。

 

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