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彼が最強と呼ばれる所以!!  作者: 犬ちゃん
第一章 森の民達
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案内

でっかい魔導図書館ってなんとなく憧れますよね。

まぁ、今回は蔵書保管庫っていう名前にしましたけど。

でも多分、いつか魔導図書館みたいなのは出ます。

「いきなりで悪いが、我の住処に案内するから付いて来てくれ。遅れたり迷ったりしても迎えには行かんぞ」


そんな事を行ってスタスタと歩いていく少女の後ろに出遅れないように少し駆け足で付いていく青井。

だが、アルジェントヴォルフの少女の歩行速度はそこまで速くなく、見た目相応の速さだったのですぐに追い付いた。

青々しい木々をくぐり抜けて、道のない道を歩く。


そして、暫く無言の間が続く。

お互いに共通の話題があるわけでもないので妥当である。

しかし、この無言の間に気まずさを感じてしまうのが日本人の大人というものである。

青井は何か話題になるものを探すが特に見当たらない。


だが、ふと思い浮かんだことがあった。


「あんたとあの神様ってどんな関係なんだ」


すると、耳をぴくりと動かして反応するアルジェントヴォルフ。

だが、同時に肩までピクリと微かに反応する。

素直に可愛いと思った。


そして、こちらへ振り向く。

長く銀色の髪が振り向きざまになびき、木漏れ日が銀色の髪に反射して少女が光る。


「あやつとは数百年に数回か会うだけの浅い仲だ」


ポツリと呟いたかと思えば、また前を見て歩き出すアルジェントヴォルフ。


やはり、百年単位か、と思わないでもない青井だったが、レディーに対しては年齢は関係なということを視線をもってあの白い少女の神様に教えられたので、口には出さない。


すると、ふと疑問が沸く。


「じゃあ、なんで悪口なんて言ったんだ。良く相手のことを知っているそぶり立ったけど」


そこまで深くない関係ならば、人の悪口なんか言わないだろう、という青井の考えである。

すると、前に振り返ったアルジェントヴォルフの肩がピクリと動いたのだ。

どうやら、嘘がつけない体質らしい。


しかし、今度はこちらに振り返らずに淡々と言う。


「まぁ、我も数千年間も生き存えておるからな。もう既に何十回とあやつと合っておるさ。しかし、あやつと会うときは地獄のような時間であるし、愚痴の一つや二つぐらいは自然と出るさ」


馴れ初めはどうしたのか、というのも尋ねようとした青井だが尋ねているばかりでは悪いと思い途中で口を紡いだ。


「もうそろそろ到着するぞ」


そう言うと、大きな茂みの中を潜り抜けるアルジェントヴォルフ。

青井もそれにならい、大きな茂みの中を潜り抜ける。

そして、視界が開けると



そこには大きく古びた洋館があった。



大きな佇まいは、威厳さが想像できるのだが、既に遺跡のように古びてしまっているためにそのような威厳さは伺えない。

窓は割れていて、扉も形は保っているがヒビが入っている。少しでも乱暴に扱ってしまえば壊れてしまいそうである。

蔦が建物の要所要所に絡みつき、雑草も処理されていない。


一目瞭然でずっと手入れされていないことが分かる。


(なんだか、世界観が中世だな)


そんな感じで呆然と見上げる青井を横目でちらりと見るアルジェントヴォルフ。

目が光っている青井を見て、くすりと笑うと洋館を見て言う。


「驚いている暇があるならば、早く入れ」


すると、青井は我に返ったようでスタスタと歩いていくアルジェントヴォルフに着いていく。


アルジェントヴォルフはやはり丁寧に壊れ物を扱うかのようにゆっくりと扉を開ける。

扉は近くで見てみると、細かい装飾に宝石が嵌っていたような窪みが見受けられる。

鍵は締まる締まらない以前に、鍵穴がない。


その古い扉を潜ると、洋館の内部は外面から比べると手入れされていることがわかる内装だ。

やはり、外面はともかく内装は人が住める程度の綺麗さであった。

所々に瓦礫の破片やガラスの破片を見逃せば十分と快適だろう。


「こっちだ」


そういうふうに端的に言って二回の階段を上るアルジェントヴォルフ。


赤い絨毯が廊下や階段にずっと続いているが、ところどころ破けているせいで少しだけ見窄らしい。

壁には豪華な装飾がついたランタンが壁の左右に等間隔で設置されており、欠けてはいるが火が点ってちゃんと光源の役目を果たしている。

部屋もたくさんあり、しかし、手入れがされていないせいかドアが朽ちていて、部屋の中身が見えていた。

部屋の中身も当然のように掃除屋や手入れがされていなく、ボロボロである。

申し訳程度に使えそうもないソファーが置いてある。

長い長い廊下を淡々と歩いていくと、曲がり角が見える。

曲がり角には、ほかの部屋の扉とは違いドアの手入れがしっかりとされており、ヒビが入っている様子もどこかが腐っているようにも見えない。


「ここが目的の場所だ」


どうやら、目的地に着いたらしい。

内心では童心に返って洋館の探索をもっとしたい青井であったが、逆らう気もないので素直に立ち止まる。


扉の横のプレートには蔵書保管室と書いてある。


しかし、ここで青井はふと違和感を覚える。


(なんでこっちの文字が読めるんだ?)


