門の前
今回は少なめですが、次回はたぶん一万文字を越します。
ようこそと言われたがいいが、やはりというかなんというかやはり人間に寛容ではない種族なので、通行許可書等の書類を発行しに、ヒューゼさんは一旦エルフの里に戻る。
そして、隊長からのお誘いである僕たちの処遇も良いものではなく、外で待つことになった。
そして、約数時間経過して既に、時はご来光直前である。
ようやくヒューゼさんが戻ってきた。
因みに、アルジェントヴォルフはご就寝中であり、今僕が背負っている。
いきなり事切れたかのように、倒れるから驚いたが、寝息を立てて寝ている姿を見て安心した。
寿命が縮んだかと思った。
「すまないな。これでも無理矢理話をこじつけて書類を作成した方なんだ。取り敢えず、君たちにはこのフードを被ってくれ。あと君には、着替えを持ってきた。私の私服だが、大きさは目測だが、私と一緒のようなのでとりあえずそれを着てくれたまえ」
そう言って、フード2着と緑を基調とした皮のレザーの着替えを息を切らしながら持ってきてくれた。
そして、僕の後ろの眠っているアルジェントヴォルフを見て驚きの表情を浮かべる。
「アオイ殿には随分と懐いているのだな」
「そういうふうに見えますか?」
実際は本人の許可も得ずに背負っているだけなのだが。
「見えるさ。まぁ、私が見たことがあるのはその狼が毛が逆だっているところだけなのだがな」
そう笑って言っているヒューゼさんは少しだけ哀愁が漂っている。
そういえば、話の要所要所にこのアルジェントヴォルフの母親が話に出ているのだが、一体どんな人なのかは想像ができない。
古びた館の蔵書保管室の結界を作ったのもアルジェントヴォルフの母親だった気がする。
凄い魔法を匠に使えることは想像できるが、それ以外全く素性がつかめない。
「いえ、聞いてませんね」
僕は素直にうなづく。
すると、沈黙をするヒューゼさん。
何かまずいことでもいったかと思ったが様子を見る限りそうではないらしい。
どちらかというと、言おうか言わないか迷っているようにも見える。
だが、何かを決心したのか語りだすヒューゼ。
「そうか。ならば話した方がいいのかもしれないな」
「話すとは、アルジェントヴォルフの母親のことですか?」
「‥‥‥アルジェントヴォルフ?」
どうやらアルジェントヴォルフという呼称はエルフ方には根付いてないらしい。
僕が背負っているアルジェントヴォルフを首で動かして示唆すると、納得したのか頷いた。
「あぁ、そうだ。これから話すのはこの子の母親のことだ」
どうやら、とても長い話になりそうだ。
構想を練るために、一週間から二週間は投稿しないと思いますが、失踪はしないのでよろしくお願いします。