一難去ってまた一難
いつの間にかPVとか30000突破しているし驚いてしまいました。しかも、総合点がいつの間にか200越えていてビックらこきました。
展開が遅いのは申し訳ないと思っているけど、次回は展開が早くなりますので、大丈夫です(よ、きっと)
色々とあったが、やっとこさエルフの里の大きな門の前まで無事とはいかないが到着することが出来た。
門の手前まで来ると遠くから見ているよりも、更に大きく感じる。
脇には、先ほどと同じように弓兵が常駐しており、フードを着ている僕らのことをあからさまに訝しんでいた。
しかし、手を出してこないのはヒューゼさんが言っていた『急いでこじつけた書類』の影響だろう予想することが出来る。
こんなに怪しい人物が周囲をうろうろとしているのならば、そく取り締まられるだろう。
少なくとも、僕が責任者ならばそうする。
ちなみに、アルジェントヴォルフはどうやら先ほどの件で、拗ねてしまったらしく僕に話しかけてこようとしない。
しかし、まぁ、仕方の無いことだと僕も思うので、彼女が話し掛けてくるまで僕も話し掛けないようにしよう。
だが、不思議なことにそれほど距離を取られていないことに気が付く。
もしも、生理的嫌悪感を催すほどに嫌われてしまったのならばどうしようかと思ったが、そんなことは無かったらしい。
または、自分の非をある程度認めてくれているのかもしれないと思い、少しだけにやける。
しかし、変に刺激して暴れられたら頭を食べさせる国民的なヒーロー並に頭が吹き飛びそうな感じがするので、或る程度放置しておこう。
一方で、僕はアルジェントヴォルフから視線を外して、ヒューゼさんの方向へと目をやる。
ヒューゼさんは門の横に常駐している兵に何かを受け取っていた。
するとヒューゼさんがこちらへと戻ってきた。
「これは君たちの通行許可証だ。これはアオイ殿」
そうして、片手で渡してきたので、名刺交換よろしく両手で受け取ってしまった。
まぁ、そんなことは気にしないヒューゼさんであったのだが。
そして、アルジェントヴォルフの方に向き直し、僕に向けて言ったセリフと同じ言葉をアルジェントヴォルフに告げて、通行許可証を渡そうとするが、何か意地を張っているのだろうかそれを受け取ろうとはしなかった。
それに加えて、差し出した手を払ったのだ。
驚くヒューゼさんと呆気にとられる僕。
そして、緊迫するこの雰囲気の中で、通行許可証が僕の方に飛んできた。
僕はそれを広い、土埃を丁寧に払ってどうするか迷う。
さすがに、ここまで内面が幼稚だとは思っていなかった。
僕のした先程の行動で機嫌をそこねているのならば、いいのだが‥‥‥。
しかし、先程から微妙な距離を取られている僕がこれを渡しても受け取ってくれるだろうか。
考えても埒は明かないと感じた僕はアルジェントヴォルフに近付いた。
当たって砕けろと言う奴である。
射殺すような鋭い視線で僕が近づく度に警戒しているアルジェントヴォルフであり、僕にとっては内心おっかなびっくりなのだが、近づかないと何も始まらないのだ。
そして、アルジェントヴォルフの前に着いた。
金色の瞳からは野生のそれを感じ取ることができ、初めて出会ったあの姿を彷彿とさせる。
手をそっと差し出す。
その手は通行許可証を持っている手ではない。
何故かというと、まずは警戒心を解かなければこの通行許可証を受け取って貰えないと感じたからである。
思わず少しだけ後ずさるアルジェントヴォルフだが、それを見越して僕も一歩踏み出し距離を縮める。
そして、そのままアルジェントヴォルフの頭に目掛けて手を動かす。
そのまま頭をポンと軽く叩き、ふさふさの髪の毛を撫で、獣耳も隈なく撫でる。
驚くアルジェントヴォルフ。
頭でも叩かれるとでも思ったのだろうと予測できる。
僕と接していれば、どれだけ温厚な性格で寛大な男なのだろうかと感じることができるのだろうに。
まぁ、その温厚な性格で寛大な男はアルジェントヴォルフの服を引き裂いたのだが。
最初は抵抗していたのだが、少し経てば目を細めて気も良くしている。
哺乳類というのは、頭を撫でれば大抵は安心するのだということが何処かに書いてあった気がする。
