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彼が最強と呼ばれる所以!!  作者: 犬ちゃん
第一章 森の民達
22/50

頼みごと 1

日常パートがたぶん長くなると思います 。

ヒューゼさんが昔話を一旦区切り、暫しの沈黙が流れた。

あれから数十分と話をしていたが、ここが区切りなのだろうと自分で判断した。

きっと長く苦しい戦いだったのだろうと、予想はできる。


しかし、この話の中で気づいたことがあった。


アルジェントヴォルフの母親『フウリック』のことである。


このエルフの里や、それ以前にこの森を守ったという『救世主』という話であるが、所々に少しだけ違和感を感じながら聞いていた。

いや、違和感ではないのだろう。

これは、懐かしいとさえ思うような感情だ。


ヒューゼさんの所々に、僕が知っている世界の道具のようなモノが節々に出てきているのだ。


『硝子』、『リュックっサック』等のものである。


それに、『フウリック』という少女が生まれてきた時には既に意思というものが目に宿っているということも言っていた。

僕は確信した。


だが、人間の勇者とヒューゼさんが理解できない言語で話していた、ということも言っていたが、それがこっちの世界の言葉だとは限らないので、それは除外とする。


しかし、その事を除外して考えたとしても、アルジェントヴォルフの母親『フウリック』は間違いなく僕と同じ世界から来ている。


僕と同じ『転生者』だ。


しかし、そう思っていても何処かおかしいのだ。


それは時系列的な関係なのだろうと、僕は考えた。


僕はつい先日この世界に転生したのだが、彼女は数百年前に転生している。


『硝子』というのも、僕の世界では数千年前から製造されていた。

まぁ、それはとても硝子と呼べるような代物ではないのだけれども。


そうだとしてもだ。


フラスコも随分と昔から存在するのだが、それにしても百年ぐらい前である。

数百年前と随分と暈した言い方をするヒューゼさんなのだが、百年以上は余裕で超えていると考えるのが妥当だろう。

すると、その時点で矛盾というか、そういうのを感じてしまうのだ。

リュックサックというのも、歴史上どのくらい前に作られたかは検討がつかないが、それほど昔ではないだろう。


僕はひとつの結論にたどり着く。


この世界と僕が住んでいた世界では、時間の流れが違うのだろう。


これ以上は考えても無駄だと判断し、この疑問を思考から切り離す。


「どうしたんだい。そんな深刻そうな表情をして」


すると、怪訝な顔をしたヒューゼさんが、僕の方を向いて尋ねてきた。

どうやら、今の僕の顔はそこまで思案に更けていた顔らしかった。

考えていることが、そのまま顔に出るこの体質を治したいと、切に思った。

そういえば、ここの神様って実在するならばそんなことを願えば叶うのだろうか?


いや、全てがあの白い少女の神様のように性格が天邪鬼であったらどうするつもりなんだ。

万が一成功しても、指定条件をミスってしまったら、無表情の機械みたいな人間になりかねない。

おぉ、こわいこわい。


しかし、ふと気がついた。


「あれ? コイツの話はどうなったんですか?」


そう言って、僕は背中で眠っている幼女を軽く見せる。

肝心のアルジェントヴォルフの誕生秘話というか、メインだったそれが聞けていなかった。

暫しの無言の間でもう終わった気になっていたのだが、終わった気になったのは早かった。


「‥‥‥その彼女はフウリックの娘『らしい』」


「‥‥‥『らしい』って」


なんて曖昧な表現なんだろうか。

普通ならば胸を張って言えるはずの表現が、ヒューゼさんはどうも釈然としない雰囲気で言った。

表情を横目で見てみると、どうも眉間に皺を寄せて唇を噛んでいる。

相当、話すのが嫌なのか、それとも思い出したくなのだろうか?


気になるのだが、別に話したくないのならば話さなくてもいいだろう。


ヒューゼさんから話を持ち掛けてきたのに、身勝手だと思わなくもないのだが、そうだといって無理矢理話をしてもらってはきっとこれから良好な関係というものが築けないだろう。


「別に話したく無いんだったら、話さなくてもいいですよ?」


僕はそこまで人のプライベートにまで踏み込みたくはない。

生前に一度だけ、人の人生に深く食い込んでしまったことならばあるのだが、それは非常に気分の悪い思いをしたものだ。

思考力を持っている生物ならば、その生活は全くもって介入すべきではないのであるという教訓を身にしみて感じた。

愛という心情を抱いているのであれば、それは別の話なのだが。


「そうか。アオイ殿は優しいのだな。久々にこの話をしてしまって少しだけ動揺してしまっているらしい。私らしくもない」


そう自嘲的に笑っているヒューゼさん。

そこには無理をして笑っている雰囲気が見て取れる。

こんな鈍い僕でも、わかるような、そんな悲しげな雰囲気。


僕は思わず目を逸らして暗い獣道を淡々と歩いた。



前回の話は少しだけ荒削りし過ぎましたね。

うーん、話の区切り方が僕の場合非常に下手だからですかね。

と、言うわけで感想とか評価とか何か頂ければ幸いです。

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