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彼が最強と呼ばれる所以!!  作者: 犬ちゃん
第一章 森の民達
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実践

魔法の描写って普通に難しいですよね。

存在しないものを描写するんだし当たり前ですね。


まぁ、そもそも文章構成力自体がそんなに無いんが原因ですがね。

多分、後で手直しします。

外に出ると既に陽は落ちており、逢魔が時である。

日がなくなり、月明かりが古びた洋館や青井を薄く照らし始めている。

月は青井が生きている世界よりも大きく美しい。

月に見蕩れてしまう青井だが、本来の目的を思いだし『考えるんじゃない、感じるんだ~基礎魔法編~』という如何にも俗っぽい本の最後辺りのページを開く。

そこには、魔力の感知の仕方が少々短めに記載されていた。


『まずは、目先に人差し指を立ててください。そこに精神を静かにさせながら集中しましょう。人差し指の先端部分に少しだけ違和感を感じたならば、それが魔力です。その際の注意ですが、補助魔法等の効果が付与されている状態でやると、可能性は低いですが拒否反応を起こしてしまう可能性がありますので、補助魔法の効果が継続中の場合は、この魔法の感知の仕方を控えてください』


と、書いてある。


拒否反応とはどんなことなのだろう、と本に詳細が書かれているかどうか探したが見つからなかった。

少々気になるが、気を取り直して魔法の感知の仕方の説明に従って人差し指に意識を集中させる。

すると案外、早く人差し指の先端部分に違和感を感じる。


(これが魔力なのか)


魔力感知が思いの外簡単なことに驚きながらも、内心は自分の魔力を感知できたことに喜んでいる青井。

表情にも気味の悪い笑顔が張り付いている。


そして、ページを捲り次のステップに移行する。


今度は魔力描写の説明である。


これも手短に読めるくらいの短さであった。


(新聞のコラムでも読んでいるかのようだな)


お堅い文章には、新聞のコラムや社説と似たような雰囲気があるが、ファンタジー要素がこちらのほうが強いためにやはりこちらのほうが読みやすい。


そして青井はこの魔力描写のやり方を黙読する。


そして、文章を要約して言ってしまうと、描きたいものをイメージして魔力でそれを創造するかのように描いて、それが光りちゃんと術式になレバ成功、という長い文章の割には非常に曖昧なものであった。

青井も、一生懸命説明していることはわかるけれども、抽象的な表現が多々あることが目に付いた。

実際のところ、魔力描写は感覚から直結するものが多く言葉で説明するならばイメージという一言で済んでしまう。


取り敢えず、百聞は一見に如かずともいうので、イメージは曖昧だが挑戦してみる青井。

だが、今回は魔力感知の時とは違い一発で成功しない。


(なんでできないんだ?‥‥‥イメージが曖昧だからいけないのか?)


ならばと思い、念の為に持ってきておいたもう一つの本を開く。

題名は『魔法陣収集歴』という手描きの本である。

先ほどの五時間の間に休憩がてらにこの本に目を通してみる、魔法陣とその効果、更にはその魔法を使ったあとの倦怠感等の様々な情報が書き込まれていた。


(手描きでこれって、凄いな)


取り敢えず適当に開いて、森の中でも使って良さそうな魔法陣の術式を捜す。


「これなんていいなじゃないか?」


青井が開いたページには『クラインウォーター』と名前の付けられた魔法が事細かに記載されていた。


水ならば森に被害を出さないだろうという、考えからである。

しかも、概要の部分には『初心者が扱いやすい魔法の一つとも』記載されていたし大丈夫だろう、という考えもあった。

いきなり上級な魔法に挑戦する勇気は生憎だが青井は持ち合わせていない。


取り敢えず、複雑な魔法陣を見る。


(こんなのをたくさん暗記しなきゃいけないのか)


少々嫌気が差してくるが、仕方がないので暗記をしようと試みる。


が、思いの外すんなりと頭の中に入っていくのがわかる。

今ならば目を閉じても、詳細にクラインウォーターの魔法陣やその効果、作者がまとめた概要も思い出せる。


(‥‥‥チートのおかげかな?)


だが、先ほど軽く流し読みをした部分は詳細に思い出せない。

どうやら、完璧に暗記する場合にはちゃんと文字を読まなければいけないらしい。

しかし、改めて自分の超越した能力に驚く青井。

魔法や基礎を覚えるだけで10年間である。

その時間を省略して、魔法を扱えるようになるのは青井にとっては朗報なのだが、少々罪悪感に苛まれる。



が、気にしても負けなので早々と魔力描写に取り掛かる。


すると、今度はちゃんと魔法陣が出てきた。

取り敢えず、満足げに集中するのを止めたが魔法陣は一向に消える気配がない。


(ん? どうすればいいんだ?)


