表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼が最強と呼ばれる所以!!  作者: 犬ちゃん
第一章 森の民達
18/50

彼女の記憶の断片

大体二、三話ぐらいで終わる過去編です。ここではアルジェントヴォルフの母親の過去とこの物語の世界観に『エルフ』視点でヒューゼの一人語りです。


回想とかも入ってます。

私達エルフは森の民として何万年もの間自由を愛し、この森を愛してきた。

そして、その頃だろうか。

私達の神の風神の『フランデル』様からのご信託を風神に仕えている巫女に託されたのが始まりだった。


風神のご信託の内容は簡単で、銀色の狼が現れるという内容だった。


銀色の狼というのは、神々が世界を闊歩していた時のこと、銀色の美しい狼がいたそうだ。

だが、性格は非常に凶暴でその当時に一つであったこの世界の秩序をバラバラに引き裂いた、とも言われている神話に出てくる狼だ。

最終的に神話に出てくる銀色の狼というのは名も無き白き神の罠に掛かって封印された。


そして、私達はこの信託の意味を封印された銀色の狼が封印を解いて世界に再び現れるという解釈をした。

だが、それは勘違いもいいところであり、エルフの里に謎の神の使いと名乗る怪しげな人間の女が訪ねてきたのだ。

その女は我々の静止を無視して、巫女との接触を図り巫女にこう言ったのだ。


『貴方は銀色の狼の子を身篭るでしょう。それを産み、時が来るまで大切に育てなさい』


巫女と私達は驚いた。

実際に信じれる筈がない。

だが、その受胎を告知した瞬間に巫女は腹部に強烈な違和感を感じた。


妊娠したのだ。


私達エルフ一同はこの謎の女を神の使いだと確信した。


そして、その一週間後に巫女は白い赤ん坊を産んだ。

体重は少ないが元気に泣く可愛らしい女の子であった。

私もその瞬間に立会い、確信した。

その産んだ子は既に、その瞳には知性のようなものが見え隠れしていた。

きっと将来は大物になるなと立ち会った者、全て思っただろうと私は思う。


だが、謎の女の信託では銀色の狼が産まれると聞いていたが、実際に産まれた姿にはエルフの特徴である長く美しい耳もあったし、尾も無く、ご信託と合っている内容といえば産毛が銀色というだけだった。



私達はその女の子に神話に出てくる知恵の女神『ルウリック』と私達が信仰している風神である『フランデル』の頭文字名前を借りて『フウリック』と名付けた。


それから、すくすくとフウリックは育ち、五歳で私達エルフの一般の教養を修了するという驚きの才覚を見せ始めたのだ。

長命であるエルフにとってこの過程は数百年以上かけてじっくりと学んでいく。

つまるところ数百年間かけて学ぶ全てことをたったの五年で学んだのだ。


私達はこの子は天才だと思った。


それから数日後には魔法も学び始めたのだ。


魔法も生半可ではない努力をしないといけないのだが、本や教材を読んだだけで全てを記憶し理解するあの子には流石の私も苦笑したよ。


それから、数年間はひたすら魔法に打ち込んでいた。


そして、遂にその時が来たのだ。


世界を破滅へと導く『魔王』の誕生だ。


その知らせを受けた瞬間に悟った。


きっとこの子は世界を破滅に導く魔王を倒してくれる勇者ということに。

それから私達は、フウリックに剣術と槍術を教えた。

これすらも、フウリックは師範代を遥かに超える技量を有してしまっていた。

しかし、事態は思うどおりの進まないのが歴史というものだ。


魔王軍が世界を闊歩し始めた頃、世界中に様々な被害を齎した。

それは、生物を全て死滅させる勢いだったのだ。

しかし、当然私達も黙ってはいなかったのだが、如何せん魔王軍の一人一人が一騎当千の強さであったが故に、やはりエルフだけではどうしようもなかったのだ。


そして、我々は敬遠していた人間共と手を結び条約を結び、条約を結んだ聖域『グランデール広場』から名前を取り『グランデール条約』を締結したのだ。


人間は我らを攻撃せず、もちろんこちらも人間に危害を加えない。

互いに、利益になる行動をし、経済や魔法文化を発展させて手を取り合い魔王軍を討伐しようという内容だった。


だが、人間は我々を裏切った。


別に裏で魔王軍と繋がっていたわけではない。


理由は簡単で、我々エルフの希少性と美貌に人間の欲を垂れ流した結果だ。


ある日、我々は人間共に魔王軍が町を蹂躙しているという報告を受けて、エルフの戦力を知ってもらいたいという威圧の目的も含め、その町に1000人の男女混合の兵士を送った。


