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第81話-believe-


「やぁ。ひさしぶりだな。成宮…」


「久しぶり…ねぇ…。よく言うよ。しばらく姿を現さなかった、あんたがまさかつけてきていたなんてね…」


たとえ、正信だろうと成宮は余裕の表情を崩さない。成宮は笑みを浮かべ、続ける。


「あんたが今まで追っていた、『悪の団体』に息子がいた気分はどうよ?」


成宮はどうしても見たかった。この伊達正信の悔やむ姿を。


警察内ではもう、伊達の息子がCrowの仲間だったというのは広まっているはず。


焦れ。自分の立場を考え、そして、息子を捨てろ。俺のときと同じ様に。


「…信士がCrow?ありえないよ。いや、もしそうだったとしてもオレは最後まで信じる。」


正信は平然と言い放った。少しも焦りを感じない。何故だ。大人なんてみんな…。


「悪いが、君のことを調べさせてもらった。見て、君の動機が少し分かったよ」


「お前らなんかに俺達の気持ちが分かるか!!」


なんだよ。なんなんだよ、こいつは。


「大人達への復讐。今までそのために仲間を集ってきたんだろう?大人が憎い。違うか?」


「うるせえ!!」


「でも、君はそんな大人だけじゃないことだって知ってるだろう?親を無くしてから育ててくれた人は誰だ?あのおばあちゃんまで恨むのか?」


「うるせぇっつってんだろ!!」


怒り狂った成宮は正信に殴りかかろうとする。


「…もう、止めにしないか?」


強く握った拳を止める成宮。


「成宮。確かに大人が勝手にお前のことを捨てたことは事実だ」


正信は椅子から立ち上がり、地面に膝をつく。


「大人がお前にした罪を大人としてオレが償う。…すまなかった」


そう言い、成宮に向けて土下座をしている。


「なんで、なんでお前なんかに土下座されなきゃならねぇんだよ!」


息子の嘘を認めてくれ。そう、土下座してくる、正信の姿を見たかった成宮は唖然とした。


本当は自分の息子の…自分のことだけを考えていればいいのに…。なんで俺にそんなことすんだよ…。


「なんでだよ…なんでだよ…ちきしょう…」


成宮の目からは涙が零れていた。


こんな大人に今まで出会えなかった。みんな、自分のことだけを考えてると思ってたのに…。


こいつは俺の為に土下座までしている。


もう、終わりだ。俺は、今までなにを…。




「お願いです…信士に会わせて下さい!!」


「駄目だ。さっきも言っただろう。会っても無駄だと」


「信士のことを信じてないやつばっかなのに警察なんて信用できねぇよ!オレらが信士に示してやるんだ。大丈夫って。」


「お願いします!!」


どうするか…。

会わせても無駄だ。そんなのは分かっている。それでも、この子達なら信士君の心を解けるような…。


「…分かった。信士君の病室へ行こう」




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