青井は、プレートの横の文字がどんなものなのかはよくわからないし、文法も全く知らない。

故に普通ならば読めるはずもない。

しかし、目で見てもそれはわからないのに、脳で理解しているような不思議な気持ち悪い感覚。


(これも、あの神様からもらった力なのか?)


疑問を覚えるも、それ以外に考えられない。

だが、個人的に便利だと思うし、困るわけではないので、心の中でお礼をする。


「どうした、ボーとして」


「あ、いや。少しだけ考え事をしていただけだ」


「そうか」


そう言って、扉の中に入るアルジェントヴォルフ。

続いて青井も扉に入る。


蔵書保管室と言われる部屋は、名前通りの部屋である。

この洋館の場合は、館の持ち主であるアルジェントヴォルフにもわからないほどの知識が詰まっている。

本の所持数は一万冊はあるとアルジェントヴォルフは認識しているが、その何十倍もの蔵書が保管されていることも知っている。

だが、保管されている蔵書に圧倒されてしまい数旬だけフリーズする青井。

まぁ、ファンタジーだからというこじつけにも近い理由で平常心を取り戻す。


「す、凄い量の本だな」


真上を見る要領で、天高く積み上げられた本棚を見る。

そして、横に本棚と同様の高さをしたはしごを見つけた。


(これで登るのか? 落ちたらただじゃ済まないな)


そんなことを心配する青井。


「あぁ、ここは我の先代が集めた魔法書の数々でな。あ、魔法書というのは魔法関連について記された本のことであるぞ。初歩の初歩から最高レベルの魔術まで全て揃っているのだ」


「す、全てか!?」


そう言って少しだけ大袈裟に驚く。

本の多さに圧倒された青井だったが、全てが魔法に関係しているとは思わなかったのだ。


試しに、そこらへんの本棚に置いてある本を引き抜いて読んでみる。


『いつもご愛読ありがとうございます。初めにこの本を読むに当たって゛サルでもわかる初級魔法゛を読んでから‥‥‥


すぐに閉じた。


反対側の本棚にある本も抜き取って開いてみる。


すると、本を開いた瞬間に大量の水が出てきたのだ。

驚き急いで本を閉める。

すると、放出されて床を濡らした水は全てなくなり、当然自分の体を濡らしていた水も無くなった


本の題名を見てみると『飛び出す幻惑魔法!!』と如何にも幼稚園児向けの絵と文字が刻まれていた。

そっと、本棚に戻す。

なんとはた迷惑な本なのだ。


そして、他にも数本適当に本を出し抜きして題名を確認すると、アルジェントヴォルフの言ったとおりに、全てが魔法に関係するものであった。


しかし、不思議である。

この洋館は十分に大きいが、これほどの本を保管できるほどに大きかっただろうか?

軽く、洋館全体の大きさを軽く凌駕する大きさだ。


すると、丁度、解説を始めてくれた。


「ここは先代の母様が、多重の結界を仕掛けたのだ。一つは時間魔法。二つは空間魔法。三つは察知魔法。時間魔法は本や本棚の老朽化を防ぐもので、空間魔法は其方も気付いておると思うが、この蔵書保管室の空間を歪めて大きくするものだ。察知魔法はどこにどの魔法書が置いてあるかを教えてくれる魔法だ。便利で使い勝手がいい魔法だぞ?」


そう言って白い魔法陣を展開するアルジェントヴォルフ。

そして、その白い魔法陣を近くにあった藁半紙に重ねた。

すると、驚くことにペンもインクもないのにすらすらと蔵書保管室の地図と数ポイントのアルジェントヴォルフが指定した本が置いてあるところまで記載される。


アルジェントヴォルフはその藁半紙を青井に渡して、こう言った。


「我が其方に直接教えるのも正直に言って面倒だから、我が指定した本を全て暗記するまで我に話し掛けるなよ?」


「まじかよ!?」


その瞬間に驚嘆と悲嘆に暮れた声が蔵書保管室に響き渡った。



次回は説明回です!!

プロット考えなきゃ(実は既に考えている)


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