そもそもこのアルジェントヴォルフというものは哺乳類なのだろうかと考えたが、犬も人間も哺乳類であるし多分であるが哺乳類でいいだろうと判断する。
現に、とても気持ち良さそうに頬を赤く染めながら気持ち良さそうに目を細めている。
そして、僕はそのまま先程アルジェントヴォルフの服を無理矢理脱がした事に謝罪をする。
「その、なんだ。ごめんな。さっきみたいなことやられたら誰でも怒るよな? もうこんなこといないから許してくれるか?」
ここまでの流れは故意的なのだが、これは本心からの言葉である。
先程から謝ろうと思っていたのだが、あちらから話し掛けてくれないし、ほとぼりが冷めてから話を切ろうと思っていた。
だが、先程のことで不機嫌になっているのは確実なのでこれは自分から謝らなければいけないだろうと考えたのだ。
正直な話。
子供というのは、謝ったもの勝ちである。
色々な感性を得て育つと謝っただけでは許せなくなるのだが、細かいことに気を配ることの出来ない子供というのは、喧嘩をしたことに大半は罪悪感を持っているものなのだ。
それを刺激してさえしまえば、相手の凝り固まったプライドは直ぐに解けるのだ。
そして、僕の狙い通りに俯き加減でなんともつかないような感じでもじもじと煮え切らない雰囲気を醸し出していた。
「わ、我も、少しだけ怒りすぎてしまったかも知れんしの‥‥‥? まぁ、ゆ、許さんこともなぃ――」
後半は声が小さくなって聞こえづらかったが、どうやらお許しをもらえたようだ。
うっしゃ。
ひかかった。
後ろの尻尾が先程までは微塵たりとも動いていなかったのが、思いっきり動いているのを見て大丈夫だと確信した僕はそのまま持っていた通行許可証を出す。
そして、そのままスムーズに受け取るアルジェントヴォルフ。
どうやら作戦は成功したらしかったが、思い通りに事が運び過ぎて驚いた。
というか、思いの外アルジェントヴォルフが幼稚過ぎたのにも僕は驚きを隠せない。
最初出会った時はあれ程までにも威厳を保っていたのに、少し気を許してしまえばこれほどまでに、ほんの数日前に出会った人間にここまで気を許してしまうものなのだろうか?
もしかして、そういうこともアルジェントヴォルフの出生の秘話の中に理由があるのかもしれない。
まぁ、ヒューゼさんに無理に話させるつもりは毛頭無いのだが。
取り敢えず、問題は解決したという視線をヒューゼさんの方に促す。
ヒューゼさんもそれを理解したらしく門の脇に構えている兵に顎で指示を出して門を開けさせる。
まさか、一難さってまた一難という状態になるとは考えもしなかったが、これでやっとエルフの里に入ることが出来る。
しかし、うろちょろするというのはこの容姿では危険かも知れない。
ヒューゼさんも詳細な情報の分からない人物に里をうろつかれて良い気分はしないかもしれない。
それに、まだまだやることは抱えきれないほどあるのだ。
現在の世界事情や、この世界の地形把握。
それに、魔法のことや文化がどれほど発展しているのだろうとか、種族のことetc‥‥‥と今思い浮かべるだけでもこのぐらい浮かぶのである。
アルジェントヴォルフの住処である古い外見をした洋館には多くの書物があるのだが、あそこには魔法関係のことを記した本しかなく、それに加えて情報が如何せん古すぎるのである。
数百年も経てば人間の社会、いや、人間の世界に限った話ではなく世界の全ての事情が変わっていてもおかしくはないのだ。
知るべきことは知っておいた方がこの先、この森から出た時に不自由しない可能性が高い。
エルフの里でそういうことを絶対知ることができるのかと問われれば沈黙しか返す答えが無いのに事実なのだが‥‥‥。
やはり、目的すらも中途半端である。
考えれば考えるほど自らの道を塞いでいる感覚を感じた。
いっそのこと力でも有るんだから、行き当たりばったりでこの世界を満喫してみるのも悪くないのかもしれない。
いや、その方が無駄に考えるよりもマシである。
改めて自分のこれからの生き方を確認する自分。
そして、大きな木の門は大きな音を起ててゆっくりと開く。
さぁ、初めての異文化交流である。
気を引き締めて行こう。
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