彼女の記憶の断片 2
長らくまたせて申し訳ありませんでした!!BF4やらGTA5やら一杯ゲームしてましたし、パソコンを使う機会に恵まれなかったのが主な理由です。
あと、物語のプロットを改めて考えていました。
そして、いつのまにかお気に入り数が50人を越えていました!!目指せ100人!!
暫く銀色の光が森全体を包み込んだ。
誰も彼もがその光に飲み込まれた。
そして、数旬の時を得て止まったかのように感じられた時間が動き出す。
余韻すら残さずに、先程光っていた銀色の光は消え失せ、残ったものは何もない。
だが、私は周りの者よりも早く我に帰った。
そして、自分よりも大切な抱えているフウリックに急いで視線を落とす。
そこには、やはり顔色が悪いフウリックが悪夢に唸されているように身を捩った。
先程と比べて、発汗量も尋常ではない。
フウリックと接触している服の面がビショビショに成るのではないか、というぐらいだ。
額に手を置き、体温を測る。
やはり、かなり熱い。
フウリックは風邪でも引いてしまったのだろうか。
いや、先程まで元気にしていたはずだ。
しかも、彼女はこの短い人生で一度も病に掛かったことはない。
こんな時に限って、という可能性も無きにしも有らずなのだが、限りなく低いだろう。
故に、風邪ではないはずだ。
先程の巨大な魔法陣といい、フウリックが急に弱り始めたといい、一体何なんだ。
私は混乱するばかりだった。
そんな時に、フウリックが一瞬だけ意識を覚醒させた。
そして、言ったのだ。
「――成功した?」
その声は掠れていて聞こえづらかったが、はっきりとその言葉はわかった。
そして、彼女はそれだけ告げるとまた意識を手放した。
だが、彼女と巨大な魔法陣の因果関係も解けた。
「――隊長!! 早く逃げないとッ!!」
しかし、私は発言中の男を手で制した。
これから、確かめなければいけないことが出来た。
「お前達は人間がどの程度侵攻しているか偵察しれきてくれ。 もしも、侵攻を停止している場合は『風』で私に知らせてくれないか」
私は部下にそう命令する。
普通ならば有り得ない事を言っているのは自分でも分かり、反論されると思いきや誰も私に反論せずに黙って頷いた。
私の雰囲気に気圧されたかどうかは知らないけれども、今はどうでもいい。
そして、散り散りに散っていく同士たちを尻目に、私はフウリックの部屋に踵を返す。
フウリックは先程から意識を失ったままだ。
汗を掻きすぎて、服が肌にペットりとくっついていて、気持ち悪そうだ。
顔だけを懐に入れていたハンカチで拭く。
ハンカチは直ぐに拭けないぐらいに汗を吸い込んでしまう。
それを私は絞り、また汗を拭くという動作を繰り返す。
随分と汗が引いてきたので、毛布を掛けて安静にさせる。
どうやら、まだまだ容態は安定しないが、この様子だと寝たら治ると長い人生経験の中で分かっていた。
そして、本来の目的である彼女の魔法を研究している、彼女曰く『魔法研究室』の部屋に無断で入る。
如何にも、研究に使っているような傷つき古びた歴史を感じさせるテーブルを見る。
そこには、フウリックが開発した『硝子』と呼ばれる脆いが光を通すよくわからない物質で作った下が膨らんだような形をしている容器がある。
何が入っているのかは知らないが、紫色の怪しく発光している液体だ。
それ以外にも、私の理解の範疇を越える様々な物体が机の上に置いてある。
しかし、私の目的は物珍しさで見学してきたわけではない。
私の目的は、フウリックが特別に大事にしている手書きの研究結果を書き記した手記である。
そして、その手記は私の理解できない道具の中に混じっているのを見つける。
そして、その本の途中で紙切れをしおりの代わりにして挟んであるページを見つける。
私は、躊躇わずに本を開け、しおりを挟んでいるページを開いた。
フウリックは眠れる獅子であり、怒らせると相当手を焼くことになるが、これは致し方の無いことだ。
この本を読む責任がこの私にはあるのだから。
「やはりか‥‥‥」
私は思わずつぶやく。
そこには、予想通りに先ほど森の空に展開された巨大な銀色の魔方陣について事細かに描かれていた。
すると、タイミングを見計らったように、『風』がフウリックの家の隙間から私に報告してくる。
偵察しに行った同士たちであろうと、容易に想像が出来る。