これは、あまりにも魔力描写をした時に必要魔力よりも多くの魔力を注いだために、意識を手放しても空気中に残留しているのだ。


こういう場合、青井は冷静に考えるのだが、好奇心で人はいとも簡単に動く。

自分が出した魔法陣というものに興奮して、様々な角度から頬を緩ませただらしない表情で観察する青井。

そして、興味本位で魔法陣に触った。

しかし、青井は興奮して全力で魔力を全身から放出しているのに気がついていない。


その瞬間、大出力で大容量の水が魔法陣から放たれたのだ。


まるで滝から流れているような勢いの水に、木々は転倒し、魔法陣が消え去る頃には一つの道が出来ていた。


戸惑う青井は、自分の記憶を頼りに原因を探る。


(あ、そういえば筆記術式の威力調節で魔法陣をいじる他に魔力を注ぎ込む量のことも書いてあったな‥‥‥)


失念してたな、と頭を掻く仕草をする。


(しかし、いよいよ本当にチートぽくなってきてしまっている。僕の未来がどんなことになっているかはわからねぇが、魔法に関係することなんかあんのか?そういえば、魂によって決まるとか書いてあったけど、未来の自分の魂が凄いのか?)


と、いろいろ考えるが、神様にもわからないらしいこの力を一般人如きの僕が解明できるはずがない、とそう思い、この件については考えるのをやめる。


それよりも、この後始末はどうやってつけようかと考える。


(‥‥‥魔法でも使って修復してみるかな?)


これも好奇心という名の悪魔に負けた青井。

先ほどお世話になった『魔法陣収集歴』を開いて、木などを生やす魔法を探してみる。


しかし、中々見つからない。

この『魔法陣収集歴』はカテゴリー別に分けられていないので、目当てにしたものなどは見つけにくい。

しかも、分厚さがそこらへんのアルジェントヴォルフに指定されたどの本よりも更に分厚いのだ。


四苦八苦しながら時間を掛けて目的に近い魔法を見つけた青井。


『バレッティウッド』という、今度は中級者向けの木を生やす魔法である。

難点は、木を『創造』するということなので、非常に魔力を多く消費することだろうか。

まずは、一般的に使われない魔法である。


(さっさとやるか)


取り敢えず、先ほどのように軽く暗記し魔力描写で魔法陣を展開する。

そして、魔力が多めに必要だと書かれていたので今度は、自分の魔力を思いっきりぶつける感覚で魔法陣に触れる。


そして、魔法が発動される。


だが、木は生えてこない。

どうなっているんだろうか、と考えていると大きな地震が起こった。


(じ、地震!?)


だが、思いの外地震は数秒で収まった。

後ろを向いて古い洋館を見てみるが、損傷はない。


安堵した瞬間だろうか。

可愛らしい双葉の芽が、ぴょこんと大地に生えていた。


(これは失敗なのかな?)


木を生やすのであって芽を出すのではないと、内心思ったのだが、そんな考えも次の瞬間に吹き飛ぶ。


いきなり、爆発的な生長をする双葉。

ジャックと豆の木で出てきそうなシーンだと、混乱している中で呆然とそんなことを思う。

だが、木の生長は止まらずに土を翻し、周りの木々を押し退け甚大な被害が出つつある。


五分後には生長も収まったのだが、この自体は収集できそうにはない。


なんとも立派な、高層ビル並みの高さになってしまった大木を呆然と見上げる。

そして周りには、大木の生長に耐え切れなかった木々が無残にも倒れている。

幸いにも大木の根は洋館に届かなかった。


が、しかし。


「これはどういうことだ?青井」


怒気を孕んだアルジェントヴォルフの高い声が真後ろから聞こえた。

どんな言い訳をしようか思案を巡らせるが、この状況でアルジェントヴォルフの怒りを回避できる案は思い浮かばない。


「少々、説教が必要らしいな‥‥‥」


その容姿に似合わずに手をポキポキと鳴らしながら言ってくるアルジェントヴォルフ。


「め、めんご‥‥‥」


その後、青井は数時間の間、アルジェントヴォルフに説教をされたのは言うまでもない。


感想をよろしくお願いします。

すいか

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