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彼が最強と呼ばれる所以!!  作者: 犬ちゃん
第一章 森の民達
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出合い

女の子ってどういう風に描写すれば可愛くなるんですかね?あと、この話は完全に趣味です。

青井は目を覚ます。


(ここは‥‥‥どこだ?)


寝ている体を起こす。

まだ少しだけ寝惚けているが、自分が森のどこかに寝かされているのは理解した。

パチパチと音がしたので、目をやると焚き火が音を立てながらゆらゆらと揺れていた。


(いや、そもそもなんで僕は生きているんだ?)


青井は、アルジェントヴォルフとの闘いに敗れてしまったはずだ。

ならば、なんで生きているかが検討が付かない。

喰っても喰っても回復するから飽きて何処かに僕を放って行ってしまったのだろうか。


そして、ここに焚き火があるということは簡単に言ってしまえば、最低でも火をつけるという知恵を持っている生き物が僕を助けてくれた‥‥‥ということだ。


アルジェントヴォルフが助けてくれたのだろうか?

と、そんな考えを巡らすがすぐに否定する。


(アルジェントヴォルフの体で焚き火とか無理があるしな)


そう結論付けて、取り敢えず立って体を起こす。

体を起こしてみると、自分が寝ていたところに青井程の大きさの葉っぱが敷いてあることに気付いた。


些細な気遣いに感謝をしながら、体を起こすために、体を捻りストレッチをする。


「お、やっと起きたか」


すると後ろから幼い少女の声がした。


後ろを振り返ってみると、銀色の神をして、端整な顔立ちをした少女が木にもたれ掛かっていた。

水でも浴びてきたのか、ワンピースは肌にピタリと張り付いていたが、見た目が見た目だから劣情は誘わない。

だが、美しいと思った。


それと同時に驚いた。


耳が付いているのだ。

耳といってもただの耳ではない。

頭上にピコピコと動く、柔らかそうな毛を纏った耳。

腰あたりで揺れる、尻尾。


つまりは‥‥‥


(け、ケモミミだ!!)


ファンタジー世界での定番と言えば定番。

これがなければ、ファンタジーと言えないようなものだ。


つまりは獣人。


駆け足でケモミミの少女に近付く青井。

途中で木の根っこに躓き転びそうになるが、手を着くことで転ぶことを回避して、そのまま四つん這いになりならが気持ち悪く近付く。


「き、君が助けてくれたのか?」


落ち着きが無いように尋ねる青井。

興奮しているので致し方がない。


「そ、其方は我を覚えておらんのか!?」


「‥‥‥ん?」


どうやら、この少女は青井と何処かで出会ったことがあるらしい。

しかし、そんな覚えは青井には全く無かった。


(こんな女の子と会ったことあるっけな?いや、そもそも確かまだ化け物にしか会っていなかったような‥‥‥?)


すると、何かが突っ掛かった青井。


ケモミミの少女を見てみる。


(美しい銀色の髪と鋭い宝石のような蒼い瞳。喋っているときにチラリと見えた鋭い牙‥‥‥もしかして)


嫌な予感を青井は感じていたが、渋々とケモミミの少女に質問した。


「もしかして、君ってアルジェントヴォルフなのか?」


「そうだ」


すると、やっと気付いたのかと言わんがばかりの呆れた表情腕を組ながら青井の顔を見つめる。


「いや、でも狼の姿だったのに‥‥‥」


しかし、ふと考える。

この世界には魔法というものがあるんだから、人間になるようなことも可能なんじゃないのか?


「いや、あれは仮の姿であるな。我の本当の姿はこちらだ」


「へ、あっちが仮の姿?」


青井の予想とは反対だったようだ。


「あんな不便な体では生活が出来るわけなかろう。あれは戦闘をするときだけだ。後で、詳しく話してやる。」


「不便な体って‥‥‥」


しかし、これで納得がいった。

アルジェントヴォルフは青井が気絶した後に、ここまで運び世話をしてくれたらしい。


「あ、そういえばなんであの時いきなり襲い掛かって来たんだ?」


大事なことを興奮した末に忘れていたのだが、どうやら思い出したらしい。


「そうか。理由は力試しだ」


「力試し?」


「そうだ。力試しだ」


しかし、納得がいかない青井。

その行為を聞いているのではなく、理由を聞いているのだ。


「いや、なんで力試しなんかしたんだよ」


「それは其方が会ったあの神様にせいでもあるんだがな」


「ん?」


あの神様とは白い少女の姿をした神様のことを言っているのだろうか、と考えを巡らす。


「あやつは面倒ごとを我に押し付ける癖があってな」


頭を掻きながら面倒臭そうに言うアルジェントヴォルフ。

可愛い外見に対して親父臭い行動は違和感がある。

中に小さいおっさんが入っているんじゃなかろうか?


「今回は其方のことだぞ?」


「僕か?」


自分を指差す青井。


「そうだ。どこからどう見ても其方以外有り得ないだろうが」


本当に呆れたような仕草をするアルジェントヴォルフ。

抜けていることは自覚しているけれども、ここまで見た目が幼い少女の姿をした人から言われると来るものがある。


「どうせあやつのことだろうから、我に其方に魔法やら何やら世話しろという目論見だったろうが、見込みのない輩を世話するほど我も酔狂ではないのでな。故に力試しをさせて貰ったというわけだ」


いらいらとしながら話しているアルジェントヴォルフは離れて見ていればかなり可愛い少女なのだが、間近で見ている青井は威圧感が伝わってきて、辛い。


「‥‥‥あんたの目に叶わなかったなら、どうなっていたんだ?」


内心恐る恐る聴く青井。


「殺して喰らうに決まっておろう。其方の味は美味であった。故に失敗しても良かったのだぞ?」


然り気無く、距離をとる。

だが、当の本人は無意識である。


「大丈夫だ。我は其方を認めた。それに其方は殺しても死なないであろう?」


それもそうなのだが、痛いのは嫌なのだ。

死ぬほど痛いのは死ぬときだけで充分である。


「自ら決めたことだ。其方の世話をしてやろう。断るなよ?喰うぞ」


その目はまるで、獲物でも見ているかのような狩人の目である。

怖いし辛そうだが、魔法を使えるようになりたいというのも事実である。

この世界の勝手も分からないのだ。

アルジェントヴォルフにそこら辺のことを色々と教えてもらおうと心に決めた。


(しかも、断ったらもっと痛い目に遭うからな)


「それじゃあ、よろしくお願いします」


そう言って手を差し出す青井。

そんな行動に少しだけ驚いたような表情をしたかと思えば、照れたように頬を少しだけ赤く染めた。


そして、青井の手を両手で掴むアルジェントヴォルフ。

青井の手に対して、アルジェントヴォルフの手は小さく、青井はこれが僕を喰おうとした狼と信じられない。


「よろしく。油断したら喰うからな?」


言っていることはともかく、笑顔は向日葵のように明るかった。



ケモミミ少女、可愛いね!!

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