だが、その兵士達はこの里に帰ってこない。


全滅したという考えが不意に頭を過ぎったが、事態はそれよりも最悪だった。

その街にはそもそも人なんて居らず、魔王軍が進行しているなんて情報も嘘であった。


私達は罠に嵌ったのだ。


数にモノを言わせた圧倒的な戦略だったという。


そして、そのまま女性兵士は慰み者にされ、男はその場で惨殺されたか、人間共の巣窟の連れていかれて魔法の研究に使用された。


だが、それでは止まらずに、人間共はそのまま本隊と合流し、数十万の兵士を従え我らが森にまで侵攻を開始したのだ。

さすがの私でも、絶望した。

何故ならば、既に戦力となる兵士が我軍には居なかったからである。

残っているのは、怪我人か非力な女子供だけだ。

もう逃げ場何度どこにもない状況に陥り最悪の場合、人間共に蹂躙させるぐらいならば自害しようとまで考えていたぐらいだ。


だが 、全てに人々が神に祈りを捧げていた中で一人だけ、魔法書に食いついている少女が一人。

そう、フウリックだ。


私は当時のことをよく覚えているよ。


ーーーーーー


雲行きが怪しく、太陽の光さえも私たちを見放したかのように感じる。

ここには、以前のような活気なんか当然ない。

今日で、私たちの歴史は幕を閉じるのだ。

軍靴の音が脳内を侵し、気が遠くなる。


人間たちは私たちを裏切った。

全ては世界のため、我々の友好のためと掲げた旗を人間たちはへし折ったのだ。

そう考えると、気が遠のく感じがしてしまい、足元がふらつく。

思わず最寄りの木にもたれかかった。


すると後ろから声が聞こえた。


「どうしたの? 大丈夫?」


銀色の美しいストレートの髪を見て私はフウリックとわかった。


フウリックはいつもならば元気だが、今日はさすがのフウリックでも元気が無いように見える。

眼の下に深い隈が出来ており、心なしか動きもふらふらと足元がおぼつかない。


「フウリック。あなたこそ大丈夫なんですか?」


神より授かったフウリックは私たちよりも尊重しなければいけない存在であり、世界の財産だ。

故に、彼女が現れたことにより更に、眉間に皺が集まるのを感じる。


私は彼女につらいことを伝えなければいけない。


「フウリック。あなたに話があります」


「私は逃げないよ」


私が言い終わる前にフウリックは私に告げた。


「私は家族を見殺しになんて出来ないわ!!」


この反応はすでに予想が出来ていた。

彼女の穢れの無い理想には、毎回感服しそうになるがそんなことは関係ない。

現実は残酷なのだから。

今にも欲に溺れきった穢れた悪魔どもが、私たちの里に歩みを進めている。


逃げなければ生き残れないが、逃げ切るためには誰かが犠牲にならなければいけないのだ。


「フウリック、あなたは生きるのです。生き残って世界を導く役割を果たして下さい」


そういうと私はフウリックに背中を向けて里のほうに歩き出した。

もう、フウリックの言葉には耳を傾けたくは無かったからだ。


彼女の言葉には、それを可能とさせるような響きを持っていたからだ。


だから――聞きたくは無かった。


「私は絶対にッ、諦めないからね!!」


フウリックの足音が遠ざかるのを感じた。


好きにやらせておけば、後悔も少なくなるのだろうか。


・・・・・・


報告が入ったところによると、既に森の前には数十万という人間共が終結しているらしい。

この森に住んでいるものは。ほとんど人間と戦うつもりらしい。


森の民は、森に生き、森に死ぬ。


それは正しいことだ。


故に、私たちエルフのこの森を墓場とするだろう。


だが、フウリックだけはこの森から逃がさなければならない。


しかし、彼女は私たちよりも強く気高い存在だ。

彼女が意地を張ってここから出ないと決断してしまえば、私たちは彼女を動かすことが出来ない。


だが、幸いにもフウリックは彼女の家で魔法関連の書類について貪るように食いついているらしい。


健気なことに、まだ助かる方法を模索しているらしい。


私は無理に連れていくような手荒なことはせずに、手に持っている強い作用を持つ睡眠薬で眠らせてから連れ出すことに決めた。


そうすれば、憎しみの方向がフウリックではなく私に向いてくれるであろうからだ。


数人の同士たちを引き連れてフウリックの家の前に到着した。

気配察知の類いの魔法を使用して、フウリックがなかにいることを確認し、そよ風程度の風を起こす『シェヴァビンド』を窓から部屋に流れるように使用して睡眠薬を部屋中に充満させるようにした。


暫くして、部屋のなかに入ろうとしたが、鍵が掛かっていた。

しかし、どうせ捨てる家だ。

ドアを蹴破っても問題ないだろうと判断し、私はドアを蹴破る。


そして、私は彼女の部屋に直行する。


そこには計画通りに静かに眠っているようなフウリックが床に伏していた。

どうやら、薬の効果は効いていたようだ。


私はフウリックを担ぎ上げるために、彼女に近づく。


だが、心無しフウリックの顔色が優れていない事が近づく事で分かった。

私の頭の中に不安が過ぎった。


「おい!! 外を見てみろ!!」


一人の野太い声の焦った声を聞き、私はついに人間が進軍してきたのか、と考えが急いでフウリックの体を担ぎ、外に飛び出した。


外に出た瞬間に思わず眩しくて目を伏せた。

しかし、段々と目が慣れてきた。


空を見る。


そこには一面に銀色に太陽とばかりに輝く魔法陣が空に輝いていた。

しかし、私はその巨大さ故に、それが魔法陣だと認識するのに少々の時間を要した。




「あれは一体、何なんだ――」


そして、その魔法陣から光が溢れ出てあたり一面を銀色の光で包んでいった。




次回の投稿が一二週間先になると言ったな。あれは嘘だ。


一気に書くとメンタル持ちませんので、分割して書きます。


あと、前に宣言した数話で森を出ると言いましたが、多分あと十話以上こんな感じで森に居座り続けます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