『謎の結果が展開されおり、人間は侵入不可能。しかし、内からは結界外に出ることは可能。人間達は攻めあぐねており、停滞している。厳戒態勢は継続せよ』
やはりか、と体が一気に重くなる。
緊張感が取れたのだろうと、結論づける。
きっと、偵察に行った同志たちも同じ気持ちであろうことは考えることができる。
そして、なぜ私があの巨大な魔法陣がフウリックのものであるとわかったのかというと簡単なことである。
まずは、彼女の不可解な体調不良である。
主に、重度の風邪と症状が似ているが、咳や呼吸困難などには陥っていない様子だった。
意識も完全に失っており、虚ろに開いた瞳は死人を思わせるようだ。
しかし、この症状を私は知っている。
この症状は『魔力欠乏症』の症状である。
『魔力欠乏症』とは簡単に言ってしまえば、魔力保有量の限界を越えた魔法を使用すると発症する症状で、魔力を宿している生物ならば誰もが陥る危険性のある『状態』である。
魔力は魔法を使えば魔力は減ってしまうのは当然であるが、自然と体は魔力を求めて大気中に残存する魔力粒子を吸収する。
原理はまだ、解明されてはいないのだがそう言う研究の結果が出ている。
しかし、この行為自体は危険なものであり、注意すべき状態だ。
何故ならば魔力は大いなる力であり、生物が完璧にそれを操ることは不可能に近い。
急激に魔力を使った状態では、体が魔力を求め通常以上の速度で魔力を取り込む。
そうすると、その負担に耐え切れなくなった体は『自壊』する。
酷い症状では、体中の血管が破裂したり、魔法を制御しきれなくなったりと惨い最期になるのだが、軽い症状では熱が出たり、発汗する量が異常な量になったり、気絶したりという状態になる。
そう、魔力欠乏症の症状は当にフウリックの症状と瓜二つだ。
そして、もう一つの根拠は『あの魔方陣は結果魔法をベースとした応用魔法』ということに気付いたからである。
結界魔法は、他の魔法と多々違い箇所が存在し、それは五芒星の形が少々歪んでいるということだ。
少しの歪みであり、肉眼で捉えることは難しい、というぐらいの違いだが、数百年以上生きている私にとっては、その些細な間違えであっても目に付くのだ。
しかも、同時に見たことがない『結界魔法』であった。
フウリックは魔法に手を出してからというもの、私たちが見たこともない魔法を作り出していた。
あるときは、実用的な魔法からふざけているとしか思えないような魔法まで、だ。
これは、ただの直感だったが、当たっていた。
‥‥‥しかし、だからどうしたというのだ。
ふと、拳に痛みを感じた。
そこには、爪が手のひらに食い込み血が滴っている。。
悔しいという思いで一杯だった。
滴る血は私の血肉であり、本来ならば人間共を駆逐するために流すはずの血肉であり、本来ならばそうなるはずだった。
しかし、今はこの血肉はフウリックのために流している。
それが数十年という短い年月を過ごした少女に、その命を救われたことが限りなく―――悔しいのだ。
この里は、本来ならば私たち成熟したエルフの戦士が戦い守るはずだったこの里を、血肉を流し涙を流し守るはずだったこの里を私たちは諦めきっていた。
蹂躙されることを―――受け入れていたのだ。
運命の荒波に身を委ねてしまったのだ。
しかし、この少女は運命に抗い、見事抗い切った。
抗い歯向かい、そしてこんな状態になりながらも私たちエルフを守りきったのだ。
この世界には、新たな種族が生まれ、そして運命の名のもとに朽ちていく。
それは、古くから存在するエルフというのも例外ではないのだ。
そして、フウリックは我が種族よりも世界的に大切なものだ。
本当は宝石の如く大切にしなければいけない。
そんな少女に私たちは守られてしまった。
頼ってしまったのだ。
それが、果てしなく自分が不甲斐なく、それと同時に私にこの種族が世界にとって守るべき種族であると認識させてくれた。
もしも、今度こんな事態に陥ってしまったならば
――今度は私が『皆』を守ろう。
そう決心した。
次回からは、10話書いて一気に一日ずつ投稿するという形式をしていきたいと思います。日々の進行具合は活動報告で逐一報告していきたいと思いますので、よければそちらの方を見ていただければ幸いです。(逆お気に入りユーザーが増えるかも)
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